アクアリウムと言う言葉はすでに日本でも浸透して久しいが、最近では魚だけではなく植物を含めた生き物一般、またはそれにとどまらないアクアリウムも注目を集めている。今回はそんな楽しいアクアリウムを紹介したい。

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)

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ヒトは遊泳する生き物に癒される

幼い頃から金魚やコイを家で飼った事がある人は多いはず。それは観賞用として購入してきたり、金魚すくいなどで景品として貰ってきたり、はたまた池や用水路などで採集してきたりと、入手方法は様々だが、なぜか「生き物を飼う」歴史は続いている。

目的は生き物そのものが好きだったり、泳いだりしているのを見ているだけで癒されたりと、個人の好みによるところが大きいだろう。

アクアリウムの概要

アクアリウムという名称は「アクア=水、液体…」でも分かるように水を使ったもので、水族館から家庭用の小さな水槽まで、水生生物を飼育する設備の事である。もっとも有名なのは観賞魚や熱帯魚などを飼う水槽なので、生活の中でアクアリウムと接する人は数多いハズ。

多様化する『水槽』の世界 「コケ」や「岩」で世界観を表現することも
いわゆる飼育水槽もアクアリウム(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

水生生物を飼育していると、できるだけその生き物が住みよい環境を人間の立場で考え、水草を入れてみたり、魚が休んだり身を隠せる障害物を入れてみたりと、何もない水槽からどんどんと「飾り」が増えてくる。

要するに、以降に紹介するいろいろなアクアリウムも何も入っていない寂しい水槽よりも、ワクワクする、癒される水槽を作っていきたいと言う考えから発展してきたのではないだろうか。

筆者の部屋も水槽だらけ

筆者も幼い頃から自宅の部屋の3面が水槽で、大工さんに頼んで3段の水槽棚を設置、幅40cmから大きいサイズでは150cmもある家庭ではかなり大きな水槽を大小20個近く並べてはいろいろな水生生物を飼育してきた思い出がある。

やはりその時にも最初は底石に水を入れて少量の水草を浮かべ、魚を入れて泳ぐ姿を眺めていたが、やはり何か寂しい。思いついたのは陶器でできている小さな土管や貝殻、そして流木などの障害物である。これらを水槽に入れる事で変化が生まれ、魚の動きにも影響を及ぼすので、その変化を楽しんだ経験がある。

サカナに代わる主役が台頭

当時は、「水生生物を飼う」と言う点しか興味がなかったものだが、いろいろな人が自分の好きな方向に変化、発展させていけるのもアクアリウムの特徴である。好きな魚、好きな形の水草、そして好きな人工構築物など、お気に入りの景色を作りやすいのもアクアリウムの特徴だ。

前置きが長くなったが、現在、熱帯魚などを豊富に扱っているペットショップに行ってみると、驚かされるくらいいろいろなアクアリウムのコーナーが存在する。

もちろん主役は淡水魚、海水魚を含めた魚である。

が、泳いでいる魚よりも遙かに目立つ水槽内の主役たちが数多く登場してきている。その主役たちの種類、ジャンルによって呼び方もかわっている。一部を紹介していこう。

リーフアクアリウム

リーフとはサンゴの事である。日本では沖縄などに代表される南方系の海に居る生き物。生き物としたのはサンゴ自体、実はクラゲなどと同じ刺胞動物に属している立派な海洋生物である。自然界ではすぐ近くに居ない種類のサンゴを水槽内に配置する事で自分の好きなサンゴの集まりを作る事ができる。

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リーフアクアリウム(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

入手はショップで

ただし、飼育できるもの、できないもの、難しいものなど種類によってさまざまなので、もし、リーフアクアリウムを始めるなら、まずはそれらを扱っているペットショップや熱帯魚ショップに行って話を聞いてみよう。

自然界にも生息する種類は多いが、飼育、観賞用として勝手にサンゴを採集すれば、環境破壊をする事になるので、入手はショップからの購入が条件と言っていい。ショップなどで売られているサンゴは比較的飼育がしやすかったり、飼育方法が確立しているものが多いので、スタッフにアドバイスを受ければ始めやすい。

注意点としては、もちろん海水での飼育となるため、海水槽である事が前提だ。海水を使うアイテムや設備なども必要なため、そちらもまずは相談して欲しい。

珊瑚礁の魚とともに

サンゴをメインとして水槽に入れるのだが、それだけだとやはり寂しいため、たいていは珊瑚礁に住む魚たちも同時に飼育する人がほとんどだ。少し前に流行った、イソギンチャクとの共生で有名なクマノミなども珊瑚礁域に多い魚だし、色鮮やかなブルーをしたソラスズメダイやデバスズメダイ、ルリスズメダイなどもサンゴの間を泳ぎ回って非常にかわいくて癒される。

テラリウム

これはアクアリウムとは少し一線を引くが、アクアが水なのに対して、テラは地球である。広義に取ると陸上と言うイメージだ。テラリウムと言うと聞き慣れないかもしれないが、要するに水を溜めるのではなく、水槽内に陸上の景色を作って動物を飼育する方法である。

