2022年クラシック候補たち
第18回:スターズオンアース

 4月10日に行なわれた3歳牝馬クラシック第1弾のGI桜花賞(阪神・芝1600m)。10着までがコンマ3秒差内にひしめく大接戦のレースを制したのは、7番人気のスターズオンアース(牝3歳/父ドゥラメンテ)だった。

桜花賞で真価を示したスターズオンアース。陣営の二冠達成への自...の画像はこちら >>

大激戦となった桜花賞を制したスターズオンアース

 美浦トレセンの高柳瑞樹厩舎に所属する同馬は、昨夏の2歳新馬(8月1日/新潟・芝1800m)でデビュー。惜しくも2着に敗れたが、続く2歳未勝利(10月9日/東京・芝1800m)で白星を飾った。

 3戦目は1勝クラスの赤松賞(11月21日/東京・芝1600m)に出走。ここでは、のちにGIIチューリップ賞を制して桜花賞でも1番人気に推されたナミュール、GIIフローラSで2着となったパーソナルハイに続く3着に終わった。

 その後、4戦目にGIIIフェアリーS(1月10日/中山・芝1600m)、5戦目にはGIIIクイーンC(2月12日/東京・芝1600m)と立て続けに重賞に参戦。ともに好位追走から直線で内側の馬群を縫って抜け出していったが、フェアリーSではライラック、クイーンCではプレサージュリフトと、いずれも大外から強襲してきた馬に屈した。

 2戦とも勝ち馬との着差はクビ。まさしく重賞制覇まであと一歩、というところで涙を飲んできた。

 その鬱憤を晴らしたのが、桜花賞だった。道中はこれまでよりも後方となる9~10番手の中団に待機。直線を迎えると、これまでと同様、インを突いた。ごちゃつくシーンもありながら、過去2戦の経験も生きてか、慣れた脚取りで馬群の合間を縫っていく。

 そうして、残り100mをきったあたりで前が開くと、さらに加速。先に抜け出したウォーターナビレラ、ナムラクレアをゴール直前でかわした。鮮やかなレースぶりを披露し、6戦目にしての見事な戴冠だった。

 前哨戦となる重賞では惜敗続きだったが、厩舎スタッフは当初からこの馬の能力を高く買っていた。それが、クラシック初戦で存分に発揮されたことで、陣営も大いに沸いているという。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「スターズオンアースはもともと調教の動きがよく、レースでかかるなど、これといったクセもなかったのですが、スタッフによれば、3戦目あたりから『レースでモタれたり、引っかかったりするようになったきた』とのこと。それでも、桜花賞で初めてコンビを組んだ川田将雅騎手は、調教で一度乗っただけで『コントロールできそう』と話していたとか。そして実際、レースではすばらしい立ち回りを見せました。

 その分、川田騎手の騎乗には賛辞がやみませんでしたが、ハミを替えたことも大きかったようで『桜花賞では真っ直ぐ走って、この馬の全能力が出せた』とスタッフ。もちろん、この走りはまぐれではなく、陣営は『当初から見込んでいたこの馬の実力が出た結果』と見ています」

 桜花賞の勝利によって、クラシック第2弾のGIオークス(5月22日/東京・芝2400m)でもスターズオンアースが有力視されることは間違いない。その次走について、陣営の期待は一段と膨らんでいるという。

先述のトラックマンが続ける。

「1800m戦でデビューしていますし、一時は2000m戦への出走を検討していたこともあって、陣営は『距離延長には不安がない』と話しています。桜花賞では抑える競馬もできましたし、『レースぶりに幅が出たのも強み』とも。東京コースも経験済みですし、二冠獲得にも手応えを感じているようです」

 桜花賞でついに本来の力を見せつけたスターズオンアース。注目度が高まるなか、オークスではどんな走りを見せるのか、必見である。