【長距離に強い阪神大賞典勝ち馬に期待】

 5月4日(日)、東京競馬場で4歳以上馬によるGⅠ天皇賞・春(芝3200m)が行なわれる。

天皇賞・春で確認すべきは「長距離」に強い血 レイデオロ、ディ...の画像はこちら >>

 今年は、2023年の勝ち馬ジャスティンパレス、昨年の2着馬でGⅠ宝塚記念(京都・芝2200m)の勝ち馬ブローザホーン、サウジアラビアのGⅡレッドシーターフH(芝3000m)を勝ったビザンチンドリーム、GⅡ阪神大賞典(阪神・芝3000m)を勝ったサンライズアース、GⅡ日経賞(中山・芝2500m)を勝ったマイネルエンペラー、昨年のGⅠ菊花賞(京都・芝3000m)2着馬ヘデントールなど、新旧の実績馬が揃った興味深いメンバーになった。

 では、このレースを血統的視点から占っていこう。

今回は純粋に、馬の血統の優秀さ、レース適性という視点で見ていきたい。そのテーマで筆者が今回、本命に推したいのがサンライズアース(牡4歳、栗東・石坂公一厩舎)だ。

 同馬は、父がGⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)、GⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)を勝ったレイデオロ。レイデオロの産駒はまだ2世代しか出走していないが、長距離戦に強い傾向がある。レース数は少ないが、芝2600m以上では18戦5勝、2着3回、3着1回で勝率28%、連対率44%、複勝率50%という優秀な数字が残っている。

 3200mに産駒が出走するのは今回が初めてだが、3000mでは本馬の阪神大賞典のほか、菊花賞でアドマイヤテラが3着に入っている。さらにアドマイヤテラは、4月14日に行なわれた大阪―ハンブルクC(阪神・芝2600m)を快勝しており、長距離戦での強さを示した。

 サンライズアースは牝系も優秀だ。半兄セラフィックコール(父ヘニーヒューズ)は地方交流GⅡダイオライト記念(船橋・ダート2400m)などダート重賞を3勝、大きくタイプが異なるが、いとこにはヴィルシーナ(東京・芝1600mのGⅠヴィクトリアマイル連覇)、シュヴァルグラン(東京・芝2400mのGⅠジャパンCを勝利)、ヴィブロス(京都・芝2000mのGⅠ秋華賞、メイダン・芝1800mのGⅠドバイターフを勝利)という"GⅠ3きょうだい"がいる。

 なかでもシュヴァルグランは、サンライズアースと同じく阪神大賞典を勝ち、天皇賞・春では2着2回、3着1回。3000m以上は5戦して4着以下なしと非常に安定した成績を残した。

 サンライズアースは阪神大賞典を6馬身差で圧勝。

2001年に勝利したナリタトップロードの8馬身差に次ぐ大きな差だ。ナリタトップロードは、続く天皇賞・春で3着と敗れたが、かなりのハイペースを前目につける厳しい展開を考えると、強い競馬だったと言っていい。

 阪神大賞典は天皇賞・春の最重要ステップレースであり、過去2年の勝ち馬、ジャスティンパレスとテーオーロイヤルは阪神大賞典と天皇賞・春を連勝。1986年以降、前走レースとしては最多の15頭が、このローテーションで天皇賞・春を勝利している。

 過去10年に限ると、阪神大賞典の勝ち馬は9頭が出走しており、4勝、2着2回、3着2回、4着1回と極めて安定した成績だ。血統面からもローテーションのデータからも、サンライズアースが好走する可能性は高そうだ。

【もう1頭も長距離向きの配合馬】

 もう1頭はシュヴァリエローズ(牡7歳、栗東・清水久詞厩舎)を推す。同馬の父ディープインパクトは言わずと知れた大種牡馬で、産駒は天皇賞・春でも2019、20年のフィエールマン、2021年のワールドプレミア、2023年のジャスティンパレスと、過去6年で4勝を挙げている。

 シュヴァリエローズの母の父セーヴルローズは、種牡馬実績が乏しい"マイナー種牡馬"だが、父系をさかのぼると、前述のフィエールマンも持つニジンスキーにたどり着く。祖母の父カルドゥンも、芝4000mの仏GⅠカドラン賞を勝ったメルカルなどを輩出している種牡馬のため、長距離向きの配合馬だ。

 シュヴァリエローズは、昨年10月のGⅡ京都大賞典(京都・芝2400m)で重賞初制覇。続くGⅡステイヤーズS(中山・芝3600m)も勝って重賞を2連勝している。

前走のGⅡ日経賞(中山・芝2500m)は12着と着順こそ悪いが、勝ち馬からは0秒5差。稍重で湿った馬場を気にしたようで、敗因ははっきりしている。良馬場なら巻き返しは可能だろう。

 以上、今年の天皇賞・春は、レイデオロ産駒サンライズアース、ディープインパクト産駒シュヴァリエローズの2頭に期待する。

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