カヤックフィッシングというと、「波を乗り越え、沖まで漕いで、大型青物と格闘!強烈な引き、血が沸き立つような興奮!」というイメージでしょうか?その通りかもしれません。しかし、いつもと少し趣向を変え、肩の力を抜いて海に浮かんでみると、これがまた楽しい!漕ぎ疲れないくらいの範囲で、簡単なタックルで楽しめて、それでいて子供のように熱中してしまう釣り。

今回は、ホビーカヤック・パスポート10.5に乗る筆者が、ライトタックルでいろいろな魚と遊ぶカヤックフィッシング、「カヤックライトゲーム五目釣り」をご紹介します。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・福永正博)

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カヤック釣りのライトゲーム

明確な定義があるわけではないですが、筆者は「ライトなタックルで、ワームや小型ルアーで楽しむ、気軽なカヤックフィッシング」を、広くカヤックライトゲームと呼んでいます。キーワードは「ライト」と「気軽」。エリアや魚種によってバリエーションは様々で、条件が良ければ五目釣りも可能です。

ノンストレスで気軽に楽しむ

釣行中に余計なストレスを感じていては「気軽」とはいえません。快適機能をそなえたカヤックを選ぶことも、より一層カヤックライトゲームを楽しくするためのポイントです。快適機能の一例として、筆者が乗っているホビーカヤックのシートがあげられます。座面が高くメッシュ仕様であるおかげで、お尻が濡れず、さらにリクライニングまで可能。長時間の釣りでも快適です。 具体的なオススメのカヤックについては、後ほどご紹介しますのでお楽しみに。

カヤックライトゲームの魅力

まずは、筆者が感じるカヤックライトゲームの魅力からご紹介しましょう。

釣り方が簡単

小型ルアーを使用するため様々な魚がバイトしてきます。アタリが多いため飽きにくく、実際にボウズも少ないです。また、水深が浅いエリアであれば、細かくレンジを刻む必要性も少なく、底取りも簡単なため、難しいテクニックがあまり必要ありません。

魚の引きを楽しめる

ライトタックルの使用こそが、この釣りを楽しくしているポイントです。メインターゲットの小型魚の引きでも十分に楽しめますし、もし大物が来たら……というドキドキ感もあります。

海での釣りですから、何が釣れるかわかりません。いざ大物が掛かったら、カヤックフィッシングですのでまわりの釣り人などに気をつかう必要はなく、ドラグ設定をゆるめにしてファイト可能。ライトタックルでのドラグを駆使した魚とのやりとりの練習にもなりますよ。

コストの負担が少ない

使用するルアーが、ワームや小型のジグなど安価なものが多いため、コスト面の負担が少なくて気軽に楽しめます。バス用やメバル用のタックルなどをすでに持っていれば流用が可能。新たにタックルを買いそろえるにしても、そこまで高額なものは必要ありません。

カヤックライトゲームの好シーズン

カヤックライトゲームに最もおすすめの時期は春から初夏にかけて。その理由は、海水温の上昇とともに活性が上がってきた魚が浅場に入ってきて、比較的岸から近いポイントで釣りやすい時期だからです。

ベイトもそれほど大きく成長していない時期なので、小型ルアーへの反応が良い点も理由のひとつです。

カヤックライトゲーム徹底解説【時期・ポイント・道具・釣り方】初心者にも最適
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カヤックで釣れたキビレ(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

真夏と真冬

消去法で考えると、真夏と真冬は魚が水温の安定する深場に落ちてしまいがちで、沖に出ないと釣ることが難しい日が増えることや、身体的につらい時期であり気軽さに欠けるため除外。

秋はいろいろな魚種で大物が狙えるハイシーズンで、ライトゲームのみに絞るのはもったいないので、ライトタックルはあくまでサブ的な位置付けにしています。春から初夏の時期は、暑くもなく寒くもなく、近場のポイントで魚が釣れる時期であるため、気軽なカヤックライトゲームにぴったりのシーズンといえるでしょう。

