「加水分解」という言葉をご存じだろうか?症状として感覚的にいえば、ゴムっぽい部分がネバネバしてくることだ。釣り具でも、関連する部品でよく加水分解が起きる。

加水分解が起きると、物によっては大変なことになるので、対応を知っておきたい。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)

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加水分解とは?

まず、加水分解とは何か?化学的な説明をする。

水が「化合物」の結合を切って、化学的な変化を起こすことである。その過程で、ネバネバしてくる症状が起きる。私たちの生活の身近なところでは、ウレタンゴムやポリウレタンで加水分解が起きやすい。

加水分解はスニーカーのソール付近でもよく見られる。新品状態でもある程度は加水分解の過程にあるというのだから、実はヴィンテージのスニーカーが運よく未使用品で見つかったとしても、部分的な加水分解は進んでいると思った方がいい……。

加水分解する釣具一覧

では、釣り具で加水分解していく部分といえば何か?

有名なところではリールのハンドルだ。樹脂とゴムをかけあわせたような素材をしているのが、大体のハンドルのデフォルトだが、この状態からでも加水分解が進んでいく。水に濡れたまま暑いところに放置していくと目に見えてすぐ加水分解する。

釣り好きなら知っておきたい「加水分解」 予防には日頃の手入れと保管が大事
釣り好きなら知っておきたい「加水分解」 予防には日頃の手入れと保管が大事
ハンドルの加水分解に注意(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

もっとも加水分解したところで、ハンドルの替えは比較的安価に買い求めることができる。ただ釣り場で気づいたときには、ハンドルのネバネバはかなりストレスなので、よく注意しておきたい。

ヘッドライトのボタンが加水分解!?

筆者の経験なのだが、先日、釣り場でヘッドライトのボタンが加水分解していることに気づいた。

釣り好きなら知っておきたい「加水分解」 予防には日頃の手入れと保管が大事
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ヘッドライトのボタンの加水分解(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

こんな小さなものまで……もはや完全な予防など不可能なものだが、あくまで一例としてご紹介しておこう。それにしてもこいつが全面的に加水分解してしまったらどうすればいいのだろうか?上からマスキングテープを貼れば、ひとまずその場しのぎにはなりそうだが。

どう予防するか?

加水分解を予防するには、まず日頃の手入れと保管が大事だ。

水に濡らしたら、きれいに拭いておくか、風通しがいいところで乾かしておく。また保管時には湿度に気を付ける。高湿度の場所では加水分解が起きやすい。釣り具を湿気た場所に置いている方は要注意だ。靴箱に除湿剤を置けと言われるのも、そのような理由からである。

釣具の保管は、直射日光が当たらない冷暗所で、湿度にも気をつけながら、というのが理想的だ。

梅雨時など湿度が高くなるときには、除湿剤も置いてやったほうが本当はいい。

避けられない運命ではある

加水分解が進むものというのは、要するにすべてが、消耗品。つまり行くすえ加水分解が避けられない。根本的に防ぐことはできない。その術はない。受け入れるしかない。

交換部品を用意しておくことが対策だ。

リールのハンドルなどはまあ交換が効く。その他のものも大体OKだろう。しかし何よりも困るのは、実は、何度かこの話の中で繰り返しているが、靴だ。靴の加水分解が釣り場で起きてしまうと、最悪な状態となる。

釣り好きなら知っておきたい「加水分解」 予防には日頃の手入れと保管が大事
釣り好きなら知っておきたい「加水分解」 予防には日頃の手入れと保管が大事
靴の加水分解(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

筆者は10年履いていたスニーカーを、加水分解でダメにしたことがある。

ソールが後ろ部分から剥がれてしまい、パカパカいいはじめたのである。この日は消波ブロックにも乗っていたので、ダメージががつんときて、ついに運命のそのときを迎えたのだ。

私の場合、これが帰り道でのことだったのでまだよかった。しかし釣り場に着いた途端にこうなっていれば、その日は快適な釣りとはいかない。安全な釣りができない。予備のものがなければ退散となるし、帰りの運転だって危ない。

加水分解も考え、安物のスリッポンでも何でも、靴の予備も本当ならば車にでも置いておきたいのだ。

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<井上海生/TSURINEWSライター>