日本代表の「6月シリーズ」による中断を経て、6月18日、J1リーグが再開した。横浜F・マリノス、鹿島アントラーズ、川崎フロンターレという上位3チームはいずれも勝利。
Jリーガーにとっては、7月19日に開幕するE-1選手権の日本代表に選ばれるかどうかも大きな関心事である。最近の代表は欧州組が大半。国内組を中心に戦うE-1選手権は最大にして最後のアピールの場となる。
そのメンバーとして有力なのは誰か? リーグ前半の成績と過去の実績を鑑みながら、独断と偏見で23人を選ぶと、以下のようになった。
GK
権田修一(清水エスパルス)、谷晃生(湘南ベルマーレ)、高丘陽平(横浜F・マリノス)
DF
山根視来(川崎フロンターレ)、長友佑都(FC東京)、安西幸輝(鹿島アントラーズ)、永戸勝也(横浜F・マリノス)、谷口彰悟(川崎フロンターレ)、田代雅也(サガン鳥栖)、昌子源(ガンバ大阪)
MF
橋本拳人(ヴィッセル神戸)、岩田智輝(横浜F・マリノス)、樋口雄太(鹿島アントラーズ)、脇坂泰斗(川崎フロンターレ)、小泉慶(サガン鳥栖)、満田誠(サンフレッチェ広島)
FW
上田綺世(鹿島アントラーズ)、鈴木優磨(鹿島アントラーズ)、細谷真大(柏レイソル)、水沼宏太(横浜F・マリノス)、相馬勇紀(名古屋グランパス)、清武弘嗣(セレッソ大阪)、家長昭博(川崎フロンターレ)or中村仁郎(ガンバ大阪)
GKでは、権田は代表の正GKの座に近く、谷は東京五輪でゴールマウスを守っており、ふたりの選出がないほうが驚きだろう。
注目は高丘で、代表は未招集だが、前半戦のJ1日本人ベストGKと言える。フィールドプレーヤーも顔負けの足技は、ポゼッションを守備に使うのでも、攻撃に使うのでもアドバンテージになる。再開後のG大阪戦も、得点こそオフサイドで取り消されたが、高丘から西村への縦パスから攻撃が展開されるシーンがあった。
足技と反応よさに定評があるGK高丘陽平(横浜F・マリノス)
高丘の最大の魅力は「予見」にある。たとえばG大阪戦では、パトリックの至近距離からのヘディングを見事にはじき出していたが、跳躍やブロックの強さもさることながら、コースや速さにタイミングを取れていた。その予見能力は、1対1で距離をつめる一瞬の速さ、ミドルをはじき出すパワー、また周りを使って守れる場面などにも出る。
遠藤航に匹敵する橋本拳人
J1最高位のクラブのゴールマウスを守る実力は伊達ではない。どの国を見ても、勝てるチームのGKが代表でもレギュラーポジションに近いところにいるものだ。
DF。サイドバックは森保一監督が長友を外すとは思えない。酒井宏樹(浦和レッズ)はケガからの復帰途上なので外した。
MF。岩田はユーティリティで強さもあり、樋口はサッカーを知っている選手で技量が高い。
このなかで代表の中心にも推したいのが橋本である。現状では「遠藤のバックアッパー」とすべきだが、凌駕しても不思議ではない。実際、アジア予選では、ケガする前まで柴崎岳と組んでいたのは遠藤ではなく橋本だった。
橋本は攻守でバランスの取れる選手で、いるべきポジションにいることで、周りが優位を取れるし、パス出しも迅速かつ正確でプレーを動かせる。
たぐいまれなオールラウンドな選手と言える。局面で海外の選手と互角以上に戦い、全体も動かせ、得点にも絡める。ロシアリーグでのプレーでよりタフになった印象で、マンマーキング戦術にも完璧に適応。
FW。森保監督は大迫勇也(神戸)を選ぶ可能性が高いが、ここでは外した。上田はエースとなるべき選手で別格。鈴木は風貌や言動は荒々しいが、ポストプレーはエレガントで、周りを生かす繊細さを持つ。細谷は得点感覚の高さに期待がかかる。相馬は崩しができ、清武は「うまさ」では今も代表レギュラークラス。ケガがなかったらここに荒木遼太郎(鹿島)も入ってくるだろう。左利きの人材が乏しいなかで、ベテランなら家長、若手なら中村を"大穴"として上げた。
期待は水沼である。幅を作り、深みを取る、戦術的プレーヤーとして右サイドからリズムを生み出せる。有力選手が多い横浜FMだが、緩急を作れるという点では唯一無二だ。
再開後のG大阪戦も、同点弾につながるエウベルへのクロスは逸品だった。高精度のGPSでも搭載したようで、ヘディングしやすいような回転を懸け、J1最高のクロッサーと言える。また、ボールを引き出す動きも秀逸。逆サイドのエウベルがボールを持つと、ラインと駆け引きしながら裏に入ってボールを受け、完璧なコントロールから左足で流し込んだ。
日本代表の右サイドは伊東純也、堂安律、久保建英が当確だろうが、水沼は異なるタイプのアタッカーと言える。
はたして森保監督はどんな判断を下すのか。7月上旬にはメンバー発表となるだろう。