メキシコ戦(9月6日)、アメリカ戦(9月9日)の日本代表メンバー25人が以下のように発表された。
GK
早川友基(鹿島アントラーズ)、鈴木彩艶(パルマ)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)
DF
長友佑都(FC東京)、荒木隼人(サンフレッチェ広島)、板倉滉(アヤックス)、渡辺剛(フェイエノールト)、安藤智哉(アビスパ福岡)、瀬古歩夢(ル・アーヴル)、関根大輝(スタッド・ランス)
MF/FW
遠藤航(リバプール)、伊東純也(ゲンク)、南野拓実(モナコ)、三笘薫(ブライトン)、小川航基(NEC)、前田大然(セルティック)、堂安律(フランクフルト)、上田綺世(フェイエノールト)、町野修斗(ボルシアMG)、佐野海舟(マインツ)、久保建英(レアル・ソシエダ)、細谷真大(柏レイソル)、望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)、鈴木唯人(フライブルク)、藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)
欧州組の数は年々増えるばかりで総勢120人超と言われる。層が厚くなっていることは確かだとしても、トップは伸び悩み気味だ。
4年に1度のワールドカップを中心に考えると、2025-26シーズンの初頭は、競馬で言えば第4コーナーに差し掛かったところあたりになる。ワールドカップ本番の成績は、これからの"脚色"と深い関係にある。
目立つのはケガ人だ。町田浩樹(ホッフェンハイム)、伊藤洋輝(バイエルン)、高井幸大(トッテナム)という守備陣のスタメン級が今回、ごっそりと招集外になった。MFも同様で、守田英正(スポルティング)、田中碧(リーズ)、鎌田大地(クリスタルパレス)の主力クラス3人が外れた。
その穴をどう埋めかに注目が集まっていたのだが......。
【E-1選手権出場組から4人を抜擢】
森保監督は、ワールドカップアジア3次予選で本大会出場を決めると、6月に行なわれた9戦目(オーストラリア戦)、10戦目(インドネシア戦)に多くの若手を招集した。鈴木唯人、佐野海舟、細谷真大、大橋祐紀(ブラックバーン)、森下龍矢(ブラックバーン)、俵積田晃太(FC東京)、平河悠(ブリストル・シティ)、佐野航大(NEC)、三戸舜介(スパルタ)、鈴木淳之介(コペンハーゲン)、佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)らである(もっとも鈴木唯人、佐野海舟、細谷、森下は久々の招集で、厳密に言えば復帰組)。
今回はこのなかから3人(鈴木唯人、佐野海舟、細谷)が招集された。それ以外の新顔だった選手は、不合格という扱いになった。
もうひとつ、7月の東アジアE-1選手権出場組からどれほど招集されるかも注目された。こちらは100%国内組。ほぼ欧州組で固められたオーストラリア&インドネシア戦組より格的には劣るグループだ。ところが今回、そこから早川、望月、荒木、安藤の4人が抜擢された。
その理由はケガ人等で空きが出たポジションと深い関係があることは認めるが、オーストラリア&インドネシア戦組に思いのほか低い評価が下されたとの印象は強い。故障中の三戸はともかく、大橋、森下、平河、佐野航大は招集されてもおかしくない選手だと筆者は見る。
大橋、森下が所属するブラックバーンはチャンピオンシップ(イングランド2部)で昨季7位に入ったチームだ。平河のブリストルシティは同6位。ともにプレミアリーグへの昇格プレーオフに進出している。
欧州の4大リーグといえばイングランド、イタリア、スペイン、ドイツ。5大リーグといえばこれにフランスが加わる。現在のUEFAリーグランキングに基づけば6位以下はオランダ、ポルトガル、ベルギー、トルコ、チェコ、ギリシャと続く。
このUEFAリーグランキングに「2部」は存在しない。対象外のカテゴリーだ。しかし現在のチャンピオンシップは、5大リーグはもちろん4大リーグでも通用するレベルにある。感覚的な話になるが、チャンピオンシップの上位チームはスペインなら1部の中位~下位、イタリア、フランスなら上位~中位にくると考えていい。
【日本サッカーの勢いを象徴するチャンピオンシップ勢】
たとえば、フランスリーグの2部に降格したスタッド・ランスからベルギーリーグ(ランク8位)のゲンクへ移籍した伊東純也と、チャンピオンシップ上位勢とでは、後者のほうが格的には上と解釈すべきなのだ。欧州で最も勢いがあるリーグ。チャンピオンシップをそう言い換えてもいい。
今季、そのチャンピオンシップでプレーする日本人は、大橋、森下、平河以外にも数多くいる。坂元達裕(コベントリー)、斉藤光毅(QPR)、松木玖生(サウサンプトン)、瀬古樹(ストーク・シティ)、岩田智輝、藤本寛也、古橋亨梧(以上バーミンガム)と、枚挙にいとまがない。
これこそが日本サッカーの勢いを象徴する事象だと筆者は見る。第4コーナーに差し掛かったいま、日本代表に勢いをつけるためにもチャンピオンシップで活躍する選手の登用は不可欠と見ていた。
だが、願いは適わなかった。
変化する欧州サッカーの実態に対応できていない。筆者にはそんな気がして仕方がない。
また、メンバー発表会見で森保監督は、E-1選手権同様、3バック、4バック、両方で戦える準備をしておきたいと語った。「可変」についても言及した。しかし、4バックを採用するためにはSBの人材が必要だ。発表されたメンバーを眺めたとき、該当する選手は何人いるか。現在、所属チームでSBを本職にしている選手は長友しかいない。
5バックを採用し続けた弊害をそこに見る気がする。有能なSBの絶対数は森保監督在任中に激減した。この流れが続けば、日本のセールスポイントであるウイングも近い将来、同じ問題を起こすことになりかねない。ポジションがなければ選手は育たないのである。
「可変」とは「変わり得る」を意味する言葉だ。日本代表に可変を導入したのはハビエル・アギーレ(現メキシコ代表監督)だが、その4-3-3と3-4-3の可変はシンプルだった。4-3-3でアンカーを務める長谷部誠を、マイボールに転じるや最終ラインを形成する両CBの間に下げ、同時に両SBを高い位置に上げる、難易度の低い変化だった。
一方、3-4-2-1から4-2-3-1へ移行する森保式の可変は、大きな変化だ。試合中にコンセプトが異なる布陣に移行しようとすれば、少なくとも展開がハマる必要がある。
E-1選手権の韓国戦は、後半、押されっぱなしの展開になった。3バックは文字どおりベタ引きとなり、5バックと化した。そこで可変などできるはずがない。そこで守備的な3-4-2-1から攻撃的な4-2-3-1に変化させることは、イチかバチか、博打同然の行為に当たる。
韓国戦で可変ができないままタイムアップの笛を聞いたのは、当然の帰結だった。森保式の可変は可変に非ず。なにより変化が劇的すぎて使いにくい。
森保式の可変に誤魔化されてはいけない。それは展開がハマらなければ敗因になりかねない、危なっかしい作戦なのである。4-3-3と3-4-3の間でスムーズな移行を繰り返したアギーレ時代が懐かしく感じられる。
そのアギーレが率いるメキシコとの一戦は、森保監督の手腕を推し量るまたとない機会になるだろう。細部までとくと目を凝らしたい。