冬場の瀬戸内と言えば、マダイの数釣りで知られるサビキマダイが本番。2月25日は姫路港発の知々丸で、小豆島沖へ出かけた。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
知々丸でマダイ釣り
姫路港から出船する知々丸では、1月からサビキでのマダイ狙いで出船し、3月以降はメバル釣りとの併用となるが、4月までマダイが楽しめる。基本的に釣り場は航程約1時間の香川・小豆島周辺海域。
この辺りの釣り場は水深が浅場で25mほど、深場で60mラインとなるが、その日によってこの時期ならシラスやイカナゴのベイト反応を見ながらポイント選定をしていく。このシラスやイカナゴを食べているマダイがターゲットなので、非常に美味であると評判だ。

全長10m以上の長いサビキ仕掛け
「サビキでマダイ」と聞けば、波止釣りでアジやイワシなどを釣るのに使ういわゆるサビキ仕掛けをイメージするが、船からのサビキマダイは、ハリ数こそ5~7本だが、エダ間が長く、全長が10~15mもあるサビキ仕掛けで狙う。
つまり、仕掛けが垂直に立つと、一番下から最上部までが10m以上の長さになり、幅広いタナを探る。そのため、マダイの反応としては、ベイトを追いかけて上下し、垂直に幅広く散った状態の群れが理想だ。
サビキは魚皮とチョクリ
そして、サビキは大きく分けて2種類を使い分ける。色などのこまかな変化もあるが、大きくはその素材で分ける。サバ皮などの魚皮サビキと、チョクリと呼ばれるビニール製のサビキだ。その日の状況によって食いの良い方が出てくるので、両方を持参しておいた方が良い。また船にも仕掛けを常備しているので船上でも購入する事ができる。
魚探の反応を見ながら、底に反応があればあまり上げずに、底から少し上を仕掛けを上下させながら狙う。幅広く散っている反応なら、徐々に仕掛けを巻き上げながらマダイとサビキの疑似バリが出合うタイミングを待つ。
シラス、イカナゴベイト
基本的に、マダイ狙いのサビキ釣りは、冬場でシラスやイカナゴが海域に出回り、水温が低いためにゲストが少ない時期の釣りである。水温が上がってきて、スズキなどが頻繁に食い出すとシーズンは終盤となるが、この時期に釣れるゲストのスズキはイカナゴなどをたらふく食べているため、脂が乗って非常に美味いと言う人もいる。
小豆島南東部で竿出し
2月25日は穏やかな予報の中、定刻の午前5時半過ぎに姫路港を出た。小豆島周辺のマダイポイントは無数にあるが、この日は小豆島南東部にある風の子(ふのこ)島周辺を流す事になった。
サビキマダイのタックル
サビキマダイのタックルは胴調子の船竿3~4mに電動、あるいは手巻きリールで道糸はPEラインの1~2号。これに先の専用マダイサビキ仕掛けをセットする。オモリは船内統一で、この日は35号の指定だった。
タックルの中でもっとも重要なのは竿の調子だ。竿の張りがありすぎると、サビキをくわえたマダイが違和感を感じて離してしまうので、できるだけ軟らかい竿が良い。また、穂先が軟らかいと言うよりも、胴から曲がり込むような竿全体が軟らかい調子が理想だ。

サビキマダイ釣り方
サビキマダイ釣りは基本的に、オモリを海底から少しずつ巻き上げてタナを探り、マダイに食わせるのだが、一番のキモとなるのが、その長い仕掛けの扱い方だ。普通に船上に上げてしまうとすぐに絡んでほどけなくなり、新しい仕掛けに交換を余儀なくされる。
手間取っている間にポイントも時合いも過ぎてしまう事が多々ある釣り。そこで、重要なのは「丁寧さ」である。必須アイテムとしては竿受け、仕掛けを並べるためのマグネットシートだろう。
仕掛けの扱い方
仕掛けを扱う時は両手を空けたいので、竿受けに掛けておく必要がある。そして、ハリは動き回らないように、1つずつていねいにマグネットに引っ付けておく。この状態で、船長から投入の合図があれば、オモリから海中へ入れて、手でハリ1本ずつを確実に送っていく。オモリの重さでフリーに沈めてしまうと、ほぼ確実に絡んでしまうので注意だ。

