乃木坂46のデビュー11周年を祝うバースデーライブ「乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE」DAY4公演が2月26日、横浜アリーナで開催された。22日から5日間にわたり同会場で展開される今回のバースデーライブ。






荘厳なSEが流れる中、客席が秋元のメンバーカラーである赤&ピンクのペンライトで染まっていくと、アリーナ後方からメンバーが登場。最後にステージ後方から秋元が姿を表すと、「乃木坂46 秋元真夏卒業コンサート、スタートです!」を合図に「ぐるぐるカーテン」でライブは幕を開けた。淡いピンクの衣装に身を纏ったメンバーは、秋元を中心に華麗なステージを展開。「おいでシャンプー」では、梅澤美波の「今日が最後かもしれませんよ?」を合図に、秋元を中心に「皆さんのハートに、ズッキュン!」を披露する一幕も。続く「走れ!Bicycle」とあわせて、乃木坂46の原点を振り返るようなセットリストで観る者を大いに楽しませた。
その後、自身の真の意味でのデビュー曲「制服のマネキン」を、当時を彷彿とさせるセーラー服姿で、オリジナルに忠実な振り付けでパフォーマンスする。続く「ガールズルール」では「横アリ、騒げーっ!」と、冒頭の煽りを秋元が担当。会場のボルテージが高まる中、さらに「太陽ノック」を繰り出し、客席は早くもクライマックスのような盛り上がりを見せたい。
最初のMCでは、秋元との最後のステージついて後輩たちが思いを吐露。鈴木絢音は「私は現役メンバーで唯一の“真夏さんリスペクト軍団”。
「後輩との関係性を重視した」というブロックでは、各期とのコラボレーションを展開。まずは5期生との「バンドエイド剥がすような別れ方」で勢い付け、続く4期生とのコラボ曲「ジャンピングジョーカーフラッシュ」では会場内の熱量が一気に沸点まで達する。さらに、3期生との共演曲「僕の衝動」ではメンバー1人ひとりと寄り添いつつ力強い歌を響かせる。この曲では伊藤理々杏が「最後に真夏さんの本気のダンスを見せてください1」と、秋元に激しいダンスを促す一幕も。エンディングでは秋元と伊藤がキメ顔対決をして、ファンを大いに楽しませた。
続くユニットブロックでは、同期メンバーたちと歌ってきた懐かしい楽曲を後輩たちと歌い紡いでいく。「口約束」では佐藤楓、吉田綾乃クリスティー、金川紗耶、柴田柚菜、林瑠奈、弓木奈於といった3~4期生たちと落ち着いた雰囲気で、「ごめんね、スムージー」では阪口珠美、田村真佑と一緒に王道アイドルらしい衣装を着て可愛らしく披露。「私は笑顔のイメージが強いけど、カッコいい表情に憧れる。最後にカッコよくキメたい」というフリから始まった「魚たちのLOVE SONG」では、魚の着ぐるみを着て登場した秋元に会場がどよめく。
コミカルな演出で場を和ませたあとは、秋元が乃木坂46の活動に復帰して初めて振り入れをしたアンダー楽曲「涙がまだ悲しみだった頃」と、「私っぽくない、めちゃくちゃカッコいい曲。披露するのに勇気が必要」という1期生楽曲「Against」を、アンダーメンバーと一緒に披露。曲ごとにコロコロと表情を変える、このジェットコースターのような振り幅こそ秋元らしさと言えるだろう。