カヤックライトゲームのポイントと選び方

続けて、カヤックライトゲームのポイントの選び方を解説します。

水深で選ぶ

筆者がカヤックライトゲームに向いていると考えるのは、水深1m以上10m未満のエリア。水深1mくらいでも意外なほど魚が入ってくるのに加え、水深が深くなるほど底取りのために重いルアーが必要となり、必然的にタックルもヘビーになってくるからです。

カヤックならではの場所を選ぶ

カヤックライトゲームでは、おかっぱりアングラーの邪魔にならず、漁船や遊漁船も入ってこない場所が狙い目です。具体的には、遠浅の干潟・サーフの沖や、岸から釣り人が入れない磯の周辺などが理想的。周囲に気をつかわず釣りができて、スレていない魚と出会える確率が高まります。

釣果情報で選ぶ

おかっぱり+αの範囲で釣るカヤックライトゲームでは、岸からの釣果情報もポイント選定の大きな参考になるので要チェック。SNSや釣果サイトなどから、釣れている魚種やエリアをある程度絞り込むことができます。

関東近郊のおすすめエリア

参考例として、筆者がカヤックライトゲームに出かける関東近郊のポイントをご紹介します。

八景島エリア

砂浜やアマモが生えた干潟、テトラが入った岸壁など、様々なパターンで魚を狙えるのが八景島エリア。水深5mから10m以下のフラットな地形で、ライトゲームに適しています。

砂地ではマゴチやキス、干潟ではシーバス、岸壁ではカサゴやメバルなどがターゲットになります。タイミングによっては、青物やタチウオ、アジ、サバなども回遊してくるとことがあります。

注意点としては、付近に漁港があるため遊漁船の出入りが頻繁にあること、岸壁沿いはおかっぱりの釣り人が多いこと、海の公園の砂浜は釣り禁止であることが挙げられます。

カヤックライトゲーム徹底解説【時期・ポイント・道具・釣り方】初心者にも最適
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八景島エリアのポイント(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

富津エリア

東京湾に突き出た富津岬周辺は、地形的に潮通しが良く、砂地にアマモが群生しているシャロー帯が広がるエリア。岸からはアマモが生い茂って釣りにならず、エンジン付きの船も入ってこられない、カヤックならではのフィールドといえます。

アマモは、海の生き物にとって隠れ家や産卵場所となるため、魚のストック量が多いですが、直接ルアーを投入してもアマモばかりが絡んで釣りになりません。アマモがまばらな場所や、切れ目を探して打っていくのがコツ。チヌやマゴチ、シーバス、キス、ヒラメなど様々な魚が遊んでくれます。

東京湾内でも潮の流れが速い場所であり、干潮時には沖に500m以上進んでも、足が付くほど浅くなる場所もあるので、安全上の注意は怠らないように。

カヤックライトゲームで釣れる魚

カヤックライトゲームは、エリアやポイントによって様々な魚がターゲットになります。

シャローエリア(サーフ/干潟/河口)

チヌ、キビレ、マゴチ、ヒラメ、シーバス、キスなど。

カヤックライトゲーム徹底解説【時期・ポイント・道具・釣り方】初心者にも最適
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カヤックで釣れたマゴチ(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

磯/ゴロタエリア

カサゴやハタなどのロックフィッシュ系、マダイなど。

回遊性の魚

アジ、サバ、ワカシ、カマス、タチウオなど。

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カヤックで釣れたワカシ(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

その他のゲスト

フグ、エソ、ダツ、アカエイなど。

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小型バイブにヒットしたフグ(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

おすすめのルアー/仕掛け

自由な発想で楽しめることもカヤックライトゲームの魅力ですが、使いやすくて実績もある、筆者おすすめのルアーをご紹介します。

ワーム

アタリの多さと、食わせ能力の高さがメリットのワーム。キャストしてからの底ズル引きにはフリーリグ、アマモの切れ目を狙う時など、ダイレクトにフォールさせたい場合には直リグ、と使い分けています。釣果を求めるなら、断然匂い付きワームをおすすめします。

