ついに17年ぶりのJ1復帰、となるのだろうか。
今季J2は、シーズンのおよそ3分の1にあたる第14節までを終え、ジェフユナイテッド千葉が首位に立っている。
ここまで10勝2敗2分けの勝ち点32で、2位のベガルタ仙台に勝ち点4差をつけているばかりか、総得点28、得失点差プラス15は、いずれもJ2でダントツ。数字のうえでも際立つ結果を残している。
千葉にとっては、待ちに待ったスタートダッシュ、と言ってもいいのかもしれない。というのも、このところの千葉のJ1挑戦は、後半の追い上げが届かず、夢破れるケースが多かったからだ。たとえば、今季千葉を率いる小林慶行監督の就任1年目だった一昨季。一時は21位まで順位を落とすなど、シーズン前半は下から数えたほうが早いほどの順位に低迷し続け、J1昇格など夢のまた夢かと思われた。
ところが、シーズン後半に入ると、スピーディーに相手ゴールへ向かう力強いサッカーを展開。7連勝を記録するなど6位まで順位を上げ、J1昇格プレーオフ進出を果たしている。
あるいは、フアン・エスナイデル監督が率いた2017年。リスク覚悟のハイライン・ハイプレスを標榜する千葉は、その戦術ゆえ、なかなか安定した結果を得られずにいたが、シーズン最後を怒涛の7連勝でフィニッシュ。大逆転で6位に滑り込み、ここでもJ1昇格プレーオフへ進出している。
しかし、結果は、いずれもプレーオフ敗退。
こうした過去の苦い経験を振り返れば、スタートダッシュに成功し、好位置でシーズンを進められる今季は、J1昇格への大きなチャンス。ここから得意とするシーズン終盤の上り調子につなげることができれば、盤石のJ1昇格を果たせるというわけだ。
もちろん、勝負事がそれほど安直な理屈で進むはずはないだろう。実際、今季開幕からの11節は10勝1敗と圧倒的な結果を残した千葉も、直近3節は1敗2分けと、3試合続けて勝利から遠ざかっている。早くも潮目は変わり始めている、のかもしれない。
だが、就任3年目の小林監督は、「一番大事なのは、今の自分たちは何ができていて、何が必要なのかを精査して進んでいくこと。今、自分がともに戦ってくれている選手にとって、それが難しいとは思っていない」と、選手に寄せる全幅の信頼を言葉にする。
たとえ開幕当初の勢いはいくらか削がれてしまったのだとしても、過去に出遅れが響いてJ1昇格を逃してきた千葉にとっては、期待高まる今季序盤戦であることは間違いないだろう。
「今季が始まる前は、昇格候補でもないし、プレーオフも入れないんじゃないかと思われていた。それでここ(首位)に来られているのは、ポジティブなこと」
小林監督自らがそう語っているように、今季開幕前にさかのぼれば、千葉の前評判は必ずしも高いものではなかった。
昨季の千葉は、一昨季の終盤戦に見せた質の高いサッカーが評判となり、開幕前にはJ1昇格の有力候補と目されていたものの、7位に終わり、J1昇格プレーオフ進出さえ逃していたからだ。
加えて、チームの得点源だったJ2得点王、小森飛絢が海外移籍で離脱したとあっては、その評価も仕方のないものだっただろう。
ところが、新シーズンが始まってみると、開幕戦でいわきFCに2-0の勝利。内容的に見れば、いわきの優勢と言ってもよかったが、そんな試合を結果的に完勝で終えられたのは、小林監督が就任してからの2年間で追求してきた理想と、J1昇格のために足りなかった現実とのバランスを、うまく見極められるようになったからではないだろうか。
この開幕戦勝利で得た自信や手応えが、その後に続くスタートダッシュに大きく影響したことは想像に難くない。
千葉と言えば、言わずと知れた"オリジナル10"のひとつだが、2009年シーズンを最後にJ2へ降格して以降、一度もJ1昇格を成し得ていない。
オリジナル10と言えども、時代の変化とともに、J2降格は決して珍しいものではなくなったとはいえ、J1復帰を果たせていないのは、千葉だけが持つ不名誉な記録である。
16年続いた負の歴史に終止符を打つべく、古豪クラブが絶好のスタートをきった。