1月13日釣友に誘われ、同僚2人と私の合計3人で初めての手こぎボート釣行へ、大津港の石田丸へ訪れた。ワクワクと不安半々のデビュー戦はラストにドラマが待っていた。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS編集部 小菊)
大き過ぎるクーラーは吉とでるか?
予定集合時刻に私が30分遅刻。渡辺さんをピックアップして現地へ。そのため、車を止めるところが少なくなっていたが、なんとか近場に駐車できた。受付とボート貸出料金4000円+その場で買ったエサ代の支払いを済まし荷物をボートに持っていく。
欲張りな私は、35Lクーラー、バッカン、ハードケース、竿3本を用意した。しかし、移動が大変で往復で息が上がる。経験者の釣り友は竿2本に25Lクーラー、バッカンが1つずつというスマートな装い。
「クーラーデカっ!荷物持ってきすぎだよ」と同僚に笑われたが、結果35Lクーラーを持ってきて正解に?
まずは漕ぐレクチャーから
受付で受け取った引換券を渡し、ボートに乗船する。しかし、私は車に券を忘れ、大荷物でも息を切らしたが、さらにダッシュで取りに戻る。釣りをする前から既に息が切れで、ゼーゼーだ。
積み込みをするときは、漕ぐときに抵抗が少なくなるよう、重いものとエサをトモ側に載せ、ほかはミヨシ側に載せるように店主からアドバイスを受けた。また、漕ぐスペースにはなにも載せないようにするといいらしい。荷物をボートに載せ、いざ出船。湾内で手漕ぎボートのレクチャーを受ける。
漕ぎ方のポイントは、
1.腕でオールを漕がない。
2.オールを水中に入れるときは、なるべくミヨシから下に向かって入れるようにして水を大きく動かす。
3.力を入れるのはオールが水中に入っているときのみ。
4.方向を変えたいときは、曲がりたい方向の逆手を漕ぐとそちらに進む。
と教わり、とりあえず漕ぎ方を軽く練習し最初のポイントへ。

蛇行運転でなんとかポイントへ
もともと行きたかった「武山根」のポイントは人が大勢いるのと、ノリ棚があり、アンカリングが難しいということで、「ガレバ根」を目指す。
海の状況はベタナギだったが、無風快晴のなかキレイに直進できず暴走族のような蛇行運転でポイントまで向かっていく。潮の影響も多少あるが、少し気を抜くと左右の水を押す力が均等に保てず、右へ左へとボートが回転してしまう。
小休止を入れつつ、少し疲れたがなんとかポイントへ到着。アンカリングする前に仕掛けやアンカーが絡まないよう全員が40mずつ離れてアンカリング。私は魚探がないため、勘でアンカリングを行う。
アンカーを入れ終われば、次はロッドキーパーや仕掛けの準備だ。ロープが伸び切り走錨していないことを確認してスタート。
エサ用アジ狙いでサビキからスタート
まずは、泳がせエサ用のアジを確保するために、サビキ釣りからスタート。コマセの解凍を忘れ、ボート店で買ったシャリシャリのコマセを詰めて投入。
水深は魚探を装備している小菊さんから23mと教えてもらう。アジは底付近にいることが多いので着底後にシャクって底から3m前後までを探っていく。
2投目、上がってきたのはウミタナゴ。「お前じゃない!」と思いつつ、続投するとようやくアジ。しかし取り込みが上手くいかず、海面でポチャッと落ちてしまった。次投でようやく取り込み、キーパーにつけた竿で泳がせをスタート。
サビキに掛かったアジに大物の気配!?
サビキでは、1投1尾ずつアジを確保。群れになっていないようでなかなか多点掛けを狙っても釣れない。そんななか、巻き上げ直後いきなり引き込まれる強いアタリがでた。しかしすぐに軽くなり、上がってきたアジを確認すると、歯形が残りと皮がめくれていた。歯がするどいフィッシュイーターに噛まれたのだろう。ただ「なぜ、泳がせ竿に来ないんだ」と悔しさだけが残る。

投入するたびサビキバリにフグの被害
引き続き投入し、バンバンコマセを撒いていく。しかし、寄ってくるのはコモンフグばかり。スレ、口掛かり、釣れたウミタナゴにまで噛み跡がつくほど、相当数がいるようだ。
そして、仕掛けも噛み切られ続け、サビキ仕掛けは2本バリになってしまった。釣れるアジのサイズも泳がせではベストなサイズだが、食べるには小さすぎる。一応、エサ要因としてすべて確保しておく。その他20cmほどのかわいいマダイも顔を見せてくれる。

アジはピンポイントでしか掛らない
そのころ小菊さんにはアジのアタリはなく、フグばかりが掛かってくるようだ。そこで私の潮上にポイント変えて、再度アジを狙う。しかし、当日のアジはかなりピンポイントでしか釣れな状況だった。それでも小菊さんも運良くアタリの場所に入れたようだ。
私は粘って10尾ほど確保したので、6号のテンヤに冷凍エビをつけて周囲に投げて探っていく。テンヤで周囲を探ると、近くに根があることが判明。そこを再度攻めると23cmのカサゴが上がった。