カヤックライトゲーム徹底解説【時期・ポイント・道具・釣り方】初心者にも最適
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直リグのワーム(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

小型メタルジグ(+ジグサビキ)

よくある困ってしまうパターンが、ワームが一瞬でフグにかじられて無くなってしまう状況。そのような場合は、小型メタルジグを使用します。単体でもよく釣れますが、ジグサビキと組み合わせるとサバやカマスの回遊がある時に効果的です。水深のあるポイントで使いやすく、いろいろな魚種が狙えます。

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小型メタルジグ(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

小型バイブ

キャスティングからのタダ巻きや、ボドム付近でのリフト&フォールが得意で、一つのルアーで広く探りたい時に使用しています。ヒラメやマゴチ、シーバスでの実績が高いルアーです。

カヤックライトゲーム徹底解説【時期・ポイント・道具・釣り方】初心者にも最適
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小型バイブ(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

おすすめの釣り方

カヤックライトゲームでは、一つの魚種に絞らず、その場にいる様々な魚種を狙うため、いろいろなパターンの釣りができるようにしておきましょう。

キャスティングで広く探る

表層タダ巻きや、ボトムまで落としてからのリトリーブで、幅広いレンジを探ります。朝マズメや、水面にナブラやボイルが見える場面では、トップウォータープラグも効果的です。

ボトムを狙う

砂底やゴロタのエリアは、魚探に映らないフラットフィッシュや根魚が潜んでいる可能性があります。ワームや小型ジグでチェックしましょう。極小のタイラバなども良く釣れますが、あっという間にフグにボロボロにされてしまってからは使用を控えています。

変化を狙う

地形や水深の変化、アマモの切れ目、河川の流れこみなど、魚探や目で見てわかる変化をチェックしましょう。魚がいれば勝負は早いので、着水した瞬間から気を抜かないように。

魚探の反応を狙う

魚探に群れが映ったらすかさず狙っていきます。魚群の中でもアピールする、小型メタルジグの実績が高い傾向です。シャクったり早巻きしたり、リアクションバイトを誘発してみると、良い釣果につながることが多いですね。

アンカー使用について

カヤックフィッシングでは、様々な理由があって一般的にあまりアンカーを使うことは多くありません。しかし、筆者はシャローエリアのカヤックライトゲームに限ってはアンカーを使用することが多いです。

その理由は、他の船舶の侵入がほぼ無いので、あわてて避難するケースが少ないことと、水深が浅いためアンカーの回収が苦にならないからです。また、のんびりできて体力を使わずに済むところも「気軽」なカヤックライトゲームに合っていると感じます。

おすすめのタックル

ライトゲームは「手軽さ」が売りの釣りです。タックルについては流用も含めて、そこまでこだわる必要はありません。最低限の条件を紹介します。

ロッド

自分が使用したい軽量ルアーをキャストできる、ULからML クラスのロッドであればOKです。バスロッドやメバルロッド、ボートシーバスロッド、トラウトロッドなどで、6~7ft前後のモデルを選ぶと扱いやすいでしょう。

リール

スピニングであれば2000~2500番。ベイトリールは使いたいラインを100m巻けるモデルであればOKです。ベイトフィネスリールは、キャストしやすい点は良いのですが、不意の大物に対する強度が不安(スプールが歪む可能性あり)ですので、あまりおすすめしません。

ライン

PEラインであれば、0.6~1.0号+リーダー10lb以上。フロロカーボンラインであれば8lb~16lb。ライトタックルとはいえ、良型のヒットや海藻を引っかけることを考慮して、極細のラインは避けた方が良いでしょう。

