昨年11月は70~80尾の釣果も出ていた大阪湾のタチウオ。今季はまだかなりムラが激しい様子だ。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
片道1時間40分の遠征
11月20日は、北西でやや強い風が吹く予報。今回乗船したのは大阪・天保山から出船するヤザワ渡船。大型遊漁船なので、波が少々あっても揺れはあまりなく、予定通りの洲本沖を目指した。
ただ、1時間40分かけて到着したのは洲本沖よりもさらに南下した由良沖だ。かなり遠征となったが、周辺にたくさんのタチウオ船が浮かんでいるところを見ると、今はこの辺りが釣れているのだろう・・・と納得。
当日のタックルとテンヤ
当日のタックルは、極鋭タチウオテンヤSP197AGSのロッドにリールはフォースマスター400DH、道糸はPEライン2号にリーダーはダブル仕様。フロロカーボンリーダーは上が6号1m、下が12号70cmとした。テンヤはグロー系、リアルカラー系と違う系統を数個出してエサを巻いて準備する。

エサはサンマとイワシ
エサは自分で捌いて塩で締めたサンマと、練餌海道の特殊加工サンマ「KingDragon」、そして、船で配られるイワシを準備してみた。このところ、イワシも一応、テンヤにくくりつけて用意はするのだが、終わってみれば結局、サンマのみ使っていた・・・と言う事が多く、当日もイワシのエサでは1度も投入しなかった。

サンマの身は自宅で処理をすると、塩の量や粒子の大きさ、漬け込む時間などをかえる事で身の硬さをある程度調整する事ができるので便利だ。硬さで変化を付けるのか、特殊加工サンマのように食い気を誘う誘因物質で食いがかわるのか・・・。
水深90m超の深場でスタート
探見丸のスイッチを入れて画面を見ていると水深は93m。いきなりかなりの深場からスタートとなった。北西の風に船を立てて船長から「やってください。
探見丸の画面を見ると、ベイトの映りが全くない。通常、タチウオはほとんど魚探画面に映る事はなく、どちらかと言えばベイトの層を探し、その上なのか下なのか、真ん中なのか、どこで反応が出やすいのかを探ればパターンが見つかるが、反応がないとは・・・。
そこで、まずは底までテンヤを送ってから1ピッチでリールのハンドル1回転と、やや速めの巻き上げでスタート。素早くタナをリサーチして、掛からなくてもその速度で反応するタチウオが居れば、だいたいの目安が分かるからだ。
底付近ではアタらず、ほんの小さな反応が出たのは60m辺り。かなり浅いタナだ。そのまま誘い続けると50mくらいまではアタリが続くが、何か掛けどころのない反応だ。おそらくフグの仕業だろうとそのタナを諦めて、再びフォール。
80mで突き上げのアタリ
すると、次は80mくらいでトンとタチウオ独特の突き上げるアタリ。少し巻いてステイさせると再びトン。そこで、ゆっくりとリールで巻くとそのうち、グーッと重みが乗ったところでアワせた。1尾目は、指3本半ほどの小型。
ここでタチウオをすぐに外して即投入。あまりポイントがズレないうちに同じようなタナでアタリが再現できるかを試す。サンマエサは身持ちが良いので、手返しが良くなり助かるのだ。
変動するタナを探る
すると、まったく同じタナでアタリが出始め、今度はラインが緩むほどの食い上げで同サイズのタチウオがヒットした。これでタチウオの居場所が分かったので、「入れ食いか・・・」と思ったのもつかの間、アタリが途絶えてしまった。
相かわらず魚探画面にはベイト反応が出ていないが、タチウオは釣れている。では、どこに食い気のあるタチウオがいるのか・・・。再びやや速めに探っていると、お隣でタチウオがヒットしたのでタナを聞くと「底の方です。たぶん、底から10m以内」との事。そうか、次は底か。
すぐにテンヤを底まで落として、今度はややスローに誘い上げる。1ピッチでリールのハンドル4分の1回転の速度だ。底近くに居るタチウオに対して探る速度を上げるとすぐにタナを通過してしまうため。
底付近でヒットもサイズ揃わず
水深は徐々に深くなり気付けば100mに落ち込んでいた。ここで反応が出たのは94m。かなり底の方だ。そして、深いタナのタチウオは往々にして、鈍いアタリながら掛かりが良い。モゾッとかヌーッとした反応でアワセを入れると掛かる事が多く、そのパターンでまた2尾を取り込んだが、1尾は50cmほどの超小型、もう1尾は1mクラスとなぜかバラバラなサイズだ。

もしかすると、アタってもなかなか掛かってこないのは、タチウオのサイズがバラバラなので、超小型がエサをつつきに来れば掛からず、良型が食いに来れば掛かる・・・といった具合なのかもしれない。
潮の流れるタナ
実は釣り開始から少し変化に気付いていた。それはスタート時には底を探っても、かなり潮での巻き上げ感が軽く、底潮が動いていないとイメージしていた。それが、後になると底潮の流れを感じるようになってきた。タチウオは居るのだが、潮が流れていないタナでは食いが悪いのか。
という事は、やや重く感じる、潮が流れているタナを中心に探れば良い。少し抵抗が大きくなるように、サンマを大きめに巻いて試してみる。やはり、底での誘いでほんの少しだが重さを感じれば底で反応が出る。
ただ、この日はそのタナがコロコロかわり、タチウオの食ってくるタナが安定しない。仕方なく、常に広い範囲を探りながらアタリを取っていく拾い釣りになってしまった。こんな時はあまり数が出ないのは仕方がない。
ようやく底潮が動き始めると
それでも潮の重さ、流れに気付いた分、まだ効率よく攻める事ができたのか、中盤には10尾を超えてなんとかツ抜けに成功。少しして仲乗りさんが「何尾釣れました?」と聞いてきたので、11尾である事を答えると「いやあ、この状況でツ抜けしてくれるのはありがたい」と。周囲はかなり苦戦をしているようだった。

終盤に底潮が動き出すと、ほんの少しだがタナが安定したようで、それまで竿を曲げていなかった人にも、「底付近でしっかりと誘ってください」とのアドバイスでタチウオがヒットしてくれたのはありがたい。
結局、この日は14尾と低調ではあったが、魚探に映らないベイトの中での拾い釣りで、神経と身体の疲れが心地良い。パターン化して入れ食いを楽しんで数狙いに徹するのも楽しいが、ポツリポツリとある反応を探るのもタチウオ釣りの面白さである。
この日の一考察
ちなみに帰宅後にタチウオを捌くと、全てのタチウオが腹の中には何も入っていなかった。この日、流したエリアには魚探に反応が映っていなかった事を考えると、ベイトが消えてしまったのでは・・・と考えられる。
消えたベイトを探して、タチウオたちも右往左往、上下にエサを探し回って、ちりぢりに動いているため、タナがコロコロかわったのかと、タチウオの気持ちになって考えてみたが、さて・・・。
捌いたタチウオは最盛期の脂の乗りではなかったが、炙り、薄造り、塩ユッケなどで食べてみたがまだまだこれから美味くなる・・・その直前の味と感じた。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>
▼この釣船についてヤザワ渡船
出船地:大阪市港区