4月25日、SVリーグチャンピオンシップ準決勝が大阪で幕を開ける。レギュラーシーズン1位の大阪ブルテオン、2位のサントリーサンバーズ大阪が、準々決勝から勝ち上がったジェイテクトSTINGS愛知、ウルフドッグス名古屋とそれぞれ対戦。
セミファイナルの4チームはどこが優位か?
SVリーグのチャンピオンシップは、レギュラーシーズンで上位のチームが順当に勝ち上がっている。準々決勝では3位のウルフドッグス、4位のジェイテクトが、それぞれ5位の東京グレートベアーズ、6位の広島サンダーズに勝利を収めた(この傾向は女子も変わらない)。あらためて、レギュラーシーズンの優位性が持つ意味は大きい。ホームで迎え撃てる点でも、ブルテオン、サントリーの優位は動かないだろう。
ブルテオンは、コンディションも日程的に1週間空いているアドバンテージがある。じっくりと準備ができたはずで、勝ち上がった相手の勢いを差し引いても、優勢だろう。何より西田有志のようなスーパースターがいるのは強力だ。
「Enthusiasm」昨年10月末、ウルフドッグスに勝利した試合後、日本代表監督にも就任したブルテオンのロラン・ティリ監督は「熱意、やる気」という言葉で西田を端的に表わしていた。
「西田選手は常に100%で、試合ですべてを出し尽くすことができます。たまにやりすぎるほどですが(笑)。いつもポジティブで、チームにとって重要な選手です。
西田はチームに活力を与える。彼がコートに立つだけで、チームの力が底から湧き立つ。ミゲル・ロペスと並ぶ"大砲"はSVリーグでも屈指だ。
ほかにも甲斐優斗、トーマス・ジェスキー、富田将馬が得点源と言える。世界有数のリベロである山本智大が拾い、長身セッターの永露元稀が味方に託し、ミドルブロッカーのエバデダン・ラリーが制空権を取る。ベテラン、山内晶大はやや調子を落としているが、正念場でアジャストさせてくるはずだ。
【勝ちパターンが生まれたサンバーズ】
もちろん、ジェイテクトにも勝機はある。天才セッター、関田誠大はトリー・デファルコ、宮浦健人という名うてのスパイカーたちを自由自在に操り、最高値を引き出す。
「関田のような優秀なセッターがいる、安定した戦いができるチームが相手だったら、ミスの代償は払うことになりますね。つまり、負けることになるのです」
一昨シーズン、優勝を果たしたウルフドッグスのヴァレリオ・バルドヴィン監督は昨年10月の対戦時にそう語っていたが、関田は自分の世界をコートに展開できる選手だ。
一方、サンバーズは16連勝でレギュラーシーズンを終え、僅差で2位だったが、チーム状態も含めると「最強」と言えよう。
身長218センチのドミトリー・ムセルスキーの高さは、SVリーグでも比類がない。デアルマス・アラインもアタック成功率3位、サーブ効果率2位を誇る。ミドルブロッカー陣も鬼木錬が台頭著しく、パリ五輪代表の小野寺太志も復活を遂げつつある。昨シーズンのMVP、セッターの大宅真樹も新チームにフィットした。
そして髙橋藍は西田と双璧を成すSVリーグの看板選手である。攻守にオールラウンドな活躍を見せ、無双状態に入ってきた。フェイクセットや背面ショットは単純にスペクタクルだ。
「うまくいっている要因は、自分たちが"チームの成長"にフォーカスしてきて、それが結果に出てきたのでしょう」
オリビエ・キャットヘッドコーチは不敵に言う。
「開幕戦がうまくいかなかった時も、"連係面を深めていこう"と信じてやってきました。おかげで連係面がよくなり、各自のレベルアップにつながってきています。時間はかかりますが、長いシーズンでいい流れをつかめる、効果的なプレーができると考えていました。結果、何をすればいいか、選手は選択肢を増やしたし、解決策を見つけられている成長も見えますね」
開幕戦、サンバーズはブルテオンに完敗したが、今や見違えるほどで、勝ちパターンが生まれた。
「チャンピオンシップは我慢強く戦う」
キャットHCはそう言って、虎視眈々と頂点を狙う。
対するウルフドッグスはずっと2位の座を守ってきたが、終盤でサンバーズに逆転された。ただ、地力があるのは間違いなく、準々決勝では広島の挑戦を打ち砕いた。
絶対的エース、ニミル・アブデルアジズのオフェンス力は脅威だろう。レギュラーシーズンは総得点1位、アタック決定率1位、サーブ効果率1位。広島戦も暴風のようなすさまじさだった。日本代表に復帰した熟練セッター、深津英臣の実直なトスも見もの。日本代表に初選出されたビーチバレーとの「二刀流」、水町泰杜が伏兵的な活躍ができたら......。
準決勝の会場は、1万人を収容できるAsueアリーナ大阪だ。