本格的な春到来!ということで、各地では船も波止もイカダも、大いににぎわいを見せ始めた。メバルやマダイ、アオリイカなど春にシーズンインする魚は多いが、今回は春から初夏にかけて最盛期を迎えるアナゴ釣りを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部)
アナゴが潜むフィールド
日本近海に生息するアナゴは数種類いるが、釣りのターゲットで最も味がいいのがマアナゴ。比較的塩分濃度の低い内湾の砂地に多く、典型的な夜行性の魚だ。日没とともに砂から出て、エサを探して泳ぎ回る。
中部エリアでポイントとなるのは、知多半島全域から三重県の鳥羽以北。湾奥の名古屋港や四日市港でも、この時期になるとアナゴ釣りの人が多く見られるようになる。またキスと生息域が大きくかぶるため、投げ釣りでキスが釣れるポイントであれば、アナゴが釣れる可能性が高い。
したがって鳥羽以北の伊勢湾岸に点在する漁港や砂浜では、どこでも釣れるといっても過言ではない。ただし底質は砂地がメインで、根は点在する程度。カサゴがたくさん釣れるような根ばかりのポイントでは、アナゴはあまり望めない。
夏にキスを狙うようなサーフでも釣れるが、かなりの飛距離を要するので手軽なチョイ投げタックルでは少し厳しい。よってハゼやキスが狙える漁港やふ頭周りが最も釣りやすいだろう。

中部地方での釣りポイント
例を挙げれば愛知県・名古屋港の金城橋周辺、三重県四日市市の霞ケ浦ふ頭、磯津漁港、鈴鹿市の鈴鹿漁港、白子漁港、鳥羽市の鳥羽港など。
また個人的には日本海にも注目している。
アナゴ釣りのシーズン
釣期は主に大きく2つに分けられる。春から初夏にかけて(4月~7月)の夏パターンと晩秋から初冬(10月~12月)の冬パターン。主に夏パターンでは数は出ないものの良型が多く、冬パターンは新子の数釣りというイメージだ。
だが近年気候変動の影響か、冬に極太の良型が釣れたり夏に小指ほどの新子サイズが釣れたりするので、一概には言えなくなってきている。

アナゴを釣るタックル
使うタックルだが、チョイ投げが基本的な釣り方なので、長すぎないスピニングタックルがお勧め。バスロッドやトラウトロッド、コンパクトロッドなどが使えるが、船用のキスザオが最も使いやすいと感じる。
リールは小型スピニングにPEラインの1・5号を100mほど巻いておく。トラブル防止のために先イトを1mほどつないでおいてもいい。細すぎるPEはキャスト切れのリスクもあるので、あまりお勧めできない。
チョイ投げした後は置きザオで待つので、このタックルを2~3セット用意しておこう。あまり多い本数だと時合いに手が回らなくなるし、周りの釣り人にも迷惑がかかる。最初は2本ぐらいから始めるのがいいかもしれない。

アナゴ釣りの仕掛け
仕掛けはシンプルイズベスト。河口域など流れが速くない限り、オタフク型の中通しオモリ8~10号を使う。オモリをミチイトに通し、クッション用のウキゴムを通してサルカンを接続。その先にハリの付いたハリスを結ぶだけ。
注意したいのはハリスの長さ。テンビンを使わないので、絡み防止のため長さは10cm程度と短めにしておく。太さは3号あれば、クロダイやマダカなどの大物がきても安心だ。もちろんハリスの太さがアナゴの食いに影響することはない。
短ハリスの1本バリがおすすめ
2本バリにしたりハリスにケミホタルを付けたりと、いろいろ工夫したこともあったが、トラブルは増えても釣果が目に見えて増えることはなかった。結局落ち着いたのはシンプルな短ハリスの1本バリというわけだ。
ハリは丸セイゴの8~10号。新子サイズが多いようなら8号、良型が交じる確率が高いなら10号を使う。ハリをのまれていた場合、ハリスを切ることが多いのですぐに交換できるように、ハリを結んだハリスは多めに用意しておこう。

