DeNA牧秀悟×入江大生 同期対談(前編)

 前半戦、首位ヤクルトに12.5ゲーム差のDeNAだが、42勝45敗2分で4位につけており、クライマックス・シリーズ(CS)進出に大きな可能性を残している。そんなチームを牽引しているのが、牧秀悟と入江大生の同期入団のふたりだ。

プライベートでも大の仲良しというふたりに、ベイスターズの今、お互いのことについて語ってもらった。

DeNA入江大生が牧秀悟のすごいと思うところ「どんなことがあ...の画像はこちら >>

5月5日の試合でプロ初勝利を挙げた入江大生(写真左)と4打点をマークした牧秀悟

今年の入江には強い覚悟を感じる

── 同じ年齢で同期入団のふたりですが、非常に仲がいいと聞いています。

牧秀悟(以下・牧) 間違いないですね(笑)。

入江大生(以下・入江) あらためてこうやって対談するのって恥ずかしいよね(笑)。だけど、秀悟とはほんとにいい関係を築かせてもらっています。

── 前半戦を振り返ってもらいたいのですが、まず開幕から4番を任されてきた牧選手、お願いします。

 開幕してからしばらくはいい形で成績を残すことができたのですが、6月に入ってからなかなか打率を上げることができませんでした。

ただ前半戦の終盤、チームの状態はとてもよかったので、もうひと踏ん張りというか、後半戦もこの調子で頑張っていけたらと思っています。

── 入江投手は今季からリリーバーとしてブルペンに入っていますが、ビハインドでの登板から火消しまで大切な役割を担っています。

入江 ルーキーイヤーの昨年は、結果というよりもケガもありマウンドに立つことができませんでした。ですから今季は、どんな場面であったとしても投げられる、試合に貢献できることはすごくうれしいですし、本当やりがいを感じています。僕はどんな場面でも投げる可能性があるので、常に緊張感を持ちながらブルペンで過ごしています。マウンドに上がると秀悟とか野手の方々が積極的に声をかけてくれるので、ひとりで投げているっていう孤独感はあまり感じていません。

 去年、大生はなかなか結果を残せなかったけど、ただ今年は「中継ぎでやるんだ!」という強い意志や覚悟を、うしろで守っていても感じるんだよね。どんな場面であっても気持ちと気迫を込めて投げている。ものすごい剛速球をバンバンと。今は出てくるのが同点とか火消しだから、そろそろリードの場面で出てきてほしいなあ。

入江 期待に応えられるよう頑張るよ(笑)。

牧の声に助けられている

── 入江投手から見て、試合中の牧選手の姿はどのように映っていますか。

入江 うーん、あまり褒めたくないんですけど(笑)。

 なんでだよ!(笑)。

入江 1年目から主軸を担っているし、一番すごいなって思うのは、自分の結果にかかわらずベンチの最前列で声を出して......野球に対する厳しさというか、どんなことがあっても一喜一憂しない姿勢というのはすばらしいと思うし、秀悟からは学ぶべき点は多いよ。

 普通にやっているだけなんだけどね。

入江 あ、ドヤ顔じゃん(笑)。まあでも普通、若手ってまわりに遠慮してしまうところがあるけど、秀悟はまったくそれがない。本当、野球を楽しんでいるというか、あらためてすごいプレイヤーだなって。

 本当、昔から変わらないんだよね。みんなを鼓舞するのが好きだし、喜んでいる顔を見るのも好き。だから、意図して盛り上げているとかじゃなくて、普通にやっているだけだよ。

入江 マウンドでもよく声かけてくれるしね。

 大生は結構シビアな場面で出てくるし、難しいマウンドになるからなるべく声をかけるようにはしているかな。まあ本当、今年はいい雰囲気を持ってマウンドに立っているよね。

入江 声がけはメンタル的に張りつめているから助かるよ。気持ちが和らぐというか。マウンドではガンガン声をかけてもらいたいタイプだから結構うれしかったりするんだよね。

── 牧選手のアドバイスなどで救われたりしているんですか。

入江 いや、それはまったくないですね(笑)。

 ないんかい!(笑)。

入江 だって、たいしたことは言わないもんね。

 たしかに。「1アウトだよ~」とか。

入江 あと「ラクに行けよ~」とか(笑)。

牧の活躍を見て「このままじゃダメだ」

── 昨年、入江投手はケガなどがあり、思うようにいかないなか、牧選手の存在がモチベーションになったと聞きましたが。

入江 これまで大きなケガをしたことがなくて、これほど野球ができない時間が続くことを経験したことなかったんです。リハビリ期間は毎日同じことの繰り返しで、ともすれば気持ちが野球から少しずつ離れていってしまいそうな状態になるんです。

 たしかにケガをすると、気持ちが野球から遠のくことはあるよね。

入江 けど秀悟が活躍する試合を見て、「このままじゃダメだ、俺も頑張らなきゃ」って。それにずっと試合に出続ける秀悟もきっと大変なはずなんだからって。

 だから試合から帰ってきて、寮で会うと大生はすごく声をかけてくれたよね。俺も気まずくならないように、元気が出るように話すようにしていた。

入江 あはは。

 ハマスタに行く前に、リハビリやトレーニングをする大生の姿をよく見ていたけど、すごく元気に一生懸命取り組んでいたし、腐らずにやってきたことが、きっと今につながっているんだろうなって。

入江 最初から(一軍に)いられるとは思わなかったから、運もあったと思うけど、頑張ってきてよかったなって思っているよ。

── では前半戦で、お互いの印象に残っているプレーはありますか。

 交流戦の楽天との初戦(6月3日)、3者連続三振をとった時がありましたよね。守っていてボールが前に飛んでくる気がしなかったし、完全にバッターを圧倒していた。去年には感じなかった投球だし、気迫もすごくて、これが本来の大生の力なんだなって。

入江 僕は印象というよりも期待していることがあるんですよ。昨年の夏(8月27日)に三者連続ホームランがあったじゃないですか。宮﨑(敏郎)さん、ソト、秀悟で。あれをこの目で見たいんですよ。もちろん、そのなかのひとりは秀悟で。

── ちょうどそのタイミングで入江投手が投げていて勝ち星がついたら、たまらないですね。

入江 あ、それ最高ですね! ぜひ、お願いします!

 うん、期待に応えられるよう頑張らなきゃね(笑)

後編につづく>>

プロフィール

牧秀悟(まき・しゅうご)1998年4月21日、長野県生まれ。松本第一高から中央大に進み、1年春からレギュラーを獲得。3年春のリーグ戦で首位打者を獲得し、秋はMVPに輝く。2020年にドラフト2位でDeNAに指名され入団。開幕スタメンを果たすと、8月25日の阪神戦でルーキー史上初のサイクル安打を達成。歴代4人目となる1年目での打率3割、20本塁打超えを果たすなど、数々の新人記録を打ち立てた

入江大生(いりえ・たいせい)1998年8月26日、栃木県生まれ。作新学院高では高校3年夏に甲子園に出場し、3試合連続本塁打を放つなど全国制覇に貢献。明治大に進学し、1年春から登板し、3年に春に初勝利。東京六大学通算は37試合に登板して5勝7敗。2020年にドラフト1位でDeNAに指名され入団。昨年はヒジ手術もあり4試合の登板に終わったが、今季はリリーフに転向し開幕一軍を勝ちとった