いよいよ寒グレシーズン到来。三重県・紀東磯も西高東低の気圧配置になると海はベタナギ状態になり、各磯釣りエリアでは日に日に釣り人の活気で満ちあふれる。

しかし近年の温暖化で海水温が下がらず、以前までのグレ釣りパターンではなく年々読めなくなってきているが、ここ3年間のパターンを私なりに分析し解説していこう。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版APC・武田英敏)

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寒グレの特徴

本来寒グレ狙いとは、水温が下がりエサ取りやコッパグレが少なくなり、産卵の準備で動きだす良型グレを狙うことだが、近年の温暖化で三重県の各エリアでわきグレ(表層に群がるグレ)が出だし、そのわきグレが居着くパターンが多くなった。

梅雨グレや秋グレとの違いは、やはりエサ取りの活発の違いを挙げられる。小アジ、小サバと言ったやっかいなエサ取りはいなくなり、サシエが良型グレに届きやすく潮流さえ良ければ比較的簡単に釣れることが多い。寒グレシーズンは青物などの回遊も少なく、邪魔をする魚も少ない。

近年尾鷲名物だったネンブツダイ(赤ジャコ)もめっきり少なくなったが、イスズミやヒブダイが増え、海が変わってきている。

大型メジナ狙いの【寒グレフカセ釣り】入門 温暖化の影響で釣りが変わった?
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冬の磯はやっかいなエサ取りが少なくなって釣りやすくなる(提供:週刊つりニュース中部版APC・武田英敏)

わきグレの多いポイントを狙う

フィールドのポイント選択は地方磯、沖磯が良いのかはシーズンによって異なるが、近年は過去(かなり前のデータ)の実績は、全くあてにならないことを頭に入れておきたい。

潮流が変わってきたのか水温のせいか、以前良型グレが毎シーズン釣れた所が全く釣れなくなってしまった磯もある。最近の紀東磯は、12月ごろからわきグレが見られるようになり、このわきグレが居心地の良い磯に着くと、大爆釣パターンが多い。長ければ産卵が終わる4月ごろまで続く。

ホットな情報収集で釣果が変わってくるので、SNSなどでシーズン中はいつもチェックしておくこともお勧めする。

最低水温時(2月中旬~3月初旬)も17度前後を推移しているため、潮通りの良い磯では良型尾長グレもヒットしてくるので頭に入れておきたい。

大型メジナ狙いの【寒グレフカセ釣り】入門 温暖化の影響で釣りが変わった?
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うまくハマれば良型が爆釣することも(提供:週刊つりニュース中部版APC・武田英敏)

寒グレのタックル選定について

寒グレ攻略でのタックル選定で一番大事なことは良型グレが狙える、自分のレコードサイズが狙えるシーズンであることを想定しておくことだろう。

勘違いしてはいけないのが、トーナメント仕掛け(食わせることを優先、規定サイズの数釣り)に惑わされないこと。細いハリス、小さいハリは食いが良いのは当たり前のことで、小さいタックルで良型グレを獲るのも釣技。

反対に太ハリス、大きなハリで食わせるのもまた釣技だ。

これらは永遠のテーマであるが、私は後者をお勧めする。小さいタックルで釣りを練習するのは、あえて寒グレシーズンにすることではないように思う。「食わせたら絶対獲る!」を前提にタックルを紹介したい。

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参考仕掛け図(提供:週刊つりニュース中部版APC・武田英敏)

筆者の使用ロッド

サオだが、私の場合は特殊釣り場以外はサオは今シーズンの話題のロッド、がまかつのアテンダーⅢ1.5‐50をメインロッドとして使用する。すでに5回の釣行で使用した感想は扱いやすい胴調子で、腰だめ仕様でサオを起こせば魚が暴れずに浮いてくる素晴らしいロッドだ。

リール

リールはダイワ2022トーナメント3000XH‐LBD。私が言う特殊釣り場とはどんな釣り場かと説明すると、サラシ場でハエ根だらけの釣り場、浅場のシモリだらけの釣り場、口太グレの55cm級の実績釣り場、これらを私は特殊釣り場と言い、タックルは離島クラスを準備する。

リールは2500番クラスで十分。メーカー、グレードは本人の好みで決めればいいと思う。

道糸

ミチイトだが私はバリバス磯サスペンドタイプ、フロートタイプ1.75、2号(メインは2号)を、エリアやグレのヒットする平均サイズによって使い分ける。

サスペンドタイプのラインカラーはハイパーレッドを採用。風の強いときに、軽い仕掛けでウキを沈めていくときに使用する。

フロートタイプのラインカラーはフラッシュグリーン。風が比較的弱く遠投、浅ダナ狙い、シモリ周り狙いに使用する。

視認性の高いカラーラインナップが特徴で、サラシの中でもひと目で見つけることができるカラーを採用しているので使いやすい。ラインでアタリを取る釣りにはもってこいだ。

自然相手ゆえに強風でミチイトがあおられ、仕掛けが風によって全くナジまないときは、PE0.6号+ハリス10mで釣る場合もある。超遠投時も使用する。

ハリス

ハリスはバリバスのゼロハリス1.5~2.5号。こちらもエリアやグレのヒットする平均サイズによって使い分けるがほとんど2号の使用が多く、状況に応じて食いが渋かったり、食わせるのが優先の場合は1.5号まで細くする。

良型狙いでも食いの渋いときは1.2号まで細くする場合もあるが、今までに細くしたことにより50cm級を食わせた、ゲットしたことは一度もない。バラして泣くなら時には潮待ちも大事だ。

