投げ釣りの代表的なターゲット「カレイ」。食べて美味しい魚で、釣り物の少ない冬季の貴重なターゲットでもあります。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関西版APC松尾幸浩)
カレイの生態
カレイの仲間は国内に30種類以上生息しています。釣りの主なターゲットとなっているカレイはマコガレイとイシガレイですが、冷たい水を好み寒い地域ほど生息する種類が豊富なため、北海道や東北などではヌマガレイ、ナメタガレイ、マツカワカレイ、クロガシラカレイなどのカレイもターゲットになります。

今回は幅広い地域でポピュラーな種類のマコガレイとイシガレイを中心に解説していきます。
カレイの食性
平べったい魚体から想像がつくように底生の魚で、砂地の海底でゴカイなどの多毛類や、甲殻類、小魚などを捕食しています。捕食方法は、見た目が似たヒラメのように素早い動きで獲物を捕食する魚ではなく、ウロウロと泳ぎながら視覚と嗅覚を駆使して砂の中の生き物を探し捕食しているようです。
視覚については視力自体はあまりよくないですが、動くものや光るもの、砂煙などが視界に入ると好奇心旺盛に集まってくるといった習性があります。
カレイ釣りの時期
まずはカレイ釣りのシーズンを四季ごとに解説していきます。
晩秋~初冬は初心者でも狙いやすい時期
秋の深まりとともに街路樹の葉が少しずつ色づき始めると、カレイシーズンが到来します。

カレイは水温の高い夏場は水深のある深場の海底で過ごしますが、水温が下がってくる10月ごろになると、産卵に備えてエサの豊富な浅場に接岸してきます。この産卵前のシーズンは手堅く釣果の得られる大きなチャンスとなります。
真冬は難しいタイミングも存在
本格的な冬に入ると産卵行動に入り、捕食を行わなくなる個体が多くなるので釣果が落ちてきます。真冬以降のカレイを狙うポイントは産卵後の体力を回復するためか、水深があり、潮流も少し落ち着いた内湾などの場所が好ポイントとなることがあるので覚えておきましょう。
春の花見カレイも釣りやすい季節
初春の2~3月頃は「戻りカレイ」とも呼ばれる時期で、まだ産卵から回復しきっていないカレイが多いものの徐々にエサを食べるようになります。この時期は水温も低くエサ取りも少ないため、捕食が遅いカレイにとっては好都合で、活性こそ高くはありませんが十分にカレイを狙える時期です。
その後、桜の開花シーズンになると体力が戻ってきたカレイがより活発にエサを求めるようになります。「花見カレイ」とも呼ばれる時期で秋と並んでカレイ釣りのハイシーズンの一つです。
夏はオフシーズン
夏は水深のある深場の海底に移動するため、陸っぱりからは狙いづらい時期になります。またエサ取りも活発な時期で、水深の安定した深場などカレイのいそうな場所を狙っても他の魚ばかり釣れるということも多く、オフシーズンと認識している釣り人が多いでしょう。
とはいえ北海道や東北では水温が低く、夏に狙えるカレイの種類も存在するのでほぼ一年中陸っぱりからカレイを狙うことができる地域もあります。
カレイの釣れやすい時間帯
カレイは「時合い」がこないとエサを食べないとよく言われており、捕食に動くタイミングで釣行することが重要です。カレイが動く時間帯は、朝マヅメと夕マヅメの薄暗い時が一番の狙い時です。
次に潮のかわり目、満潮や干潮で潮の流れる方向がかわる時、速度も速くなったり緩くなったりと変化があれば時合いに入ることが多くなります。反対に潮が止まってラインもタラーンと垂れ下がっているような状況ではあまり期待できません。潮時表で釣行日の満潮、干潮の時刻はしっかりと確認しておきましょう。
荒天後は大型のチャンス
天気もカレイの釣果に関係する要素です。天気のいいベタなぎが続くととても釣りやすいですが、潮が澄み過ぎてしまうとカレイも警戒し食いが落ちることも。反対に荒天で海が荒れた後は、大型カレイが近くまで寄って最高の狙い時となります。筆者もこれまで何度も面白い釣りを経験しており、釣行できればチャンスとなるでしょう。
夜釣りでは釣れる?
一般的には日中に狙う魚ですが、狙い方次第では夜にも釣れる魚です。カレイはエサを探す際、視覚に頼る部分も大きい魚なので、仕掛けにケミホタルや夜光ビーズといった発光体をつけるのは絶対条件となります。また、常夜灯周りを狙うなども有効です。
場所選びが釣果を大きく左右
カレイは「時合い」が大事なため、最低でも半日程度は同じ場所で粘らないと答えが出ないことも多く、ポイントをどこに選ぶかが釣果を大きく左右します。堤防選びの前提条件としては海底が砂泥質なこと。
その上で、まずは秋にカレイが釣れる場所の条件を整理してみると、近くに速い潮流が流れていることが多いです。
また、その潮裏となる港内にも必ず潮が入ってくることが条件となります。真冬や春の場合は、産卵前シーズンに釣れたポイントも有望ですが、時期の項で書いたようなもう少し潮流が緩やかで水深がある産卵後のシーズンのみ釣れるポイントも存在します。
堤防内で狙うポイント
狙うポイントの目安は、潮目、反流点、航路筋に加え、テトラ際や岩礁、藻場などの障害物周りとなります。まず、潮の流れは重要で、港内でも一番奥の潮の流れがほとんどないところではあまりカレイは釣れません。他に比べて複雑に潮がよれているところにはエサが豊富なので魚影が濃くなります。

