スポルティーバ厳選! Jリーグ月間ベストイレブン

J1の5月のベストイレブンを、独自に選定し発表する。今回はライターの原山裕平氏が選考。

現在活躍している旬の11人は誰か。

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5月のJ1はストライカーの躍動が目立った

 どうしても印象に残るのは攻撃的な選手なので、ベストイレブンを選ぶ企画では、かなり無理のあるフォーメーションになってしまいがち。ご多分に漏れず、何とも頭でっかちで、バランスの悪い形になってしまったことはご容赦願いたい。

 5月は、ストライカーの躍動が目立った。

 最もインパクトを放ったのは、浦和レッズのキャスパー・ユンカーだ。リーグデビューとなった13節のベガルタ仙台戦でいきなりゴールを決めると、圧巻の4試合連続ゴールを記録。

 ノルウェーリーグ得点王という肩書には懐疑的だったが、実際にそのプレーを見てみると、優男的なその風貌とは対照的に、質実剛健なスタイルであることが窺える。ゴール前に入り込む感覚と、ヨーロッパの選手らしくシュートのうまさが際立つ。チームにすぐさまフィットした点も、優れた選手の証だろう。

 横浜F・マリノスのオナイウ阿道は、FC東京戦でハットトリックを達成すると、鹿島アントラーズ戦でも2ゴール。チームの好調を支える活躍を見せている。

 4月のJ1月間MVPを獲得した川崎フロンターレのレアンドロ・ダミアンは、5月に入っても変わらぬ好調さを維持した。

湘南ベルマーレ戦では土壇場でオーバーヘッドを叩き込み、負け試合を引き分けに持ち込んだ勝負強さが何より評価に値する。

 鹿島アントラーズの土居聖真は横浜FM戦でハットトリックを達成したのを含め、4得点2アシストと目に見える結果を残した。監督交代後復調したチームを牽引する、不可欠な存在となっている。

 4試合連続ゴールを記録した川崎の三笘薫は、もはやアンストッパブルな存在に。攻守のつなぎ役としてハイパフォーマンスをつづける田中碧は、ゴールに直結するプレーも増えており、巧さと強さに加え、相手に怖さを感じさせる力も備わりつつある。もはや、Jリーグのレベルを超えてしまった印象さえ受ける。

 5月は負けなしだったサガン鳥栖の躍進を支えたのは、仙頭啓矢だろう。卓越した技術を武器に、バイタルエリアで違いを生み出す存在。鳥栖のチャンスの多くはこの男から生まれており、2得点1アシストとチームに勝点をもたらす結果も出している。

◆サガン鳥栖、躍進の理由か。J2から移籍の頭脳的MFが中心となっている>>

独自Jリーグ月間ベストイレブン。ストライカーの躍動に刮目せよ!

5月は負けなしだった鳥栖。攻撃を司る仙頭啓矢の活躍が光った

 守備陣で印象的な活躍を見せたのは、鹿島の町田浩樹。
5月の7試合すべてにフル出場し、4つのクリーンシートに貢献。2試合連続ゴールと、攻撃面でも重要な役割を担った。身長190cmの23歳のレフティセンターバック(CB)は、相馬直樹新監督の下でいよいよ本格化の時を迎えている。

 サプライズを提供しているアビスパ福岡から1人選ぶとすれば、ドウグラス・グローリになるか。高さと強さを備えた無骨なCBは、警告の多さが玉に瑕だが、そのパワフルな対応で多くのピンチを防いだ。湘南戦では決勝ゴールを叩き込み、勝点3をもたらした活躍も評価に値する。

大分トリニータ戦で8試合ぶりに喫した敗戦は、この男がベンチに座っていたことと無関係ではないだろう。

 攻撃陣に目を奪われがちだが、川崎が負けない要因は最終ラインの安定感があるからにほかならない。その守備陣を支える谷口彰悟を5月のベストイレブンに加えたい。

 涼しい顔で力強くボールを奪い取り、的確な位置取りで敵の進入を防ぐ。正確なビルドアップもお手のもので、キャプテンとしてチームをまとめ上げる統率力も備わる。その隙のないパフォーマンスなくして、川崎の無敗記録はなしえなかっただろう。

3年半ぶりの代表復帰がその証左だ。

 最後にGKは、浦和で衝撃のデビューを果たした鈴木彩艶のインパクトにも惹かれたが、サンフレッチェ広島戦でミスから失点したことをマイナス評価に。安定感という点ではまだまだ物足りず、これから試合を重ねていくなかで、備わっていくものだろう。今後の成長を期待しつつ、今回は選外とした。

 GKを評価するうえでいちばん手っ取り早いのは失点数。したがって6試合でわずか3失点と最も少なかった鳥栖の朴一圭を選出した。

 セービング能力の高さだけでなく、ラインの背後を広範囲に埋める走力が鳥栖のコンパクトな戦いを可能とし、フィールドプレーヤー顔負けの足技もビルドアップを重視するスタイルに不可欠。逆に言えば、この守護神がいるからこそ成り立つサッカーでもあるだろう。仙頭と共に鳥栖の躍進の原動力となっていることは間違いない。