6月の初め、梅雨の谷間に泉佐野一文字に釣行。苦戦する釣り人が多い中、複数の常連が好釣果をあげていた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)
泉佐野一文字へ釣行
神戸の沖防波堤が渡船禁止となり、武庫川一文字以南の大阪府沿岸の沖防波堤は残された貴重な釣り場となっている。中でも足場が良く予約なしで渡れる泉佐野一文字は人気の的で、特に土日祝は大激戦区。

私が釣行した6月4日も、深夜2時に泉佐野一文字に渡す葵渡船の駐車場に到着したものの、地元常連を中心とした何十人もの先客が一人一個の荷物を乗船場の並び列に整然と置いて、先着権を主張する暗黙の「荷物置きルール」の前に、あえなく乗船順位は23番目に甘んじた。
泉佐野一文字に釣行する釣り人は、駐車場に着いたら真っ先に手荷物を1個置いて、乗船順位を確保しておくのが得策だ。

常連ルアーマンがブリを捕獲
4時半に出船した始発便は満員御礼。ルアーマンが中心だが、ノマセ釣りやフカセ釣りの人も混じる。泉佐野一文字の船着き場は6か所あるが、実際は青物狙いの1番と4番、フカセ釣りや投げ釣りの好ポイントの6番の3箇所に釣り人が集中する。
船が1番の船着き場に着くと、早速ポイント争奪バトルが勃発。外向きと北端の赤灯台裏のベストポイントは常連グループが陣取ったが、私も懸命に食らいつき、何とか赤灯台の内向きに釣り座を確保した。

