『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(8月8日公開)
熟練の特殊工作員ゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)は、信頼する傭兵のダンカン・キンケイド(マハーシャラ・アリ)、古生物学者のヘンリー・ルーミス博士(ジョナサン・ベイリー)らと共に、初代「ジュラシック・パーク」の極秘研究施設が存在した禁断の島へと足を踏み入れる。
そこはかつてパークの所有者が極秘の実験を行い、“最悪の種”といわれる20数種の恐竜が生き残った、地球上で最も危険な場所だった。
1993年にスティーブン・スピルバーグが生み出した第1作『ジュラシック・パーク』から始まり、これまでのシリーズ作がいずれも大ヒットを記録してきた「ジュラシック」シリーズの通算7作目で新章の始まりとなる。
シリーズ初の女性主人公を演じるスカーレット・ヨハンソンら新たな顔ぶれのキャストで、前作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(22)から5年後の世界が描かれる。
製作総指揮をスピルバーグが務め、監督は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)や『ザ・クリエイター/創造者』(23)のギャレス・エドワーズ。脚本は『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(97)から28年ぶりにシリーズに復帰したデビッド・コープが担当した。
エドワーズ監督が「コープの脚本はスピルバーグへのラブレターだった」と語るように、全編にわたってオリジナルの『ジュラシック・パーク』はもとより、過去のスピルバーグ映画へのオマージュがふんだんに盛り込まれている。
例えば、海の恐竜モササウルスが水中から突然襲いかかるシーンは『ジョーズ』(75)をほうふつとさせ、翼竜のケツァルコアトルスが登場する場面では『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)の遺跡を想起させ、さらに、陸の恐竜ディロフォサウルスの威嚇シーンや博物館の垂れ幕などは『ジュラシック・パーク』を思わせるものがある。
また、ジョン・ウィリアムズ作曲のオリジナルテーマ曲の流用は、先に公開された『スーパーマン』同様絶大な効果があり、恐怖とユーモアの同居は、スピルバーグが得意とする演出法だ。
また、「以前から、フィルムで撮影し、自然な映画的な質感を表現したかった」というエドワーズ監督の念願がかない、今回は35ミリフィルムでの撮影が実現。『ジョーズ』『未知との遭遇』(77)『E.T.』(82)など、70年代から80年代のスピルバーグ作品の映像を形作っていたフィルムならではの粒子感や鮮やかな色彩がよみがえった。
とはいえ、肉体派アクション女優の面目躍如たるヨハンソンの活躍ぶりや、陸海空にまたがるアクションはトム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(25)、海の恐竜のシーンは日本の『ゴジラ-1.0』(23)といった“今の映画”の影響も感じさせ、決してノスタルジーで終わっていないところも目を引く。
(田中雄二)