例年、1月に入ると問い合わせが多くなり、1月末には出船が始まる「ラングイの寒サバ」。和歌山・湯浅から出船するなぎ丸では、1月25日に開幕を迎え、40cm超の良型も交えてまずまずの釣果となった。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
『ラングイの寒サバ』
和歌山・湯浅の名物とも言える『ラングイの寒サバ』。湯浅港から出船し、2時間近くかけて向かうのは、四国沖のラングイと言うポイントだ。ここは水深100mを超える深場で、ほんの少し移動するだけで一気に400~500mと深海釣りのエリアも隣接する場所。
例年、冬を迎えるとこのエリアにサバが集まりだし、脂のほどよく乗った新鮮なサバを持ち帰る事ができる。ただし、ラングイまでの航程は波も高いため、船に弱い人にはあまりオススメできない。
釣れるサバの種類
さて、ここで釣れるサバは以前は、丸々と肥えたマサバが主体だったが、ここ数年はマサバの姿を見る事はほとんどなく、ゴマサバが中心。ただし、このゴマサバもよく肥えていて、脂の乗りも上々で非常に美味い。

なぎ丸で1月25日に出船
なぎ丸に伺ってみると、今回の初出船となった1月25日は、まだ水温が高めでサバが大きな群れを作っていないのか、爆釣とまではいかなかったそうだ。ただ、釣れるサバは35~42cmと上々でよく肥えた良いサバだったとの事。また、釣れるタナも80mより深かったため、手返しが遅くなる分数が伸びなかったのかもしれない。

ラングイの寒サバ釣りは「数を釣ってナンボ」。いかに手返し良く釣り上げて、その中に大型のサバが交じる。あるいは現在では珍しいマサバが交じるなど、とにかく数を釣らないと意味がない。

そこで、シーズン本番を迎えてラングイの寒サバ釣りの基本を解説したい。
ラングイの寒サバ釣りタックル
ラングイのサバ釣り仕掛けは、仕掛けの金属製のアンドンカゴを付けた胴突きのサビキ仕掛けだ。オモリは船で統一するが100号前後が中心となる。

アンドンカゴに入れるまきエサはアミエビで、船宿で用意してくれる。サビキ仕掛けなのでさしエサは不要だ。船代にはまきエサ、氷の他に、船宿オリジナルのサビキ仕掛けが1枚付いている。古くはハリスが4、5号だったが、トラブル回避とハリス切れ防止などの意味も含めて7号を使っている。市販品を予備に持ち込むなら、太いハリスのサビキを用意しておきたい。

手返し勝負なので、オマツリなどのトラブル時には、仕掛けを切って新しいものに張りかえる事も多い。
次からはいよいよ釣り方のポイントを具体的に解説していこう。
1.手返しアップで時合い延長
「手返し勝負」と言われるのには、自分自身が数を釣るためと、もう一つ理由がある。それはサバに対して、流し釣りと言うスタイルによるところが大きい。
サバは海底に潜む魚ではなく、中層に群れてエサを探して回遊する。ラングイでのサバの釣り方は、群れを見つけたらシーアンカーを入れて潮に船を乗せて釣る。
この時、サバの群れがまきエサを見つけて寄ってくる事で、船の下に群れをとどまらせておきたいのだ。
船は潮に乗って流れるのだが、この時、まきエサをまきつつ流すので、途中で新しい群れが合流してくると、船の下にいるサバが数多くなり爆釣へとつながる。どんどん手返しをして、群れをとどまらせたい理由だ。
2.的確にタナを攻めよう
釣りをする上で重要な事は、タナの設定と掛けた後のやり取り。まず、タナの設定としては最初に船長が群れの位置を魚探などで確認し「〇mで釣ってください」と指示が出る。最初はそのタナに合わせるが、まきエサをすると活性の上がった群れがどんどん上がってくる事もあるし、そのタナで食い続ける事もある。
船長は確認しながらタナに変化があれば、随時アナウンスしてくれるので、正確に聞いておきたい。その理由は、各自がバラバラなタナでまきエサをまくと、群れが散らばってタナぼけを起こしてしまい、まとまって釣れなくなるからだ。理想はみんなが同じタナでエサをまき、少しでも魚を浮かせる事で、手返しにかかる時間を短くして数を稼ぐのである。
3.1尾ずつ強引なやり取りで
もう一つ、やり取り。これは波止のサビキ釣りなどで、サバを釣った事がある人なら分かると思うが、サバは仕掛けに掛かると大暴れして、走り回る。竿先にそれほどテンションが掛かってなくても実は横へ走っている事も多々あるのだ。

横へ走ると当然、周りの人の仕掛けに絡んでオマツリ状態になる。サバは止まらず暴れ回るので、仕掛けどうしが絡んでしまうともう大変だ。
群れが大きくなると1尾が掛かったタイミングで3尾、4尾と一気に食いつく事もあるし、巻き上げ中にもヒットしてくるので、まずは意識して連で釣り上げようと思わず、1尾ずつ確実にトラブルなく取り込む事を優先しよう。
4.釣れたサバの処理
釣れたサバはそのままにしておくと、身が悪くなるのであらかじめクーラーボックスに潮氷を作って足元に置いていき、放り込んでいく。できれば、釣って手に持った瞬間に、エラをカットして、サバ折りで頭の後ろから背骨を折っておくと暴れずに締める事ができる。

サバ入りのクーラーボックスはそのまま帰港して、港で潮氷の海水を一旦抜いて、改めて氷をかぶせて持ち帰る。潮氷の海水に浸けたままだと、氷が溶けるに従って塩分が薄くなり真水に浸かったようになってしまうので注意が必要だ。
サバのすき焼きが絶品!?
この時期の紀州のサバは脂もほどよい感じで、お造りや〆サバ、かわったところではサバのすき焼きなども美味い。なんせ、煮付けにしても美味しいサバなので、煮付けに似た味付けでいろいろな野菜といただくサバの身は絶品だ。

ラングイのサバはこれから水温が下がってくると、どんどん集まりだし、群れも大きくなってくるので、往復に掛かる時間はあるものの、ポイントに着いて釣り始めると、あっという間にクーラー満タンで早上がり・・・なんて事も珍しくない。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>
▼この釣り船について:なぎ丸