手軽な夜のルアーゲームのターゲットとして人気のナマズ。一時期に比べて熱は下がったように思えるが、釣り場に出てみればその人気は健在であることがよく分かる。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
初夏までがナマズゲームの好機
数年前までナマズは主に夏のターゲットだと思われていたが、最も釣りやすいのは桜が咲くころから初夏にかけて。夜はまだ肌寒さが残り、日によっては防寒着が必要なこともある。

産卵を控えたナマズたちは、エサを追って支流に入り荒食いを始める。典型的な肉食魚で、小魚はもちろんカエルや昆虫、ミミズなども積極的に捕食する。
明るい時間帯に見れば底が丸見えのドシャローでも、夜になればそこは一級ポイントに変貌。引き波を立てて果敢にルアーをチェイスするシーンは、夜のナマズゲームならでは。一度経験すればやみつき間違いなしだ。
タックル
ナマズ専用ロッドというものも発売されているが、種類は決して多くなくすぐに入手できるかは分からない。最も代用されているのは、バス用のベイトロッドだろう。硬さでいえばMH(ミディアムヘビー)~H(ヘビー)クラス。スピニングではこの硬さはほぼないので、ベイトタックルになる。

ベイトはバックラッシュするからスピニングがいい……という人は、短めのシーバスロッドや先調子のジギングロッドなんかでも代用が効く。
リールはベイトならバス用の小型、スピニングも2500~3000番。

ナマズ自体はさほど引きが強いわけでもなく、突っ走るような魚でもない。魚だけで考えればバス用の道具立てで十分なのだが、ブッシュが生い茂る用水路や極小規模河川がポイントとなる。飛距離が必要とされる場面は少ないが、コントロールが要求されることは多々ある。
そういった場面では、もちろんミスキャストも頻発するし、ブッシュや障害物にルアーを引っ掛けることも多い。そんなときに強引に引っ張ってフックが伸びて回収できるように、ラインの強度だけは極端に上げておきたい。
具体的にはPEラインの4号以上。できれば5号程度がお勧めだ。ショックリーダーは付けても付けなくても、どちらでもいい。
ルアー
ルアーはトップウォーターゲームが主流となる。最もメジャーなルアーはオールドルアーのカテゴリーにも入るフレッドアーボガストのジッターバグや、ヘドンのクレイジークローラー。いずれも引くと、ポコポコと音を立てるノイジー系といわれるルアーだ。

元々バス用のトップウォータープラグだが、ナマズの反応があまりにも良く、最近ではナマズ用ルアーとしての地位を確立しつつある。他にも近年のナマズ人気を受けて、各メーカーからナマズ専用のルアーが発売されている。スミスのキャタピーやダイワのふく鯰、ザクトクラフトのザグナなど。背中にケミホタルを装着できるものもあり、ナマズに特化した仕様となっている。
重視すべき点はフックだ。まず水面に露出した障害物への根掛かりを防ぐため、上向きのダブルフックが絶対お勧め。ほとんどの人がリリース前提だと思うので、その場合は必ずバーブレスにしておく。
フックの可動域を広げる
そしてナマズは捕食が上手な魚ではない。ルアーが通り過ぎてからドカンとバイトしたり、タイミング良くバイトが出てもルアーが飛ばされたり……。
このフッキング率の悪さを解消するには、フックの可動範囲を上げること。ナマズは水面のカエルや昆虫などを、吸い込んで捕食する。したがってフックの稼働範囲を広がれば、吸い込まれる確率も上がるのだ。

ケプラーなどの強度の高いラインでフックとルアーのアイを結ぶ方法もあるが、フックの可動が柔軟すぎてラインに引っ掛かったり、ルアー本体に巻きついたりしてしまうこともある。さらにこのシステムと作るには手間がかかる。
最も簡単なのはフックとアイの間に、スプリットリングやサルカンを入れてやること。強度的にも十分だし、ケプラーのように柔軟すぎることもない。このシステムはルアーのテール側のフックだけに付ける。ベリー(腹)側のフックはそのままスプリットリングとの接続だけでいい。これだけで飛躍的にフッキング率は上昇する。
狙うポイント
狙うのは川の護岸際や流れ込み、露出している障害物周りなど。橋にある常夜灯でできる明暗部なども好ポイントだ。

