今年も残すところ後わずか。お正月には親戚一同が集まり、みんなでワイワイ食事という方もいるのでは?そこで今回は、より華やかに見える刺身の盛り付け方を解説。

(アイキャッチ画像出展:Pixabay)

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お正月は、刺身の盛り合わせが食べたいが

この時期は、様々なサカナが旬を迎えます。特にお正月では、親戚一同が集まり、めで鯛とされるタイをはじめ、マグロやブリなどをお刺身で食べる機会が増える傾向にあります。

正月の食卓を彩るお刺身の切り方と盛りつけ方 失敗しないための5つの秘訣
お正月はめで鯛魚を(出展:PhotoAC)

そんな時、スーパーの鮮魚コーナーで販売されている平盛りや流し盛りされたお刺身では量が少し心もとなく感じるはずです。

また、鮮魚コーナーで見かけるお刺身用のサカナの柵を買うには、綺麗な切り方や盛り付け方がわからないという人もいらっしゃるでしょう。

お刺身の盛り合わせを大人数用にたくさん買ってしまうと、思った以上にお金がかかってしまいます・・・。

そこで今回は、お刺身の切り方や盛り付け方について解説していきます。

刺身の上手な切り方

まず、魚の身(柵)を切るときのコツから解説していきます。

この切り方は、このあとご紹介する盛り付け方以外にも使えるものなので、なんとなく頭の片隅で覚えておくと良いかもしれません。

刺身を美味しく切るコツは只一つです。

それは「一太刀で切る」こと。

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柵には刃元から入れる(出展:PhotoAC)

包丁の刃元を「柵の手前側」に当て、すーっと引きながら1回で切ります。この時、包丁の重みを使うと上手に切ることができます。刺身は、やわらかく崩れやすいため、出来る限り身に触れる回数を減らすことが理想とされます。

良くない切り方としては、包丁刃先を「柵の奥側」から当て、手前に引きながら切ってしまう方法です。

身がぐちゃっとつぶれて、見た目や食感が悪くなってしまう可能性があります。

なるべく柵と包丁の接触回数を減らすように心がけましょう。

赤身を切る時の向き

赤身魚を切る時に意識したいのは、刺身の柵の目(筋肉の筋・繊維)です。まず、右上から左下に向かって目が流れるように、まな板に置いてください。

その際、柵の厚みが均一でない場合、奥側が分厚くなるように置きましょう。柵の目が、左上から右下に置いてしまったり、手前側い分厚い側を置いて切ってしまうと、繊維に引きずられて身がぐちゃっと崩れやすくなってしまいます。また包丁を入れる角度は目に対して直角になるように意識しましょう。

そうすることで口当たりがよくなると言われています。そして刺身の太さは、1cm幅くらいの間隔で切ると、お刺身のシルエットも美しくなります。

白身を切る時の向き

白身魚の目はほとんどの場合、赤身魚とは違い「くの字」に入っていることが特徴です。

その場合は、目の向きは気にしなくてOK。ただ赤身魚同様に、柵の厚みが高いほうを奥にして置くことだけ忘れないでください。

白身魚の柵は、そのサカナの大きさにもよりますが、尾の方が細くなっていることが多いです。最後までまっすぐ切ってしまうと、刺身の大きさが不揃いになってしまいます。

ひと切れの大きさを揃えるため、最初はまっすぐに切り、柵が細くなるにつれ斜めに切っていくと、仕上がりの大きさを揃えることができます。

赤身と白身の切り方を覚えたところで、次は基本的な刺し身の盛り付け方の種類をご紹介します。

盛り付け方の種類

まずは、代表的なお刺身の盛り付け方を解説していきます。

基本的な盛り付け方は3つあります。

「こうでなければいけない」と言うものがあるわけではないので、ネタの種類や量によって盛り付け方を選ぶといいでしょう。

平盛り(ひらもり)

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平盛り(出展:PhotoAC)

最も一般的な盛り付け方なのがこの「平盛(ひらもり)」です。お刺身の盛り合わせなどでもっともよく使われている盛り付け方になります。

お皿に刺し身を盛り付けるときに、特に高低差をつけることなく、平面的に盛り付けることからこう呼ばれています。

ネタの数が多ければ多いほど彩りが美しくなりますが、それと同時に仕上がりの難易度も上がっていきます。

まずは3種類くらいから盛り付けるのがおすすめです。

ポイントは「似た色の料理を隣同士にしない」と「料理と料理の間にすき間を空けない」の2つです。

これらを意識すると美しく仕上がりますよ。

流し盛り(ながしもり)

