3歳牝馬クラシックの第1弾、GI桜花賞(阪神・芝1600m)が4月13日に行なわれる。
今年の3歳牝馬戦線は有力馬が目まぐるしく変わって、ずば抜けた存在がいない状況と言える。
「桜花賞は過去5年で、阪神JFからの直行組が3勝、5連対しています。昨年の勝ち馬ステレンボッシュ、2着アスコリピチェーノも直行組。今年も阪神JFを勝って、そこからの直行ローテで挑むアルマヴェローチェが中心的な存在になると見ています。
阪神コースは未経験ですが、陣営はデビュー前から操作性の高さを絶賛。舞台替わりがマイナスになるとは思えません。また、当日の天気は下り坂の予報。アルマヴェローチェはハービンジャー産駒で、洋芝での実績もあるため、馬場が渋っても苦にしないでしょう。やはり、同馬の信頼度は高いです」
ただし、水納記者は他にも有力候補がいると言う。
「GIIIフェアリーS(1月12日/中山・芝1600m)の覇者エリカエクスプレス(牝3歳)と、GIIIクイーンC(2月15日/東京・芝1600m)を快勝したエンブロイダリー(牝3歳)です。
前者はフェアリーSの勝ち方が圧巻でした。
桜花賞では、アルマヴェローチェに、この2頭を加えた3頭が上位争いを演じるのではないか、と考えています」
しかし、クラシック戦線において「3強」が並び立つことは決して多くない。過去10年の結果を振り返ってみても、上位人気3頭で決まったのは一度だけ。伏兵の台頭も頻繁に見られ、3連単では好配当がしばしば生まれている。
水納記者もそうした状況を鑑みて、有力3頭に割って入る可能性がある穴馬候補を2頭、ピックアップした。1頭目は阪神JFで1番人気に推されながら、16着と大きく人気を裏切ったブラウンラチェット(牝3歳)だ。
「ブラウンラチェットは、昨秋のGIIIアルテミスS(10月26日/東京・芝1600m)を勝って、当初この世代の有力候補に挙げられた馬。阪神JFではまさかの16着という結果に終わりましたが、この大敗で人気を落とすようなら、狙う価値は十分にあります。
阪神JFでの一番の敗因は、馬体減であることが明らか。もともと小柄な馬だけに、マイナス12kgでの出走はさすがに堪えました。
さらにレース中も、向正面や3コーナーで他馬に囲まれてエキサイト。終始折り合いを欠いていた印象でしたから、それで結果を求めるのは酷かもしれません。
しかし今回は、2週前から栗東に滞在。直前の輸送が短くなるよう、対策を講じています。1週前の追い切りでも、スムーズに走ることができていた、と現場取材班からの情報も入っています。アルテミスSで見せた瞬発力を発揮できれば、勝ち負けを期待していいと思います」
水納記者が目をつけたもう1頭は、リステッド競走のエルフィンS(2月10日/京都・芝1600m)で勝利を飾ったヴーレヴー(牝3歳)だ。
「出世レースのエルフィンSを含めて、ここまで3勝を挙げているヴーレヴー。ですが、デビューから一度も1番人気に支持されたことがなく、今回も馬券的な妙味がありそうです。
エルフィンSでは、序盤から力みが見られましたが、次第に落ちついて直線を迎えると、反応よくスパート。残り1ハロンから力強い伸び脚を見せました。
昨秋のGIIIファンタジーS(4着。
函館の芝1200m戦でデビューしましたが、レースを重ねるごとに距離延長にも対応。エルフィンSの勝ち馬は、昨年のライトバックが7番人気で3着に食い込んでいますし、5年前にはデアリングタクトが勝利。三冠馬に輝きました。桜花賞との相性のよさからしても、期待が膨らみます」
いよいよ開幕するクラシック。今年はどんなドラマが生まれるのか。まずは、若き乙女たちが熾烈な争いを見せる桜花賞に注目である。