川全体で見れば、のっぺりとしたまっすぐな流れより、少しでも変化のある所に目をつけよう。流れがカーブしているところ、橋の周りなどがそうだ。また支流と本流の合流点なども絶好のポイントなる。
ポイントを開拓してみよう
ナマズやライギョを狙うアングラーにとって、ポイントを公に明かすことはタブーとされている。元々内水面は海に比べて釣りができるエリアが限られる上、ひとつのポイントに入れる人数も非常に少ない。堤防のように何十人とエントリーすることはまず不可能だからだ。
そこで自分だけのポイントを開拓してみてはどうだろう。今はグーグルマップという便利なツールがある。愛知県でいえば日光川、新川、庄内川など、大きな河川に注ぐ川の支流をまずチェック。そのさらに支流や流れ込む水路などを見てみる。さらには広がる水田地帯に、網の目のように広がる用水路も確認しておきたい。
ナマズはまたげるような狭い水路や、足首ぐらいまでの水深でも夜になるとエサを求めて徘徊している。

合わせて確認したいのが駐車場所だ。周りの住民の迷惑にならないよう、駐車しても邪魔にならない場所は必ず確認しておこう。
そして必ず明るい時間帯にポイントを下見しておくこと。グーグルマップで良さげに見えても、行ってみたら水がなかったり、水深が予想以上に深かったりすることもある。前述の駐車場所もそうだ。行ってみたら駐禁の看板があったなど。その逆も大いにあるが、実際行ってみないと分からないことも多い。
さらに突き詰めてどこに立ち位置を取るか、どこへキャストするかなどもシュミレーションしておくと実際に釣り場に立ったときに、戸惑うことは少なくなるはずだ。
おすすめポイント紹介
先ほどナマズのポイントを公にするのはタブーだと書いたが、それではあまりにも味気ないので、ここで超のつくほどメジャーなポイントを1つだけ紹介したい。愛知県稲沢市を流れる日光川と、その支流の光堂川が合流する地点だ。先ほどポイント開拓の項で書いた条件が、そのままピタリと当てはまる。

この原稿を書いている5月初旬現在では、橋のたもとに駐車スペースがあり、足場がいいコンクリート護岸ポイントとなる。
日光川の対岸には民家が立ち並び、県道67は結構車の通りが多い。釣れても決して大声を上げず、控えめに楽しんでほしい。
強引なファイトを楽しもう
実釣においては、さほど難しいことはない。投げて巻くだけなのだが、先にも書いたが狙ったポイントへ正確にルアーをキャストできるかというコントロール、そしてリトリーブスピードが釣果を分ける要素となる。特にスピードは引き波を立てる程度のスローから、水しぶきを上げるほどのファーストまで、いろいろ試したい。活性が高いときは、ルアーの回収時に飛びついてきたりすることもある。
バイトは派手に水しぶきを上げることもあれば、チュパッとわずかに吸い込むだけのこともある。バイトがあったら、一瞬ラインを緩めるぐらいの気持ちでルアーを吸い込ませ、重みが乗ったところでフッキングを入れる。

ファイトは強引にゴリ巻き一択。そのための極太ラインだ。少々草が絡もうと魚が大きかろうと、一気に寄せてゴボウ抜きしてしまおう。
ナマズはウロコがないので、皮膚が非常に弱い。必ず草の上か、濡らしたレジャーシートなどの上に着地させるようにしよう。撮影が終われば速やかにリリース。この時期のナマズたちはお産を控えているため、陸に上げる時間はなるべく短くすることを心がけよう。
マナー&ルール厳守で楽しもう
何よりアフターファイブで平日でも釣行できる手軽さが魅力のナマズゲーム。誰でも簡単に入門できることが魅力だが、ナマズ人口が増えるにしたがって、トラブルも増えていると聞く。迷惑駐車、ゴミの放置など、釣り人が引き起こす問題はナマズ釣りでも例外ではなく、手軽な分より顕著に起こっている。
何度も言われることだが、マナーやルールの厳守は当然のこと。この当然のことを肝に銘じた上でこの楽しい釣りを満喫していただきたい。
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<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>
▼この釣り場について日光川と光堂川の合流点
この記事は『週刊つりニュース中部版』2023年5月19日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post ルアーナマズ釣りハイシーズン突入 フッキング率アップの秘訣はフックの可動域にあり? first appeared on TSURINEWS.