筆者の参考タックル

参考までに筆者がよく使う2パターンのタックルを紹介します。

1. メバルロッド 

ロッド:PinWheel76UL(適合ルアーウェイト0.5~7g)
リール:レブロス2000番/PE0.8号+リーダー12lb

極小・軽量ルアーや、ジグサビキのようなタラシを長くとるものには、キャストしやすいスピニングタックルを使用しています。

オススメのカヤック

筆者の愛艇パスポート10.5はホビーカヤックのラインナップ中ではエントリーモデルの位置付け。ここでは、ライトゲームに適した上位モデルも2艇ご紹介しておきます。

ホビー ミラージュ・アウトバック

カヤックライトゲーム徹底解説【時期・ポイント・道具・釣り方】初心者にも最適
カヤックライトゲーム徹底解説【時期・ポイント・道具・釣り方】初心者にも最適
ホビー ミラージュ・アウトバック(提供:HOBIE JAPAN)

安定性と機動力を兼ね備えた船体と、充実した装備が魅力のミラージュ・アウトバック。安定感が抜群なので、おだやかな水面であればカヤック上で立ち上がることもでき、藻の切れ目や魚影を確認することが可能です。

カヤックに座った状態では、水面がギラついて意外と水中の様子がわからないので、これは大きなアドバンテージです。また、艤装(カスタマイズ)を追加しなくても、ロッドホルダーやタックルなどを機能的にレイアウトできるため快適性も最高クラス。高性能の最新魚探にも対応した設計で、ライトゲームに限らずどんな釣りもハイレベルでこなす、最高峰のフィッシングカヤックといえるモデルですね。

ホビー ミラージュ・リンクス

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カヤックライトゲーム徹底解説【時期・ポイント・道具・釣り方】初心者にも最適
ホビー ミラージュ・リンクス(提供:HOBIE JAPAN)

2021年に登場したミラージュ・リンクスは、SUPのような手軽さに、足漕ぎカヤックの機動力を組み合わせたニューモデル。幅91cmの船体は安定性にとても優れており、艤装のしやすさも考慮されたデザインとなっています。なによりも「軽さ」が特筆もの。船体重量が約20kgのため、カートップや準備・片付けがとにかくラクです。また、出艇場所までに段差や坂道があってもあまり苦になりません。 「ライト」で「気軽」がコンセプトのカヤックライトゲームに、これほどピッタリなカヤックはないでしょう。

ライトゲームには足漕ぎカヤックが最適

ホビーカヤックの最大の特徴「ミラージュドライブ」は、ペダルを踏みこんだままにすると、フィンが水平の状態をキープでき、水深30cmくらいの浅瀬も乗り越えていけます。 さらに、現行モデルのすべてのホビーカヤックには「キックアップフィン」が標準装備されています。「キックアップフィン」とは、障害物に接触したフィンが自動的にはね上がりスタックや破損を防ぐ機構。シャローエリアでの安心感が倍増しています。

プロペラ式と比べてミラージュドライブはアマモが絡みにくく、絡んでも外しやすい点も良いところですね。また、釣りをしている最中、ロッドを持ったまま、少し足に力を込めるだけでカヤックの方向を修正できる足漕ぎカヤックは、繊細なアタリを逃したくないライトゲームにおいて大きなメリットをもたらします。

カヤックライトゲーム徹底解説【時期・ポイント・道具・釣り方】初心者にも最適
カヤックライトゲーム徹底解説【時期・ポイント・道具・釣り方】初心者にも最適
機動力の高さが魅力のホビーカヤック(提供:TSURINEWSライター・福永正博)

安全釣行を心がけよう

ご紹介してきたカヤックライトゲーム五目釣り。なにかしらの魚が釣れる可能性が高く、釣り初心者の方や、初心者に釣らせてあげたい先輩アングラーにおすすめです。

ただし、「ライト」で「気軽」とはいえ、安全面だけにはじゅうぶん注意して釣行を楽しんでくださいね。

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<福永正博/TSURINEWSライター>

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