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テラリウム(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

有名なのは昆虫飼育

おそらく、もっとも知られているのは、カブトムシやクワガタムシなどの昆虫飼育である。これも立派なテラリウムなので、案外接している人は多い。

アクアリウムと同じで、何もないところに昆虫やその他、陸上の生き物を放して飼育するよりも、よりその生物が生息している環境を作ってやる事でストレスを軽減して長生きしてもらう必要がある。そして、テラリウムでもお好みで陸上の自然を再現するのが流行だ。

たとえば、湿気の多い環境を作ってシダ植物などを植え、カエルを飼育するなんて言うのも面白い。

要するに、水の中を見るのではなく、陸上の小さな景色を楽しむための水槽だ。

ただし、魚類などは水から意図的に出てくる事はないが、陸上の生き物は飛んだり跳ねたり、よじ登ったりして隙間が開いていれば水槽外に出てくる事も多いので、飼育する種類によっては気を付けなければならない。

植物は種類が多い

陸生の植物が主役となるのだが、地球上にはその種類は多く、日常に路上で見つける植物の種類でももの凄い数に上る。こちらも強い日差しが必要であったり、乾燥に弱い、湿度に弱いなど種類によって特徴があるのと、たとえば一緒に飼育する生き物に合わせるのも選択肢の一つである。

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市販の植物も数多い(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

テラリウムが陸上の水槽と紹介したが、実はそれだけにはとどまらない。アクアリウムがあり、テラリウムがあるのだから、両方を1つの水槽で再現できるのである。川や湖沼の水際を再現すれば水の中には魚が、陸上には、は虫類や両生類の姿があるような水槽もできる。

アクアテラリウムと言う考え方

すでに家庭でもできるセットなどが販売されているのだが、合わせてアクアテラリウムと呼ぶ人も居る。ただし、両方を一つの水槽に設置させるので、やや大がかりな水槽になる。

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幻想的な景色も(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

陸上の動き回る生き物を飼育せず、陸上に関しては植物のみ…と言うのであれば、陸上部分はオープンにできる。そのために水槽を斜めにカットした専用セットも販売されているほど人気だ。

コケリウム

このテラリウムをさらに細分化して、流行しているものの一つにコケがある。コケを水槽に入れて育てるのだが、「コケリウム」などと呼ばれて、最近ではホームセンターのペットショップなどでもセットが売られている。

多様化する『水槽』の世界 「コケ」や「岩」で世界観を表現することも
コケリウム(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

コケの場合、比較的日陰で湿気の多い場所に生えている種類が多いため、小さな水槽で湿度を常に保つように育てるのだが、しっかりと育ち始めると日が経つにつれて風格が出てくると言う人も多い。

小さな森を再現?

また、入手できるコケの種類も多くなってきた事で、いろいろなコケを水槽内で組み合わせて、自分だけの小さな世界を作る事ができる。よく見るのは、ミニチュアの構造物(家や石、動物)などを置く事で、森など田舎の景色を小さく再現しているもの。これは作り手のイメージや思い入れが強く出るので面白い。

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小さな世界観を再現(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

アクアリウムロックとは

さてここまでは魚、動物、植物など生きているものが主役となるのが共通だが、水槽での楽しみ方はそれにとどまらなかった。先日、ペットショップに立ち寄った時に、水槽に石が並んでいるのを見つけた。

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石が並ぶ水槽(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

てっきりその中にはトカゲなどの生物がいるのかと思いきや、水槽内は砂と石のみである。そして、石の種類がけっこうあって、並べ方などから、オーストラリアのエアーズロックを再現してみたり、雄大な岩の景勝地をイメージしたりと、こちらもアクアリウムに負けず劣らずの作者の思い入れが感じられた。

天然の石が主役

実はこれ、すべて天然石で入手方法は自分で拾ってきたり、専門のショップで購入したりと様々だが、その石ごとに色合いや質感が違う。もちろん、基本的に全てが天然の石なので、水槽の中に雄大な自然を再現する手伝いになる。

種類としては気孔石(きこうせき)、紅木化石(こうぼっかせき)、石斧石(せきふせき)、青華石(せいかせき)、紫光石(しこうせき)、紗紅石(さこうせき)、黒光石(こっこうせき)、貝堆石(ばいたいせき)などなど、非常に多いのだが、漢字を見つつその石を見ると「あ~なるほど」と言った妙な納得感があった。

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これは青華石(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

もちろん、石を飾るだけではなく、同時に生き物を入れて飼育もできる。岩場に生息するような生き物にはピッタリの景観だ。ほかにも水が入ったアクアリウムの中に入れ込んでも、もちろんOKだ。

水中、陸上、水陸、コケ、そして石まで、水槽での楽しみ方はまだまだ無限に広がっていくだろう。自宅の中で、小さな水槽の中で自分がイメージし、欲していた景観が再現される喜びは小さくとも年齢を問わず、人に癒しを与えてくれる。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>