しかしこの後潮がとまってしまう、さらに1時間フグに悩まされた。
潮の変化に期待して
少しずつ上げ潮が動きだしたのを、他のボートの向きで確認できたため、山立てで覚えた最初のポイントしかないと思い13時ごろに移動。
サビキと泳がせで始めるも、前者にはアジが釣れず、フグ&フグ。テンヤもフグかトラギス。テンヤで探った結果、根から少し離れていたので、10mほどロープをたぐり、縛って根に寄せる。
そして、14時に沖上がりと決めて残りが50分。今日は「ダメかなぁ」と思いつつ、諦めずアジを小さく元気なものに交換し、根のそばに投入しなおした。
初ボートでドラマフィッシュ!?
少しすると潮が動き出し、流れが少し早くなった。このタイミングで釣れなければ諦めようと思いつつ、フグしか釣れないサビキを惰性で続けつつも、泳がせの竿先を見ていると、いきなりバタバタと無言の主張。
アジが暴れはじめ、「これは!」と思い、サビキを回収し泳がせタックルに注視。眺めていると、竿先が曲がったり戻ったり、ユルユルのドラグが少しずつ出始め、ヤツと確信。
しばらく待ち、ラインにテンションが掛らないよう、ロッドキーパーから慎重に手持ちへ変える。大きく曲がったところでアワセを入れると大きく暴れだした。無事に掛かったことに安堵しつつ、慎重に巻き上げると、スピード感はないもののトルクのある引きが伝わってくる。
上がってきたのは良型のヒラメ
用意していたタモが小さく入らず、しかも親バリがネットに刺さってしまった。そこで慎重に魚の引きにあわせて、ネット動かしフィッシュグリップでどうにかキャッチ。
粘り倒してようやく釣ったため、「おっしゃー」と雄叫びを上げてしまうほど嬉しい1尾だった。肉厚で美味しそうと思いながらクーラーへ。残り10分で再度アジをつけて投入し、ほかは片付けてすぐに帰れるようにセット。しかし。なにごともなく沖上がり。

帰船はヘトヘトに
帰着後はヘトヘトで足元がフラフラ、手のひらにはマメが1つ。釣れていなかったらオールが更に重かっただろうなとしみじみと思った。

ヒラメをお店で計測してもらうと、60cm2.3kg。最高のボートデビューができた。この日は、全体的に厳しかったようで、ほとんどの人はアジすら釣れなかったようだ。そんななかでもワラサクラスやヒラメも上がっていたので、エサさえ確保すれば期待できるだろう。
ヒラメは翌日に昆布締め、刺身、エンガワを食べたが脂乗りがいい個体で非常に美味しかった。

ボートの感想
自分でポイント選びができ、釣ったときの達成感が強い。また、自由に好きな釣りを楽しめるのは、乗合船とはまた違った楽しみだ。陸っぱりメインの人やイメージしながら自分で釣りを組み立てる人は、かなり楽しめると思う。特に、釣った達成感がとても強く、自由気ままに楽しめるので、私にマッチしていると感じた。

また、心配の種だったボートの安全性だが、想像していたよりも安定していた。立ちあがったり、荷重を一カ所に極端に掛けたりしなければ、大丈夫だろう。もちろんポイント移動もしっかりとできた。
逆にクーラーの上に座る、中腰で動くなど重心を少し高くすると極端にバランスが悪くなってしまい、転覆や落水の可能性が高くなる注意が必要だと感じた。そしてなによりも、走錨や潮の流れ、ほかの人は釣れているかなど安全確認を含めて周囲を確認することを勧める。ついつい釣りに没頭してしまいがちだが、周囲の確認は怠らないようにしよう。
最後に、手漕ぎはほかの船と比較してピッチの短い揺れのため、酔う人は酔い止め必須だろう。
手漕ぎボートデビューする人向けに
1.荷物は両手に収まるくらいがベスト
2.ボート上では絶対立たない
3.手袋があると漕ぐときとアンカーを上げるときにマメや怪我を防げる
4.まめに周りを見て安全や状況の確認をする。
5.漕ぐと汗をかくので飲み物は多めに用意し、インナーの着替えがあると尚いい。
6.魚探がないなら底を取る仕掛けで周囲を探り、地形変化を探すのがお勧め。
7.魚探が欲しくなる呪いに掛かるので注意。
手漕ぎは陸っぱりや遊漁船とも違うジャンル。比較的手軽な料金で長時間、少ない道具で楽しめるので、気になったら挑戦すべき!
<TSURINEWS編集部/四家>
▼このボート店について石田丸
出船場所:東京湾・大津港