ハリ

ハリはがまかつ一刀グレ5~7号(6号がメイン)、セレクトグレ5~7号(6号メイン)。

ハリも食い渋り時にはサイズを下げていくが、50cmオーバーの狙えるエリア、ポイントでは6号以下に下げることはほとんどない。良型グレをタモ入れ前に何回かすっぽ抜けのハリ外れした経験が何度もあるからだ。

50cm以下のグレを狙うなら、道具をどんどん小さくして食わせることを最優先にすればいいが、紀東磯で50cmオーバーの寒グレを狙うなら、ある程度考え方を変えて良型グレに失礼のないタックルでゼロバラシのつもりで挑んでほしい。

ウキの選択とローテーション

私の場合ウキはカン付きウキを使用し、状況に合わせて瞬時の交換を優先する。メインのウキは釣研のk‐6・00号~5Bを使用。よほどの荒天や強風などの悪条件以外では、k‐6・00号からスタート。

ウキ止めを50cmほどの半遊動に設定する(ガン玉G7を打つことがほとんど)。アタリが取れなければ、すぐにT‐LANCER・Sの00号に交換する。

大型メジナ狙いの【寒グレフカセ釣り】入門 温暖化の影響で釣りが変わった?
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K-6の00からスタートすることが多い(提供:週刊つりニュース中部版APC・武田英敏)

逆光でウキが見にくければトップをNT‐TOP逆光イエローにする。さらに細かいアタリを取るときは、ロングの150mmに交換する。遠投で確実にアタリを取りたいときは、ど遠投ReMAX NT・00号~5Bに交換する。

磯際周りで全くアタリがない場合は大征黒沈めを使用し、大遠投で沖の潮の変化のある所を狙っていく。

近年紀東磯も良型のわきグレがよく出るため、大遠投できる大征黒0号にハリスを切らずにワンタッチ可能なアタリウキ(0号~B)を使用し、タナを矢引きぐらいに設定して好釣果を上げている。それぞれのウキはラインを切らずに瞬時に交換でき、短い時合いに合わせていく私のウエポンとなるカン付きウキだ。

大型メジナ狙いの【寒グレフカセ釣り】入門 温暖化の影響で釣りが変わった?
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ウキも状況に合わせて使い分ける(提供:週刊つりニュース中部版APC・武田英敏)

マキエとサシエ

寒グレシーズンの6時間から7時間の釣りで、マキエはオキアミ6kg、配合エサはマルキユーの遠投ふかせスペシャル、ニューグレパワーV11、V9スペシャルを各1袋。向かい風や遠投が必要な場合は、現地でグレパワー遠投を適量追加する。

紀東磯でも近年遠投の釣りが好釣果につながったり、わきグレが多くなったことからマキエを混ぜた後、足で踏みつけることでフルスイングの遠投でもマキエが割れることなく、ポイントに的確に打ち込めるようになる。磯際でパラパラッとシャクの横ギリで投げたいときは、仕切りバッカンに水分少なめマキエを分けて使用する。

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マキエはフルスイングでも割れることがないように固めに(提供:週刊つりニュース中部版APC・武田英敏)

サシエ

サシエはマルキユーのスーパーハードL(一部には活性起爆材グレを添加)、くわせオキアミV9L、スペシャルL、特鮮むきエビ、ボイルオキアミL、生オキアミL各サシエにはアミノ酸α 大漁ボトルを添加する。

サシエにLサイズをなぜ使用するのかは、サシエのロットによってMサイズでは小さく選別して使用しなくては6号のハリにほとんど合わないことがあるためだ。

反対にロットによってMサイズでも選別なしに使用可能なときはMサイズ使用もする。

食いが渋く生オキアミのむき身が良いときもあるが、私はほとんどマルキユーの各種加工エサを使っている。食いが良いときほど、各種サシエのローテーションがサイズアップにつながることもよくある。

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使用しているエサ(提供:週刊つりニュース中部版APC・武田英敏)

良型とのやり取りのコツ

まずは釣り座の周囲をチェックする。シモリやハエ根の位置を把握し、グレがヒットすればどこでやり取りするか、どこでタモ入れするかを考えておく。2人釣行なら助っ人してもらえればいいが、1人釣行なら大事なのがフィニッシュだ。寒グレの50cmオーバーの抱卵魚になれば、2kg前後はあるためタモ入れも容易ではない。

私が紀東磯で一番大事で釣友にいつも言うことは、リールのオープンベールで50cmオーバーを狙うときは、釣り座、狙うポイント(シモリ周り狙い、ハエ根がキツいなど)を考えること。仕掛けを流して潮を釣る場合はオープンベールの待ちでOKだが、それ以外はお勧めできない。

良型がヒットすれば1回でも多くラインを巻き取り、グレに先手を取られることなくやり取りすることが大事だ。オープンベールでの待ちの釣りは、時と場合によって使い分けなければ必ず痛い目に遭う。

やり取り時のサオの角度は立ててやり取りよりも、腰に当てての横にサオの角度を持ってのやり取りの方が暴れない。

状況によっては立ててのやり取りが必要なときもあるから、一概には言えないが。

最後に寒グレは自分のレコード魚を狙えるシーズンであることを頭に入れ、バラシをしないことを優先に楽しんでいただきたい。

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寒グレ攻略のコツ(提供:週刊つりニュース中部版APC・武田英敏)

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<週刊つりニュース中部版APC・武田英敏/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2023年12月15日号に掲載された記事を再編集したものになります。
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