出世魚とは、成長に合わせて名前が変わっていく魚のこと。一番有名なのはブリ一家で、最大のブリに成長するまでにいくつかの名前があります。

スズキとともに釣りではなじみがあり、成長過程でモリモリ食べてガンガン動き回る魚です。今回は、出世魚についてお話しします。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・丸山明)

サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】...の画像はこちら >>

出世魚とは

釣り人というものは、1cmでも型の良い魚を釣りたい気持ちが根強く存在しています。その心理が影響して、過大過少の表現が生まれてしまうのが出世魚です。

昔の武士が年齢や出世に伴い改名するように、大きさによって出世して名前が変わるので、おめでたい魚ともされています。ブリやスズキがその代表。マダイやマグロも若魚の呼び名がありますが、これらは出世魚と言いません。

普通の魚も日本全国で標準和名とは別にさまざまな呼び方がありますが、文字でまとめるのはとても容易ではありません。ですから、ここでのお話は、私の地元関西と関東での一般的なメジャーな呼び名を取り上げます。

サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】地域でも違いあり
サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】地域でも違いあり
出世魚のサワラとハマチ(提供:TSURINEWSライター・丸山明)

大きい魚が釣れると励みになる

ハマチが釣れましたねと言うと、これはツバスだと返答。どう見ても50cm近いのですが……。そこで、ハマチの大きさはどのくらいと聞くと、ツバスより大きいのだと。

では、ツバスは? ハマチより小さいのだと。曖昧な話です。

志が大きくハマチはどんと腕を広げてこのくらいからだということで話を終えましたが、そりゃあなたメジロワラサのサイズでしょう……。

釣りでの会話で多々ありそうです。志の大きな方は、小さ目に言って志を大きくする反面、ひとつ上の出世魚が釣れると自身の気持ちでは嬉しいでしょう。特定のサイズを目標にすると、日々の釣りで励みになります。

スケールを持っていると釣りを楽しめる

サラリーマンの役職のようにひとつ上になれば嬉しいもので、出世魚もひとつ上のランクになると釣り人は満足です。過度な志高くや根性悪なしで、物差しがあればわかりやすいですよね。釣果のサイズをきちんと測って、例えば80cmを超えていれば、ブリが釣れたと大喜び。釣りがもっと楽しくなります。

そこで、ブリはもっと大きいのだと言ったら、ショボンです。私もそのレベルで、ハマチと思いながら計測して、60cmを超えていたら「メジロだ!よーし!もう一匹釣ってやれ」と意気込みます。

これも、60cmや80cmのレベルアップサイズがあればこそなので、嬉しさを倍増させる魚体を測るスケールは、持っておくとより魚釣りを楽しめるでしょう。

サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】地域でも違いあり
サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】地域でも違いあり
スケールがあるとサイズがわかりやすい(提供:TSURINEWSライター・丸山明)

出世魚の代表とは

さて、釣りになじみの深い出世魚の代表を見てみましょう。日本各地では、数知れないほどの名前があるので、今回記載したのは関西と関東の一般的な表現です。

私がTSURINEWSに寄稿した記事では、ウィキペディアに準拠して記していますので、ここでのサイズも同様に紹介します。

ブリ

出世魚の代表と言える魚でしょう。夏の若魚ツバスからひと潮一寸という成長と聞きますが、群れの個体がひと潮ごとに大きくなるのが実感できる強者です。

様々な釣法がありますが、晩夏から初冬までがシーズン。私もキャッチ&イートで、釣って楽しく、モリモリ食べます。

・関西 ツバス(40cm未満)→ハマチ(40cm超~60cm未満)→メジロ(60cm超~80cm未満)→ブリ(80cm超~)
・関東 ワカシ(35cm未満)→イナダ(35cm超~60cm未満)→ワラサ(60cm超~80cm未満)→ブリ(80cm超~)

ツバスワカシの若衆に若干の差がありますが、関東、関西ともに名前が変わる大きさの境い目はほぼ同様です。全国的に80cmを超えた個体は「ブリ」と呼ばれます。

サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】地域でも違いあり
サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】地域でも違いあり
出世魚のブリ(提供:TSURINEWSライター・丸山明)

サワラ

こちらの魚は、関西関東共通のように通じます。

・サゴシ(60cm未満)→サワラ(60cm以上)

ナギとかヤナギと呼ばれる若魚もあるようですが、播磨灘で聞いたことはありません。本種はサバ科に属する食味の良い魚種で、私の中で食べたい魚ナンバーワンです。

スズキ

魚類のみならず脊椎動物全体で最大種の「科」どころか「目」で、とんでもない派閥の本家です。ルアーで狙う場合は、シーバスの名称が一般的で、大型になるとランカーサイズとも呼ばれます。

出世が絡むのはエサ釣りの領域のようで、若魚のハネ(フッコ)サイズは親しみの多いサイズでしょう。

・関西 セイゴ(40cm未満)→ハネ(40cm超~60cm未満)→スズキ(60cm超~)
・関東 セイゴ(40cm未満)→フッコ(40cm超~60cm未満)→スズキ(60cm超~)

サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】地域でも違いあり
サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】地域でも違いあり
ハネサイズのスズキ(提供:TSURINEWSライター・丸山明)

秋は大きくなった出世魚が回遊する季節

秋の深まりで、メタボなブリやメジロがゆうゆうと回遊してきますし、細いサゴシでなく体高のあるサワラがゴツイ顔して喰って来る季節です。

内海の播磨灘でもメーター超のチャンスが出てきますが、そこまで大きくなくとも、ワンランク上の出世魚を狙って釣りを楽しむのも面白いですよ。

サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】地域でも違いあり
サイズによって名前が変わる出世魚3選【ブリ・サワラ・スズキ】地域でも違いあり
サイズを測って出世魚を楽しく釣ろう(提供:TSURINEWSライター・丸山明)

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<丸山明/TSURINEWSライター>

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