私が竿下サビキ釣りの準備を始めていた矢先の朝一番、常連ルアーマンがロッドをブチ曲げた。仲間達が見守る中、魚体が海面に姿を見せると「ブリあるで!デカいぞ!」と大歓声。
格闘の末に上がった魚体は、測るまでもなくブリと判る圧巻の大きさ。「フォールや!入れパクや!」と灯台周りは歓喜に包まれた。
なお、泉佐野一文字の形状と船着場などは略図のとおりだが、詳しい解説は、以前の投稿をご覧いただきたい。
大阪湾の沖波止紹介:岸和田&泉佐野一文字 都市近郊でアクセス良好
また、乗船手続きやライフジャケット規格に関する主な注意事項などは、葵渡船のホームページの「お知らせ」に掲載されているので事前に確認しておいてほしい。
小アジが1匹しか釣れず苦戦
当日の私の作戦は、早朝に竿下サビキ釣りでデカアジ、小アジを狙い、以降は周りの状況次第で、青物狙いのノマセ釣りか、チヌ(クロダイ)狙いの落とし込み釣りに転じようというもの。
しかし、その甘い目論見は早々と崩れてしまった。朝マヅメの時合いは一瞬で過ぎ去り、釣れたのは小アジ1匹とカタクチイワシ3匹という惨状。そのうえ大激戦区の波止の外向き(沖向き)は釣り人で埋まり、釣り座の移動も出来なくなってしまった。
泣く泣く外向きでのノマセ釣りは断念し、苦し紛れに小アジを内向きにちょい投げで沈めて、ヒラメやマゴチを狙う沈め釣りを試みたが、虎の子の一匹だった小アジは食い込まれることなく噛み跡だけ付けられて失敗に終わった。
ノマセ釣りは断念(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)竿下サビキにカンダイ38cm
潮の動きも悪くなり、北端の常連が小アジをポツリ、ポツリとキープするほかは、周りも沈黙状態に陥ってしまった。辛い時間がしばらく続いたが、潮が再び動き出すと、海から何か違う気配が感じられた。
沖向きではナブラが頻繁に現れ、ルアーマン達が一斉にキャストを繰り返す。魚の気配が何となく漂い出した。その勘が的中したのは8時前。私の竿下サビキの置き竿が、突如、グッ、グッ、グウゥーンと海面に舞い込んだ。
勇んで竿を手にすると、魚の強い手応えが伝わってきた。慎重に巻き上げると、一番下の針にコロっとした魚体のカンダイが食いついていた。ドキドキハラハラの心中ながら、無事タモ入れに成功。検寸すると38cm。
写真を撮った後は即座に獲物を〆て血抜き、エラと内臓処理を手早く済ませてクーラーの中に収めた。
竿下サビキで釣れたカンダイ(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)タックルとエサに一工夫
サビキ釣りに掛かったカンダイは、確かに偶然に釣れた外道には違いないが、タックルとエサに一工夫を施したことも一役買ったように思う。
竿下サビキ釣りのタックルは、磯竿5号5.4mにミチイト5号を巻いた両軸リールをセットし、サビキはケイムラ仕様の9号針にハリス3号の太仕掛けをチョイス。
撒き餌カゴはサビキの上下それぞれに付けるダブル方式とし、上カゴとサビキの間にクッションゴムを介し、下カゴにはテンビンをセットして、その先にも3本針のサビキを付けた。また、サビキ針のうち3本にアクセントとして青イソメを付けた。
オキアミではなく青イソメを刺しエサに選んだのは、過去の泉佐野一文字での釣行経験によるものだ。ただのサビキ針のままではカンダイは興味を示さないが、私の様々な工夫が功を奏して、カンダイが食いついたのではないだろうか。
竿下サビキタックル(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)常連がノマセ釣りでブリを捕獲
8時半頃から帰り支度を始める釣り人が出始め、朝一番でブリを仕留めた常連グループも手仕舞いにかかったが、突如「来たんか?え?」と叫び声があがった。
時折聞こえるジジーッと鳴るドラグ音、ノマセ釣りで粘っていた常連グループの一人が大捕り物に突入した。仲間がタモ網を手にスタンバイすると、「ブリあるぞ!」と激が飛ぶ。
波止際の攻防を制し、連例プレーでネットインした獲物は、これまた一目でブリと判るビッグサイズの魚体だった。常連グループが仕留めたブリ2本は、経験と腕前のなせる業だと感服させられた。
落とし込み釣りを開始
9時便で多くの釣り人が波止を後にしたので、波止の外向きにいくつかの空き場所が出た。そこで私も釣り座を外向きに転じ、落とし込み釣りを開始することにした。
タックルは、落とし込み専用竿3.9mとリールに、ストライプカラーの落とし込み・ヘチ専用の2号ライン。ラインの先には市販の目印仕掛けとハリスは1.7号を直結する。ハリスは硬めのものがよい。針はチヌ針3号で、チモトにはガン玉2Bをかませる。
エサはミジ貝と呼ばれるイ貝の稚貝の房と岩カニが釣り餌店のTポートに入荷していたので、購入して持ち込んだが、少しでも魚にアピールして反応を得たいと、岩カニから使い始めることにした。
落とし込み釣りタックル(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)落とし込み釣りに反応あり
泉佐野一文字は6月いっぱいまでは波止際に海藻が茂り、落とし込み釣りのセオリーの波止際ギリギリを攻める事が難しい。さらに下げ潮が進んだ10時台は、水深が4mぐらいしかなくなり、落とし込み釣りには悪条件となっていた。
しかし、過去の釣行で同じようなシチュエーションがあった事を思い出し、獲物は海藻の下に潜んでいると信じて南向きに探り歩く。すると何箇所かで岩カニをつつくような反応があった。しかし食い込まない。
フグかベラかもしれないと確証が持てない中、11時前に3番の船着き場付近で、クッという魚の反応を竿先に感じた。しばらく止めて反応をうかがったところ、エサだけ取られてしまった。
2匹目のカンダイ38cmを好捕
これは脈ありと、岩カニを付け替えて、もう一度ピンポイントで攻めてみる。するとまた、クッと一瞬引き込んだ。竿先のテンションを微調整してエサの岩カニを食い込ませようと試みる。
2度目のクッも我慢すると、竿先の反応がもたれるような感じに変わり、3度目のクッの感触があった。ここで大きくアワセると、竿の胴に魚の重みが乗った。ついにフッキングに成功。
目印仕掛けは沖走りし、魚の抵抗が始まったが、竿さばきで十分獲れる大きさだと確信。竿全体で溜めて浮かせると、肉付きの良いカンダイが海面に姿を現した。重に寄せて無事タモ入れに成功。検寸すると偶然にもまたや38cm。
しかし今度は間違いなく自力で釣ったという実感が湧いて、心は十分過ぎるほど満たされた。
カンダイ2匹は即〆で食味も絶品
最終釣果は38cmのカンダイ2匹にカタクチイワシ3匹となり、11時過ぎに納竿。11時半の便で波止を後にした。
乗船場に到着すると、釣果のあった釣り人は成果を船長に報告。4番と6番の船着き場付近に釣り座を構えていた常連がキビレやキスの見事な釣果を披露する中、私のカンダイの釣果も船長は快く写真を撮ってくれて、葵渡船のホームページ釣果情報の一角に添えてくれた。
当日釣果をあげていたのは、泉佐野一文字の釣行経験豊富な常連たちが中心だった。水深が全体的に浅めで釣果のあがるポイントが限られる難しい釣り場ではあるが、常連という生きた教科書を見逃す手はない。
釣行したら釣果があがっている場所や釣り方を目に留めて、次回以降の釣行に活かすとよいだろう。自宅に持ち帰ったカンダイは、フライとカルパッチョにして食味絶品の夕食のおかずに姿を変えた。
カンダイは自然死させると粘液まみれになって臭くて食べられなくなるので要注意。生きた状態で即〆て、血抜きとエラと内臓処理を済ませて海水で汚れを洗い流してから、クーラーに収めてほしい。
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<伴野慶幸/TSURINEWSライター>
▼この釣り場について泉佐野一文字(出船場所:葵渡船)
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