今が旬でピークを迎えている麦わらイサギを狙って那智勝浦へ釣行しました。イサギはもちろんのこと、ウメイロや尾長グレなど五目釣りとなった釣行をレポートいたします。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター田中こうじ)
初夏が旬の麦わらイサギ
麦わらイサギという言葉を聞かれたことはありますでしょうか。初夏に産卵を控えて真子・白子が大きくなり、体にも栄養を蓄えてポテポテになったイサギのことです。サイズ・数ともに良く、食べても美味しい魚です。
また、この時期のスルメイカをムギイカと呼び重宝されるので、「麦」と付くと旬の魚だと思ってよいかもしれませんが、麦わらマダイというと産卵を終えてやせ細ったマダイのことを言いますので、ご注意ください。
那智勝浦でイサギ釣り
そんな訳で6月7日、今が旬のイサギを狙って那智勝浦へ行きました。集合時間は3時45分と早めです。聞けばイサギの時合いは早朝に限られるらしく、日の出にはポイントに入っている必要があるとのことでした。左舷トモに私、右舷トモに釣友Sさんが釣座をとって出船しました。

前には3人グループがいましたが、船長によると普段はルアー釣りをされているそうで、今回はエサ釣りに挑戦されるとのことでした……。1年前の自分を思い出して思わず笑ってしまいました。港を出て南下し、梶取崎沖のポイントを目指しました。
ポイントでは船長が初挑戦の3人に電動リールの使い方や釣り方を説明していました。曇天で日の出を見ることはできませんでしたが、イサギの顔を見ることはできるのでしょうか。
指示ダナステイで3点掛け
ポイントは30~45mの起伏がある岩礁帯です。まきエサカゴにオキアミを詰めて、3本針にもオキアミを刺して投入します。
少し浮いたので20mを狙ってくださいと追加の指示が出ます。20mまで巻き上げて再びステイしていると、クッとアタリがありました。スーッと持ち込んだのでロッドでついていってスイープにアワセを入れます。コンコンと叩くような引きで上がってきました。3本針にパーフェクトにイサギが掛かっており、上から小・小・中というサイズでした。30cm未満はリリースと決めて手返し勝負です。
40cm級交じりに連発!
前のルアーマンたちもイサギを抜き上げています。全員がイサギを抜き上げるのを待って、船長が潮上に上ります。
今思えば、少し遅れて仕掛けを投入した方が型が良かったかもしれません。前のルアーマンたちはジャンボサイズを仕留めていました。まきエサが入ると小型から反応するのではないでしょうか。次回に検証したいと思います。
トリプルからスタートしたイサギ狙いも、ダブルがあったのは初めだけで、5流目からはさしエサが残ることもありました。魚探には水深10mから底までびっしりと映っているそうですが、食ってこないようです。これが船長の言う「早朝に限られる」ということなのでしょうか。船長が小刻みにポイントを移動して食う反応を探してくれたおかげで、退屈しない程度に釣れ続けました。
ウメイロ3連掛け達成!
「ここはウメイロが混じるポイントです」と船長。今年はまだ大きな群れが入ってきていないらしく、単発でしか釣れていないとのことでしたが、1流目。バシュッと引っ手繰るようなアタリ。ロッドを引き込まれましたが、少し我慢してからロッドを立てます。立てたまま我慢しているとギューッと重さが加わります。ダブルかと思いながらゆっくりと巻き出すと、さらに重くなりリールが巻けません。

トリプルかもと思って慎重に巻き上げ、ハリスを手繰るとフラッシュイエローの魚……。嬉しいウメイロの3連でした。ウメイロは夏の魚で非常に美味しく、人気のターゲットです。Sさんもウメイロを仕留め、前方でもウメイロが上がって盛り上がりましたが、急激に渋くなりました。それでも船長は「新しい群れが入ってきた」と喜んでおられました。
ポイント移動で尾長グレを狙う
ウメイロもイサギも反応しないため、「尾長が混じるポイントに行きましょう」と船長。ハリス4号に尾長針をセットした仕掛けにチェンジします。水深30mから20mの掛け上がる瀬の上に尾長らしき反応があるそうです。
22mでアタリがありましたが、イサギでしたので、次の流しでは浅めの18mでカゴをステイしてアタリを待ちます。前アタリもなく、ドスンとロッドが引き込まれました。強めにアワセを入れるとドラグが滑ります。ロッドを曲げて対抗し、隙を見てリールを巻いて魚を浮かせると、38cmの尾長グレ。18mで当たったことを共有し、次の流しでも同サイズを仕留めました。
40cm超え尾長キャッチ
調子に乗りましたが、次に来た魚は一枚上手でした。クッという前アタリを送り込むとドキュンとロッドを引き込まれてドラグが滑ります。止まるまで待って巻き上げていると、再び強引に引かれてドラグが滑り、軽くなりましたが、魚の引き抵抗を感じたので不思議に思いながら浮かせると、良型のイサギが1匹。
え?イサギがこんなに引いたのかと思いましたが、一番下のハリが無くなっていました。イサギが食ったことが良い誘いとなって尾長が食ったのでしょうが、飲み込まれて噛み切られたのでしょう。悔しい……。歯が鋭い尾長にはこうしたことがあります。

それでも私とSさんは40cm超えをキャッチしましたが、前のルアーマンたちは飛ばされただけで終わったようです。
イサギやウメイロは浮かせるとエアが入ったりして弱ってしまいますが、尾長にはそれがありません。特にハリスを手繰るタイミングで船の下に潜り込むように抵抗してきます。最後まで激しく抵抗する最高のファイターです。
アマダイ狙いに転戦
その尾長も食わなくなったので、「アマダイに行きましょう」と船長。この日は、天秤五目とアマダイのリレー便でした。シロアマポイントまで大きく移動して水深50mの砂泥底です。

カゴを外して2本針にホタルイカとオキアミのさしエサで狙いましたが、潮がまったく動いていませんでした。少しでも気配のある場所を探して、水深90mまでのアマダイポイントをランガンしましたが、白と赤を1匹ずつ仕留めただけでパッとせず。潮が動かないうえに赤潮が出ている場所もあり、渋い状況でした。
最後にアカイサギを狙う
残り1時間。船長と相談の結果、深場へアカイサギを狙いに移動しました。水深120mに立ち上がった反応がありました。
最初の流しからすぐにアタリが出て、ヒシダイを連続キャッチ。菱形の変わった魚ですが、「この魚の煮付けが旨いんですよ」などと同船者と話していましたが、調子に乗ったのはここまで。周りは良型アカイサギを連発しているのに、私はハチビキばかり。120mのボトムまで仕掛けが落ちることなく、90mでハチビキの餌食となりました。どうしようもありません。
泣きの入れ直しで小型を1匹仕留めましたが、納得のいかない終わり方でした。今思えば、深場でアピールするための夜光玉が余計だったかもしれません。
今後の展望
釣れたイサギは真子・白子が大きくなっており、産卵間近です。叩いてしまうと食味は落ちるため、狙うならお早めに。ウメイロと尾長は真夏がシーズンです。今年は、シブダイ(フエダイ)を狙ってみると船長が言っていたので、これも楽しみですね。

<田中こうじ/TSURINEWSライター>