エサはにおいの強い切り身が一番
エサも悩むところだと思う。本格的な投げ釣り師はよく夜釣りでアナゴの猛攻に悩まされた…なんてことをよく言うが、ではムシエサが一番かと言われればそうでもない。
ムシエサであればホンムシやチロリがお勧めだが、いかんせん高価だ。安くて入手しやすく、そして食いが最もいいのが切り身エサ。特にサンマやサバなど、脂っ気が多くにおいにきつい切り身が抜群に食いがいい。

切り身エサの使い方
切り身エサは、釣具店でも売っているしどこのスーパーでも売っている。釣行前に購入して切り分けておき、塩をまぶして身を締めてから小分けにして冷凍しておくと、釣行ごとに使えるので非常に便利だ。
この切り身を皮を残したまま幅5mm、長さ3~4cm程度に切る。身側は軽く削いでおき、あまり厚みは持たせないようにする。ハリの刺し方は端っこの皮側から身側へハリを通し、再び皮側へ通す。
ちなみに、以前ブリの切り身も試したことがあったが、アタリは頻発しても皮が硬すぎて食い込みが非常に悪かったのでおすすめしない。

アナゴ釣り実釣
アナゴは前述の通り夜行性だが、やはり時合いはある。まず絶対逃せないのが、日没直後。釣果のほとんどが日没から2時間以内に上がることが多い。したがってまだ明るい時間帯から釣りを開始したい。
そして潮の動き始めや緩み始めもチャンス。潮時表で干満の時間を確認しておき、自分でチャンスタイムの推測を立てておこう。
アナゴの時合いについては、まだまだ分からない部分が多い。日没直後の時合いにバタバタッと釣れて後は音沙汰なしだったり、10時ごろまでダラダラとアタリが続くパターンであったり。ただひと晩中釣れ続くということはまずない。

釣り方は投げて待つだけ
さて実釣だが、釣り方も仕掛け同様シンプルイズベスト。投げて待つだけ。だが、注意点もある。まずハリスが絡まないように、着水したらカーブフォールで沈めること。着底したらすぐに1mほど仕掛けを引く。
そして三脚などにサオをかけ、アタリを待つ。穂先にはアタリ鈴やケミホタルなどを装着し、暗闇でもしっかりアタリを捉えられるようにしておこう。

のんびり待つ置きザオだからといって、長時間放置するのはご法度。ヒトデが付いていたり、ハリスが絡んでいたりすると、釣れる可能性ゼロの仕掛けを長時間入れておくことになるので、時間がもったいない。
焦って早アワセしないこと
アタリは明確にはっきり出る。だが早アワセは絶対厳禁だ。アタリが出てもしばらく待ち、力強く押さえ込んだタイミングでアワセを入れる。
だがこのアワセのタイミングが非常に難しい。食いが良ければ一気にサオ先を持っていくのだが、少し渋いと居食いのようにモゾモゾというアタリが続くだけになる。そんなときは少し仕掛けを引いて誘いをかけると、一気に食い込んでくることがある。
またアナゴは意外に食い逃げのうまい魚。アタリがあってもうまくエサだけ取られていた…なんてことが頻繁に起きる。いずれにしてもじっくり待って、押さえ込んだときにしっかりアワセを入れるようにしよう。

アナゴを釣った後
釣ったアナゴはフタ付きバケツにブクブクをかけておき、泳がせておく。ハリをのんでいたら無理に外さず、ハリスを切ってバケツに入れる。無理にハリスを切るとエラを損傷して、バケツの中で死んでしまう。

さばく前に氷水にしばらく漬けておくと、アナゴが仮死状態になるのでさばきやすくなる。小出刃が使いやすいが、アナゴが小さいときはカッターナイフを使うとさばきやすい。
煮アナゴ、白焼き、かば焼き、天ぷらと何にしても絶品。待望のGWには、身近な波止で狙ってみてはいかがだろうか。
堤防アナゴ釣り入門 【生態・時期・仕掛け・エサ・釣り方を解説】
陸っぱりアナゴ釣りで【胴つき仕掛けを使うメリットとデメリットを解説】
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2023年4月21日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 夜の堤防で手軽に狙う【投げアナゴ釣り】 シーズン・仕掛け・ポイント選び・釣り方を解説 first appeared on TSURINEWS.