また、船の通る航路筋も狙い目。スクリューで海底がかき回され、エサが舞い上がって見つけやすくなるのがカレイには好条件で、航路のカケアガリにシモリや障害物が集まりエサも溜まりやすく好ポイントとなります。その他では藻場やテトラ際、沈み根などもカレイが着いていることが多いポイントです。
カレイの投げ釣りタックル
つづいてカレイ釣りのタックルを紹介していきます。
カレイ釣りの竿
投げ竿を使うのが一般的で、長さは3.6~4.2m。自身の体格に合ったものを選びましょう。オモリ負荷は25~30号程度あるものがいいでしょう。

また、カレイ釣りは待ちの釣りなので、できれば同じ竿を3セット用意したいところです。こうすれば投げ釣りのセオリー通りに遠、中、近と投げ分けて、幅広く探ることができます。
カレイ釣りのリール
リールは中、大型のスピニングリールで、カレイ狙いならドラグなしでも対応できます。ラインはナイロンライン4号を150mくらい巻けば十分。障害物の少ない堤防の場合は飛距離重視でPEラインもオススメです。
また、重いオモリを使用してキャストしたときにラインが切れないように、道糸の先にはチカラ糸(12~5号のテーパーライン)をつないでおきましょう。
それと、近場の根掛かりの多いポイントにも対処できるように、ナイロンライン8号などの太めのラインを巻いた替えスプールがあれば便利です。
カレイ釣りの仕掛け
道糸と仕掛けはスナップサルカンで接続し、モトスは7号、ハリスは4号で、ハリはカレイ12号の2本針が基準。これなら30cmオーバーの大型カレイでも十分取り込むことができます。また、針と針が近い距離にあり、エサにボリューム感を出してアピールできる段差仕掛けを使うのもオススメです。
オモリの使い分け
オモリは潮流の速い場所なら流され難いものを選択します。円盤オモリやドーナツ型、六角オモリなどがよく、遊動式のL型天秤にセットしましょう。また、港内などの比較的流れの緩いポイントで釣る場合は、ジェット天秤などの半遊動天秤が使いやすいです。
仕掛けへの工夫が鍵
カレイは好奇心旺盛で派手なものに興味を示しやすいので、仕掛けへの装飾も有効です。からみ止めパイプに光りものをつけたものや、針のチモトに発光玉やビーズ玉、エッグボールなどを入れるなど、エサがカレイの目につくような工夫をしてみましょう。針も色の選択のほか、毛鉤やケイムラ加工など工夫の余地があるので色々と試してみるといいと思います。また、様々なパターンの市販仕掛けも売られています。
オススメ市販仕掛け
ささめ針/特選達人直伝誘Vカレイ
仕掛け全体にケイムラ加工が施されたアピール重視の仕掛けです。ケイムラは一定の光量がある状況で特に有効なので、マズメ時や濁りのある状況で効果を発揮します。
がまかつ/カレイダブル誘惑仕掛
シンプルな段差仕掛け仕様の製品です。エサのボリューム感を演出することでカレイを寄せることができます。
エサは虫エサを使い分ける
投げ釣りのカレイのエサは、ズバリ!虫エサが中心。その中でも代表格がイワイソメ(マムシ)、アオイソメ、コガネムシです。エサの種類ごとに特徴と付け方を紹介します。