卒業公演もついに折り返し。ここからはパフォーマンスに重点を置いた楽曲が連発される。まずは代表曲のひとつ「インフルエンサー」を遠藤とのダブルセンターで披露。制作当時はダンスに苦戦したこの曲を、秋元はアイドル人生最後の日にセンターを全うし、成長した姿を観る者に強くアピールする。続く「シンクロニシティ」でも難易度の高いソロダンスを見事にやりきり、有終の美に相応しいパフォーマンスを提示。さらに「好きというのはロックだぜ!」「帰り道は遠回りしたくなる」「最後のTight Hug」と緩急に富んだ選曲で、乃木坂46らしい“しなやかさの中にも力強さが存在するダンス”を表現してみせた。
ライブ終盤戦には、秋元の「憧れの曲」である「言霊砲」を、これからの乃木坂46を先頭で引っ張っていくことになる久保史緒里、与田祐希、山下の3人と一緒に歌唱。また、自身がかつて卒業生の高山一実と歌ってきたユニット曲「忘却と美学」ではキャプテン、副キャプテンとして苦楽を共にしてきた梅澤美波と一緒に披露する。


涙を堪えきれない秋元は、本編最後の曲に入る前に後輩たちにメッセージを送る。秋元は「昨日までやっていた期別ライブが本当に楽しくて。卒業するのが何の不安もないくらい、頼もしい後輩に囲まれていたんだなと感じた3日間でした」「メンバーによって歩んできた歴史は違うけど、その間にたくさんの困難や不安を乗り越えてきたからこそ、今の乃木坂46があると思っているので、絶対に大丈夫だなと思います」と力強く語り、「アイドルとして世代交代が難しいと言われている大人数アイドルグループですけど、乃木坂はちゃんと世代交代できたんじゃないかなと自信を持って言えます」と宣言。最後に、自身が初めてセンターを務めた「ひと夏の長さより・・・」で煌びやかに締めくくった。



アンコールでは高山や松村沙友理、西野七瀬、白石麻衣、生田絵梨花、桜井玲香といった同期OGからの労いのメッセージが映像を通して送られる。続いて、ピンクのドレスを着た秋元が登場し、ここまで支えてくれた両親やマネージャー、スタッフ、そしてファンへ感謝のメッセージを伝える。「私を応援していて楽しかったですか?」と客席に問いかけると、客席からは盛大な拍手が湧き起こり、最後に「生まれ変わっても絶対に乃木坂になりたいし、乃木坂のキャプテンを務めたいです。それくらい大好きな場所でした。
「2度目のキスから」を歌いながら、メンバーと一緒に会場を一周したあとには、各期を代表して菅原咲月、賀喜遥香、久保が秋元へ感謝の言葉を送る。菅原は「次にお会いするときには、何倍も成長した姿をお見せできるようになりたい」、賀喜は「これからも真夏さんの言葉を大切にしながら、乃木坂46を守っていきたい」と口にし、久保は「これからは真夏さんみたいな優しさを持って、後輩たちと一緒に乃木坂をもっともっと強くしていけるように、3期生も頑張ります」と力強く宣言。すると、秋元がメンバー全員に手紙を書いてきたことを告げ、代表して梅澤への手紙を読み上げる。キャプテンとしての役割について、秋元らしい言葉でエールを送り、最後のお願いとしてメンバーに「キャプテンにはどうしてもふんばらないといけないときがあります。だから、うめのことを絶対に全力で支えてあげてください」と伝えた。




最後の曲紹介を噛んでしまう微笑ましい場面を挟み、ラストは「乃木坂の詩」で締めくくり。会場一面が紫色に染まる中、盛大なクライマックスを迎えた。そして、最後にやり残したこととして必殺技の「ズッキュン」を送り、「何も持っていなかった18歳の私をここまで、こんな素敵な場所までつれてきてくれて、乃木坂として11年間歩ませてくれて、本当にありがとうございました」と感謝を口にすると、観客から「まなつさん 大好き」のメッセージシートを掲げるサプライズも。こうして秋元真夏のアイドル人生最後のステージは大成功のうちに終了した……かに思われたが、興奮冷めやらない観客のコールを受け、再びステージに登場したメンバーが「ハウス!」「ガールズルール」を最後の最後にプレゼント。こうして5日間におよぶ「乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE」は、最高のエンディングとともに幕を下ろした。
(文/西廣智一)