3歳牡馬「三冠」の最終戦、GI菊花賞(10月26日/京都・芝3000m)のステップレースとなるGII神戸新聞杯(阪神・芝2400m)が9月21日に行なわれる。
過去の勝ち馬を見てみると、ここ10年だけでもメイショウタバル、ジャスティンパレス、コントレイル、サートゥルナーリア、ワグネリアン、レイデオロ、サトノダイヤモンドと、GI馬や、のちのGI馬の名前がズラリ。
1番人気は4勝を挙げているものの、あとは2着が1回あるだけで、それ以外は馬券圏外に沈んでいる。一方で、伏兵の台頭が頻繁に見られ、3連単ではしばしば好配当が生まれている。2022年には、5番人気のジャスティンパレスが勝利し、2着に12番人気のヤマニンゼスト、3着に4番人気にボルドグフーシュが入って、45万円超えの高額配当が飛び出している。
そうした状況のなか、日刊スポーツの太田尚樹記者がレースの傾向についてこう語る。
「神戸新聞杯はGI日本ダービー(東京・芝2400m)組が強く、前走がダービーだった馬が2016年~2023年まで8連勝。昨年の勝ち馬メイショウタバルにしても、前走はGI皐月賞(中山・芝2000m)になっていますが、本来はダービーに出走予定でした(枠順発表後、出走取消)。
今年もダービー3着のショウヘイ(牡3歳)、5着エリキング(牡3歳)、8着ジョバンニ(牡3歳)が出走予定。どれも人気が予想されますが、無視することはできません」
ただし、ダービー上位馬が断然、というわけではない。2021年にはダービー馬のシャフリヤール(1番人気)が不良馬場に苦しんで4着。2023年にもダービー3着のハーツコンチェルト(1番人気)が5着と、人気を裏切っている。
「ですから、伏兵馬の出番も十分にあると思います」と太田記者。
「直近の神戸新聞杯で、前走ダービー組以外での波乱の立役者を見てみると、2021年に8番人気で3着となったモンテディオ、2022年に12番人気で2着に突っ込んできたヤマニンゼスト、2023年に10番人気で2着と好走したサヴォーナがいます。
それぞれの前走は、モンテディオが札幌の芝2600m戦、ヤマニンゼストが札幌の芝2000m戦、サヴォーナが福島の芝2600m戦。タフさや持久力を持ち合わせた馬が好配当を生み出しやすい傾向があるように感じます」
そこで太田記者は、ボンドロア(牡3歳)を今年の波乱の使者候補に挙げた。
「前走で1勝クラスの北辰特別(8月31日/札幌・芝2600m)に出走。その勝ちっぷりが優秀でした。それまでは"逃げてこそ"の戦績でしたが、前走では好位からメンバー最速の上がりを繰り出して、後続に3馬身差をつける圧勝。管理する松永幹夫調教師も、『(前走では)折り合うこともできたし、(神戸新聞杯でも)あの競馬ができれば......。阪神でも勝っていますし、長い距離はいいですね』と好感触を得ています。
鞍上は、松永幹調教師と同期の横山典弘騎手。先週のGIIセントライト記念(9月15日/中山・芝2200m)でも、その"同期コンビ"のヤマニンブークリエが8番人気で2着と奮闘しています。
確たる逃げ馬が不在でハナを切る選択肢もあると思いますし、後方で有力どころがけん制し合うなか、臨機応変に立ち回れるのは強みでしょう」
太田記者はもう1頭、気になる馬がいるという。
「前走のGII京都新聞杯(5月10日/京都・芝2200m)では3着に敗れて、ダービーへ駒を進めることができませんでしたが、春初戦から中3週、中2週とレース間隔が詰まっていたのが響いたかもしれません。
同レースで(デルアヴァーと)半馬身差の2着だったエムズがダービーで7着と健闘。ダービー組にも劣らない素質は示した、と言えます。そこから休養を挟んで挑む今回、松永幹調教師も『成長を感じますし、リフレッシュした効果もあると思います』と手応えを口にしていました。
母はダート2500mの地方交流重賞の名古屋グランプリ(名古屋)を連覇しているアムールブリエ。血統面からも持久力に不安はありません。折り合って持ち前の末脚を発揮するにも、阪神・芝2400mの舞台は合うと思います」
本番の菊花賞を占ううえでも見逃すことができない注目のトライアル戦。ダービー組以外の伏兵候補が激走を果たすのか、必見である。