イワイソメ(マムシ)
イワイソメはカレイ釣りでよく使われるエサでマムシ、イワムシなどとも呼ばれます。このエサは匂いでアピールするエサなので、付け方は1匹を切って使いハリ先から1cmほど垂らして刺します。
アオイソメ
他の投げ釣りでも定番のアオイソメはカレイ釣りでも有効なエサです。イワイソメと違いこちらは動きでアピールするエサなので、付け方は3~5匹房掛けにしてカレイを誘います。匂いで誘うイワイソメと動きで誘うアオイソメを、枝針と先針に分けて付けたり、ミックス掛けにしたりするのも定番の使い方です。
ウチワゴカイ(コガネムシ・アカコガネ)
コガネムシの名で知られるウチワゴカイもよく動くエサでカレイ釣りの特エサとして知られています。地域によっては非常に有効なエサですが、釣具店に売られていないことも多いのが難点です。付け方は小型なら1匹掛け、大型なら切って使いましょう。
水温が高い時期の代用餌
水温がまだ高い時期はエサ取りが活発で、生きエサではカレイの口まで届かない場合もあります。そんなときはユムシや虫エサを塩漬けにした塩虫も有効です。この二種と生きエサのミックス掛けも効果的になります。
釣り方のコツは投げ分け
カレイは待ちの釣りとも言われますが、ただ待っているだけでは、カレイは釣れません。

できるだけ広範囲に探り、早くカレイの寄り場を見つけるのが大事です。そのためにも遠、中、近と投げ分けて順番に探るのが一番。また、エサ取りの多い時は投入の間隔を狭め、海底にエサが残る時間を増やしていきましょう。
カレイには誘いが効果的
そして、短い時合いを生かすためにも、ゆっくり、ゆっくりと誘いを掛けてポイントの周りのカレイを呼び集めるのが重要です。数分置きに竿を大きくあおり、リールを巻いて仕掛けを手前に引きずってくると、この動作で砂煙が発生し、カレイの習性上エサを見つけようと集まってきます。また、ウミケムシやヒトデを避ける意味でも、誘いは忘れないように実行しましょう。
潮の速さによる釣り方
カレイの釣り場は潮流が速い場所も多いので、潮が速い時は仕掛けが流され難い近投で狙います。潮が緩んできたら遠くへ飛ばして探りましょう。堤防の先端では潮の流れる方向へ投入すれば釣りやすくなります。
アタリとアワセ
アタリは誘った直後に出ることが多いですが早アワセは禁物。カレイは口が硬いのでしっかりとハリ掛かりさせるためにも一呼吸待ってから竿を大きく立ててアワせます。アワセが弱いとハリがスッポ抜けることがあるので気をつけましょう。大型になると足元にきてから「グイグイ」と強烈に締め込むから、ゆっくりと慎重に浮かせてタモですくうようにします。強引に抜き上げるとバラしやすいので注意しましょう。その観点からもタモは必需品となります。

最後にカレイ釣りは寒い時期が中心なので防寒対策はしっかりと考え、安全のためにもライフジャケットを必ず着用して楽しむようにしましょう。
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