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流し盛り(出展:PhotoAC)

単品のお刺身や握り寿司などでよく使われている盛り付け方です。同じ向きに流れるように刺身を並べるが特徴です。

刺身に限らず、和食では「左を正面にして右に傾けて並べる」という方法が基本とされています。

これは人間の視線がまず左に注目し、そこから右へと流れることが大きな理由です。人間の習性を利用した盛り付け方と言えるでしょう。

放射盛り(ほうしゃもり)

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放射盛り(出展:Pixabay)

放射盛りとは、正面を設定せずに上下左右が対象になるように料理を並べる盛り付け方です。

この盛り付け方は、握り寿司を桶に並べるときなどによく使われています。大根のツマや大葉を使用しないため、簡単でなおかつ綺麗に見せやすい盛り付け方なので、初心者向きであるといえるでしょう。

失敗しないための5つのポイント

ではここからは具体的に失敗しにくくなるポイントを5つご紹介します。

これらを意識することで、出来上がるお刺身はいつもとひと味もふた味も違ったものになること間違いなしです。

1.意図的に余白を作る

家庭ではどうしても盛り付けに失敗しがちです。彩りを美しく表現するには器に対してのネタの量を調整することが肝心です。

食器に対して6割以上の空間を空けることを心がけてみてください。お皿いっぱいにネタが乗っているとどうしても安っぽくなってしまいます。

スペースをの残すことでかなり上品に仕上げることができます。

2.奥から手前へ

盛り付ける時は、大前提として、一番奥から盛り付けるようにしましょう。

奥から配置することで、全体のバランスを考えやすくなります。

前述の「余白」と、このあと出てくる「高さ」「色のバランス」を意識しながら盛りつけていきましょう。

 

3.高低差をつけるツマと青じその使い方

お刺身のパックを買ってくると必ず入っている大根のツマ。この大根を上手に使うことで、盛りつけを立体的にすることができます。

まず、ツマを大きめに丸めてギュッとにぎり、皿の奥側に置きます。そして、その上に青じそをのせます。この時、青じそは正面から見て少し右斜めに傾けると、らしく見えますよ。

具体的には、青じその上に刺身を3~5切れくらいツマに寄りかからせ、立たせるように置きましょう。刺身は種類ごとにまとめ、角度をそろえてそれぞれが見えるように少しずつずらして置くのがポイントです。

奥側から手前の盛り付けに従って、ツマの量を減らし、高低差をつけることで、すべてのネタが見え、どの食材も主役になることができます。

4.飾り食材を配置する

刺身とツマ、青じそだけでは色味が少ないので、飾り食材を配置するようにしましょう。

飾り食材とは、赤ツマ(人参の千切り)や紅たで、かぼす、ミニトマト、かいわれ大根、穂じそなどの食材のことを指します。

これらをネタとネタの間や、空いているスペースに配置してみてください。これはファッションで言うところの「差し色」と同じ効果があります。

濃い色のものを少量使うことで、その周囲のネタをより一層引き立たせることができます。

5.五色配置を意識する

飾り食材の話に付随しますが、和食の世界では「しょう、おう、しゃく、びゃく、こく」、つまり青(緑)、黄、赤、白、黒(茶)の五色が盛り付けにおける配色の基本色であると言われています。

これら五色にはそれぞれに視覚効果があるので、料理の盛り付けをするときにバランス良く配置すると以下のような効果を得ることができます。



・青(緑)…….安心感
・黄・赤…….…食欲増進
・白………..……清潔感
・黒(茶)……引き締め

映える「盛り付け」を!

以上の5つのポイントを押さえることで、失敗しにくい盛りつけができると思います。

ほとんどの人が、一年を通してもなかなかお刺身を盛り付ける機会が少なく、練習するタイミングもあまりないと思います。その状態でいきなりぶっつけ本番で望んでも、上手に盛り付けるのは難しいでしょう。

一度、盛りつけや、出来上がりのイメージをしっかり固めてから作業すると失敗しにくいかもしれません。

素人とは思えないような盛り付けをして、SNSで「映える」盛りつけをしてみてください。

<近藤 俊/サカナ研究所>

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