また、仕掛けの回収時も仕掛け上部のサルカンまで巻いたら、後は竿を置き、手で仕掛けをたぐり上げながら、ハリを1つずつマグネットに並べていく事。この作業さえできれば、サビキマダイは決して難しい釣りではない。

前日のヒットポイントは不発
最初のポイントは水深25mの浅場。風の子島の北側の浅場で、実は沖の潮が速いので、少し緩むのを待つ意味もあったが、前日はこの浅場でマダイが釣れたと言う。
探見丸の画面を見ていると、ベイトと言うよりはマダイの魚影が薄く映っているようだが、常連の瀬尾さんによると、食い気のあるような反応ではないと言う。少し流したが、反応がないので今度は、風の子島の南側、つまり沖側に移動した。
当日第一号はマダイ35cm
こちらは潮がぶつかり、大きなヨレができていて、いかにも釣れそうな雰囲気。潮上からヨレに向けて船を流していくと、右舷トモの松浦さんの長竿がいきなり曲がった。

ただ、1尾は釣れたものの以降は沈黙が続き、船長は反応を見ながら徐々に沖の深場へと流すポイントを変えていく。何度かの流しの後、探見丸の画面を見ると、その日初めて、真っ赤になるようなベイトの反応が映っていた。
「これは釣れる!」と、松浦さんが投入すると、小さな穂先への反応の後、いきなりゴツゴツッと竿先がたたかれた。そこではアワせずに少しずつ巻き上げると一気に竿先が舞い込む。ここで軽く竿を起こすようなスローに乗せるアワセを入れると、引きに拍車が掛かったような強引が襲ってきた。
マダイの他に掛かっていたのは
竿を満月に曲げて、浮かせたのは50cm級のマダイだ。そして、よく見るとその下のハリに10cmほどのカタクチイワシが掛かっていた。強い反応の正体はカタクチイワシだったのだ。

と言う事は、マダイはカタクチイワシのベイトに付いていると予想できるので、落とし込みの要領で、まずはイワシをサビキ仕掛け食わせて、掛かったイワシをマダイに食わせるように釣りを方向転換。
ビニール製のチョクリ仕掛けに変更
仕掛けはここで、全員がビニール製のチョクリ仕掛けに変更した。このチョクリ仕掛けにイワシが好反応で、マダイに食わせるよりも、まずはイワシを食わせる方に重きを置いた状態だ。

瀬尾さんによると、イワシの反応が底から10mより上に出ているので、オモリを10mほど浮かせた状態で軽くシャクリを入れて、フォールさせるとイワシがサビキに食ってくるとの事。

怒濤の連発ヒット
見ていると、小さな震えるようなイワシの掛かった反応の後、比較的早い段階でマダイのアタリにかわる。やはり、落とし込みと同じで、フレッシュなベイトが掛かって、異常な動きをするとマダイが反応しやすい。イワシがハリに掛かって落ち着いてしまうとマダイの反応もやや遅くなる感じ。
ただ、ベイトの群れはかなり大きく、そこから船を流すたびに探見丸には濃い反応が出て、マダイが面白いようにヒットする。その上、サイズも40~50cmがメインで、最長は55cmも出るという状況に。

この日は本来のシラスやイカナゴを追うマダイ狙いとはならず、冬にしては珍しいカタクチイワシベイトの落とし込み釣りとなってしまったが、まずは狙いのマダイが釣れてめでたしめでたし…となった。
今後の展望
今回は珍事と言っても過言ではない状況となったが、サビキで狙うマダイ釣りは4月まで楽しめる。知々丸では3月からメバル狙いでも出船を予定しており、状況を見ながらマダイ狙い、メバル狙いで出船が分かれるので、出かける際には必ず事前に問い合わせを!
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>
▼この釣り船について:知々丸