数字で見る大谷翔平の「得手・不得手」スタジアム編

 大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)はロサンゼルス・エンゼルスの選手としてプレーした6シーズンで計171本塁打を記録している。各シーズンの本数は、2018年が22本、2019年が18本、短縮シーズンの2020年が7本、2021年が46本、2022年が34本、2023年は44本だ。

 この171本塁打のうち、57.9%の99本はホームとしていたエンゼル・スタジアム・オブ・アナハイム(以下、エンゼル・スタジアム)で打った。当然ながら残りの42.1%、72本はアウェーということになる。本数と同じく、ホームランのペース、1本当たりの打数にも差がある。ホームが12.6打数/本、アウェーは17.2打数/本だ。

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 ほかのスタッツも、エンゼル・スタジアムでは351試合の1443打席で打率.277と出塁率.369、ISO.308とOPS.954であるのに対し、アウェーでは350試合の1428打席で打率.272と出塁率.363、ISO.255とOPS.890だ。アウェーの数値も決して低くはないが、ホームランと同様にいずれもホームがアウェーを上回る。

 ISOの計算式は「長打率−打率」だ。「塁打÷打数」の長打率と違い、単打で数値が上がることはない。たとえば、すべて単打で10打数10安打の長打率は、長打が1本もないにもかかわらず、10塁打(1塁打×10本)÷10打数=1.000。一方、この場合のISOは、長打率1.000−打率1.000=.000となる。

 アウェーとひとくくりにせず、それぞれの球場ごとに分けると、ア・リーグ西地区以外のチームがホームとする球場はサンプル数が多くないこともあり、スタッツの数値にはバラつきが出る。

 たとえば、今シーズンからホームとするドジャー・スタジアムでは、15試合の35打席で打率.357と出塁率.457、ISO.322とOPS1.136を記録していて、どの数値もエンゼル・スタジアムより高い。

ただ、ホームランは1本しかなく、ペースは28.0打数/本だ。

 ちなみにこのホームランは、昨年7月8日にマイケル・グローブから打ったものだ。グローブは今シーズンがメジャーリーグ3年目の27歳の右投手で、今シーズンのローテーションに入るかどうかは微妙なところだが、大谷が投手として本格復帰予定の来シーズンからはともにローテーションに並んでもおかしくない。

【2019年にサイクル安打を達成した球場は?】

 エンゼル・スタジアムとドジャー・スタジアムを含め、大谷が30打席以上を記録している球場は17を数える。そのうちの2球場は、テキサス・レンジャーズが2019年までホームとしていたグローブライフ・パークと、2020年から使用しているグローブライフ・フィールドだ。名称が似ていてわかりにくいので、前のホーム球場は名称のうしろに(前)と表記する。

 17球場中、打率のトップ3は、1位がグローブライフ・パーク(前)の.432、2位がターゲット・フィールド(ミネソタ・ツインズ)の.368、3位はカウフマン・スタジアム(カンザスシティ・ロイヤルズ)とドジャー・スタジアムの.357だ。

 出塁率のトップ3は、グローブライフ・パーク(前)の.479、カウフマン・スタジアムの.471、ロジャーズ・センター(トロント・ブルージェイズ)の.466。ドジャー・スタジアムの.457は、この3球場に次いで4番目に高い。

 ISOのトップ3は、カウフマン・スタジアムの.453、ギャランティード・レート・フィールド(シカゴ・ホワイトソックス)の.410、グローブライフ・パーク(前)の.409。OPSのトップ3は、グローブライフ・パーク(前)の1.320、カウフマン・スタジアムの1.280、トロピカーナ・フィールド(タンパベイ・レイズ)の1.153だ。

 2019年6月13日のサイクル安打は、トロピカーナ・フィールドで達成した。ホームラン、二塁打、三塁打、単打の順に記録し、最初の3本は、現チームメイトのライアン・ヤーブローから打った。

 ホームランのペースは、ギャランティード・レート・フィールドの10.2打数/本、カウフマン・スタジアムの10.5打数/本、グローブライフ・パーク(前)の11.0打数/本がトップ3となる。

 本数は、エンゼル・スタジアムを除くと、グローブライフ・フィールドとミニッツメイド・パーク(ヒューストン・アストロズ)の各8本が最も多く、オークランド・コロシアム(オークランド・アスレチックス)の7本、ギャランティード・レート・フィールドとT-モバイル・パーク(シアトル・マリナーズ)の各6本と続く。あとの球場は、5本に満たない。

【ナ・リーグ西地区のライバル球場で相性がいいのは...】

 一方、打率と出塁率のワースト3は、ヤンキー・スタジアム(ニューヨーク・ヤンキース)の.130と.245、T-モバイル・パークの.184と.280、ミニッツメイド・パークの.217と.285だ。OPSのワースト3にも、この3球場が並ぶ。数値は.658と.658と.724で、T-モバイル・パークはわずかにヤンキー・スタジアムを下回る。

 ISOのワースト3は、フェンウェイ・パーク(ボストン・レッドソックス)の.156、オークランド・コロシアムの.191、プログレッシブ・フィールド(クリーブランド・ガーディアンズ)の.192。ホームランのペースのワースト3は、フェンウェイ・パークの29.0打数/本、ドジャー・スタジアムの28.0打数/本、プログレッシブ・フィールドの26.0打数/本だ。

 30打席以上の17球場のなかで、2本塁打未満はドジャー・スタジアムしかない。とはいえ、その打数は28に過ぎず、次に少ないターゲット・フィールドでも、それよりも10打数多い。

 なお、今シーズンのアウェーゲームは、チェイス・フィールド(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)とクアーズ・フィールド(コロラド・ロッキーズ)の各7試合が最も多い。ほかに5試合以上は、こちらも同地区であるオラクル・パーク(サンフランシスコ・ジャイアンツ)の6試合とペトコ・パーク(サンディエゴ・パドレス)の5試合。

エンゼル・スタジアムは9月3日と4日の2試合しかない(ドジャー・スタジアムの対エンゼルスも6月21日と22日の2試合)。

 試合数の多い4球場のうち、チェイス・フィールドでは5試合の8打席で8打数4安打、0本塁打。クアーズ・フィールドは7試合の22打席で22打数7安打(打率.318)、1本塁打。オラクル・パークは3試合の10打席で8打数0安打、2四球。ペトコ・パークは8試合の20打席で16打数2安打(打率.125)、1本塁打、4四球だ。チェイス・フィールドとオラクル・パークでは、過去2シーズンともプレーしていない。