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鷲見玲奈連載:『Talk Garden』 第7回
ゲスト:三浦大輔(横浜DeNAベイスターズ監督)

昨年から連載が始まった鷲見玲奈さんの連載企画。第7回は、今季から横浜DeNAベイスターズの監督に就任した三浦大輔さんをゲストに迎えた。
プレーヤーとしては、横浜ひと筋で25年。ファンからも絶大な人気を集める三浦監督に、今季にかける意気込みなどについて聞いた。

三浦大輔×鷲見玲奈の対談。監督就任の思い、期待の選手、FA話などを語った

対談を行なった三浦大輔監督と鷲見玲奈さん

鷲見 監督就任、おめでとうございます。まずは正式にオファーを頂いた時の気持ちを聞かせて頂けますか。

三浦 南場智子オーナーからお話をいただいたのですが、自分は覚悟をしていたし、「責任をもってやらせてもらいます」という返事をさせてもらいました。正直、その瞬間は気持ちが昂りましたね。



鷲見 2016年シーズンで引退して以来、いつかは監督にという思いはあったのですか?

三浦 ゆくゆくは指導者として監督になりたいという思いはありましたよ。実際、声をかけていただいて、いよいよだなって。

鷲見 では、迷いはなかったのですね。

三浦 はい。プレーヤーとして1998年に日本一になっているんですけど、もう一度このチームで優勝したいと。今度は監督という立場ですが、あの時のように選手やスタッフ、そしてファンの皆さんと一緒に横浜の街を盛り上げたいという思いが強いですね。


鷲見 さすが番長、熱いですね。人一倍責任感も強いイメージですが、プレッシャーはありますか?

三浦 まあプレッシャーもありますけど、初めてのことなので不安も大きいです。どう戦うか思い描いていることはありますが、うまくいくことは少ないんだろうなって。スムーズにいくならば苦労はしないわけですから。


鷲見 いろいろな監督の下でプレーして、身近で見てきたからこそ、そう思うところもあるのでしょうね。三浦監督は現役を引退して球団のスペシャルアドバイザーを2年間、2018年は一軍投手コーチ、そして昨年はファーム(二軍)の監督を務めました。

かなり知見は広がったのではないですか?

三浦 球団にはいろいろな経験をさせていただきました。とくに一軍投手コーチになった時は指導者の難しさを感じましたね。

三浦大輔×鷲見玲奈の対談。監督就任の思い、期待の選手、FA話などを語った

鷲見 教えるって大変ですよね。

三浦 そうなんですよ。自分の感覚をいかに言葉にして伝えればいいのか。受け取り方は選手それぞれ違いますし、伝える人間によって言い方を変えたり。
かなり考えながらやりました。ファームの監督になった時は当然采配をするのですが、投手ばかりでなく攻撃陣すべても見なければいけないので初めは慣れず、まわりのスタッフにサポートしてもらいながら勉強をしていたような感じです。

鷲見 ファームは育成がメインになりますが、采配という面で得るものはありましたか?

三浦 育成に軸足を置きながらも、時には勝ちを強く意識した試合というのもありました。育成を度外視して采配をするのですが、ベンチに入っているメンバーでいかにこの試合に勝つのかを考えるのはすごく勉強になりましたね。

鷲見 その経験を今シーズンから一軍監督として発揮するわけですね。

三浦 チーム状況という部分は把握できているので、あとは選手やスタッフたちの気持ちを結束させて、いかにひとつのチームとして戦っていくことができるか。
これが大きなテーマになると思います。本当、きっかけさえ掴めればレギュラーを獲ることのできる若い選手も多いですし、しっかりと競争をしてチーム力を高めてほしいと思います。

鷲見 期待の若手選手として名前を挙げるとしたら誰でしょうか。

三浦 たくさんいますが、たとえばイースタン・リーグで本塁打と打点、最高出塁率のタイトルを獲った5年目の細川成也。今シーズンは一軍に定着しなければいけない存在ですし、ぜひレギュラーを勝ち取ってもらいたい。投手ならば阪口晧亮、京山将弥、中川虎大といった20代前半の選手たちがどのようにして一軍に定着するのか。
先発として十分に力をつけてきていますし、あとは打者心理を読むなど、ちょっとした感覚を掴むことができればローテーションを任せられるぐらいの能力はあると思っています。

鷲見 京山投手は2018年シーズンの初先発初勝利を挙げた試合を見ているんです。すごくクレバーな投球をする選手ですよね。

三浦 あの時よりも球速は上がっていますし、体つきも含め力強いピッチャーになってきたと思います。期待してください。

鷲見 阪口投手は昨年のイースタン・リーグで勝率トップの選手ですね。

三浦 阪口は150キロ以上出る角度のあるストレートを投げることができますし、すばらしいモノを持っています。飄々と投げているんですが、普段はよくしゃべるんですよ。僕が「はよ、一軍行けよ!」って言うと「大丈夫です。任してください!」って口ばっかり(笑)。まあ、力で押せるピッチャーなので、しっかりと競争してもらいたいですね。

三浦大輔×鷲見玲奈の対談。監督就任の思い、期待の選手、FA話などを語った

鷲見 そうなると、ガラッとメンバーが変わるということもあるのでしょうか。

三浦 大きくは変わらないでしょうけど、抜けた選手がいますから、その空いたポジションを若い選手たちが掴みに行くような感じになると思います。

鷲見 抜けた選手といえば昨年末、梶谷隆幸選手と井納翔一選手がFAで巨人に移籍しました。三浦監督としてはこの状況をどのように捉えていますか。

三浦 FAは選手が手に入れた権利ですし、彼らとしても悩んだ末に出した答えだと思うんです。ですから、いち野球人としては応援したい。ただDeNAの監督としては、話は別。当たり前ですが応援はできません。今シーズンからは敵になりますから、しっかりと抑えて、打っていきたいと思います。長年一緒にやってきたので、特徴もわかっていますからね。また、選手たちもあのふたりが抜けたから弱くなったなんて絶対に言われたくないでしょうから、やってやろうって気持ちだと思いますよ。

鷲見 三浦監督も2008年のオフにFAでかなり悩んでベイスターズに残留しましたが、今振り返って、あの時の判断をどう思われますか。

三浦 正直、引退する時よりも悩んだ出来事だったんです。もちろん自分の判断は正しかったと思っているし、よかったなって。あの時は人にあれこれ言われて判断するより、自分がこうしたいと強く思ったほうが正解だと腹をくくったんですよ。だから、自分の判断は間違っていなかったと思いますね。チームを離れたふたりも自分で判断したことでしょうから、これからよかったなと思える野球人生を送っていってくれたらと思います。

(つづく)