水産庁が9月から導入したクロマグロ遊漁の新制度で、規制初月となる9月は採捕量が0.5トンにとどまり、新制度開始後では初めて禁止措置が発動しなかった。例年9月以降は釣果が落ちる傾向があり、今年もその傾向を反映した結果となった。

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9月はクロマグロ禁止措置発動せず 採捕は0.5トン止まりで「...の画像はこちら >>

9月はクロマグロ採捕禁止発動せず

水産庁が令和7年度4月から導入したクロマグロ採捕数量制限の新制度下において、9月は採捕量が上限に達しなかったため、禁止措置が発動しなかった。これは新制度開始後、初めてのケースとなる。

新制度では4月から8月は月上限5トン、9月から翌年3月までは月上限3トンが設定されている。導入初期の4~8月はいずれも数日以内に規制が発動し、わずか数日の解禁期間しかなかった。

これに対し9月は上限3トンに対してわずか0.5トンと極端に少ない消化量となった。例年9月以降は採捕数量が減少する傾向があり、今年もその流れに沿った結果となったと言える。

9月はクロマグロ禁止措置発動せず 採捕は0.5トン止まりで「死に枠」の懸念も
9月はクロマグロ禁止措置発動せず 採捕は0.5トン止まりで「死に枠」の懸念も
9月は採捕禁止にならなかった(提供:TSURINEWS編集部・河野)

増枠の裏に隠れた実質的な抑制

新たな制度では、4月から8月は月5トン、9月から翌年3月は月3トンと、期間ごとに固定の上限を設けている。令和7年度から遊漁に割り当てられる年間枠は40トンから60トンに増えたが、実際には多く釣れる月を制限することで総採捕量を抑える仕組みになっている。

この方式では、豊漁月ほど短期間で規制が発動しやすく、強制的にブレーキがかかる構造となる。特に最盛期に枠を広げる措置はなく、むしろ同じ上限で縛られるため、数日で禁止が発動するリスクが高い。

その結果、好条件の時期に十分な釣行機会が確保できず、釣り人にとっては計画を立てにくい要因となっている。

9月はクロマグロ禁止措置発動せず 採捕は0.5トン止まりで「死に枠」の懸念も
9月はクロマグロ禁止措置発動せず 採捕は0.5トン止まりで「死に枠」の懸念も
ルール比較表(提供:TSURINEWS編集部・藤田)

“死に枠”が釣り人の逆風に

気温の低下とともにクロマグロの釣果は少なくなり、今後は採捕禁止が発動しない月も出てくる可能性がある。そうなれば、シーズン外の「使われない月の枠」が死に枠となり、遊漁者にとっては逆風となる。

資源管理の強化が進む一方で、実際に釣行計画を立てる釣り人にとっては不便さが残りそうだ。

10月の動向は?

10月も引き続き月上限3トンの制限下で解禁されているが、執筆時点では採捕数量や禁止措置の発動状況は公表されていない。

気温の低下とともに釣果が減少する傾向があるため、9月同様に規制が発動しない可能性もある。

最新の採捕状況は、水産庁「クロマグロ遊漁の部屋」で随時更新されているため、釣行を予定している遊漁者は必ず確認してみてほしい。

9月はクロマグロ禁止措置発動せず 採捕は0.5トン止まりで「死に枠」の懸念も
9月はクロマグロ禁止措置発動せず 採捕は0.5トン止まりで「死に枠」の懸念も
採捕状況を確認して釣行計画を立てよう(提供:PhotoAC)

<藤田浩平/TSURINEWS編集部>

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