今シーズン、3年連続のリーグ優勝と日本一を目指すソフトバンク。2年連続で最多勝利のタイトルを獲得した有原航平は日本ハムに移籍したが、依然として戦力層は厚い。
そんなチームの戦力について、5年連続で開幕投手を務めるなどソフトバンクのエースとして活躍し、2012年に沢村賞をはじめとする数々のタイトルを獲得した攝津正氏に分析してもらった。
【注目のふたりのピッチャー、秋広優人の印象は?】
――キャンプ、オープン戦を見た上で、注目のピッチャーを挙げるとすれば?
攝津正(以下:攝津) 大津亮介と松本晴ですね。大津は昨シーズンの後半、ほとんどの試合でいいピッチングをして勝ち星を積み重ねていましたし、あのピッチングが前半から続けば二桁勝利が見えてきます。
――攝津さんは昨シーズンの開幕前も、大津投手に期待していましたね。
攝津 そうですね。ただ、昨シーズンはチェンジアップを覚えたのですが、それに頼りすぎてしまったんです(昨シーズンの成績は6勝2敗)。後半はフォークの割合を増やして結果が出始めました。なので、昨シーズンと比べてここが変わった、という部分は特にないのですが、普通に実力を出してくれたら全然問題ないと思います。
もともと球威もコントロールもいいですし、緩急や横の変化もつけられて、ピッチングの組み立てもうまい。けっこう万能なピッチャーなので、期待しています。
――松本投手はいかがですか?
攝津 昨シーズンから引き続きいいのですが、彼の場合は長いイニングを投げるうえで体力が持つかどうかなんです。そこをどれだけ改善できているかが、活躍できるかのポイントです。
打順がふた回り目、3回り目くらいになると、球威が落ちて捕まることが多かったですからね。
――飛躍が期待される、3年目の前田悠伍投手はどう見ていますか?
攝津 身体は大きくなりましたが、真っすぐは140キロを少し超えるくらいで、そこまで球速が出ていない。ウイニングショットがなかったり、突出している部分がありませんね。ただ、器用だと思いますし、全体的にまとまりがあってピッチャーとしてのアベレージは高いと思うので、ピッチングをどう組み立てていくかがポイントになるでしょう。
――野手はいかがですか? 小久保裕紀監督はチームを「一度壊す」ことをテーマにしているようですが。
攝津 秋広優人がいいですね。オープン戦でホームランが3本出ていますが、フリーバッティングを見ていても、今までよりも明らかに打球の角度がよく、飛ぶんです。もともと当てるのはうまいバッターなので、これがずっと続けられるかどうかですね。
足を高く上げて体重移動をしっかりして、全身の力をボールにぶつけようとしています。そうなると、あれだけ大きな身体なので飛距離は出ますよね。バッティングピッチャーの方も「今までとは全然違う」と言っていましたし、期待できるんじゃないでしょうか。
――開幕が近づくにつれ、各チームとも主軸のピッチャーが投げてきますが、それでも好調を維持できるかどうかに注目ですね。
攝津 そうですね。これからはいいピッチャーがどんどん出てくるので、打つのが難しくなります。現段階では「まぁ、打つだろう」という感じですが、真価が問われるのはこれからですね。
【ルーキーなど新戦力の評価】
――新戦力の選手についてもお聞きします。ドラフトでは2位~4位で入団した、大卒のピッチャーたちの印象はいかがですか?
攝津 稲川竜汰(2位・九州共立大)と鈴木豪太(3位・大阪商業大)は、ブルペンと実戦も見ましたが、ふたりともけっこういいピッチャーだなと思いました。稲川は、体力面はまだまだかなという印象ですが、真っすぐが速いですし、縦カーブはすぐにでも通用しそうな感じです。けっこう縦に変化するんですよ。
気になるのは、どこで起用するかですね。大津などもそうでしたが、最初はある程度リリーフで投げさせて、来シーズンから先発という構想があるかもしれません。
鈴木は、おそらく中継ぎでの起用になるかと思います。ライブBPやオープン戦でのピッチングを見たのですが、本当にコントロールがいいですし、実戦のほうがより力を発揮するタイプだと思います。サイドスローですが、ボールも強い。津森宥紀とかぶる部分はありますが、即戦力と見ていいんじゃないですか。
――勝ちパターンの一角を担っていた藤井皓哉投手がトミー・ジョン手術を受け、松本裕樹投手はWBCのメンバーに入っていたため調整が難しい部分もあると思います。リリーフ陣に厚みを持たせる意味でも、ふたりの奮起に期待したいところですね。
攝津 そうですね。あと、一番安定している杉山一樹がいるのは心強いです。そのほかの新戦力では、徐若熙(シュー・ルオシー)にも注目しています。
――徐若熙投手は、先発ローテーションの一角として期待されていると思いますが、いかがですか?
攝津 いいピッチャーだと思います。能力が高いですが、まだまだかなとも感じます。実際、100イニング以上投げたのは昨年だけですから(114イニング)。それと、三振を取れるピッチャーではありますが、ライブBPで投げていた真っすぐが高いというか、けっこう甘いんです。腰の高さくらいにくるので、バッターに捉えられていましたしね。
でも、真っすぐのボールの質は、スピンがよくかかっていてホップする感じなのですごくいいと思います。決め球のスプリットチェンジは、自分が見た時だけかもしれませんが、いろいろな変化をするんです。
ケガ持ちでもありますし、体力面は不安要素かなと。台湾は試合数が少ないですし、日本は中6日なので全然違います。ローテーションの谷間などで投げさせるんじゃないですかね。小久保裕紀監督も、今すぐローテーションに組み込む感じではない、といった話をしていました。
【有原の抜けた穴をどう埋めるか】
――昨シーズンはケガで登板がなかったカーター・スチュワート・ジュニア投手にも期待がかかりますね。
攝津 順当にいけばローテーションに入るでしょう。リバン・モイネロ、上沢直之、大関友久、大津、松本晴、スチュワートといったところじゃないですか。
スチュワートはケガしたのが左脇腹だったので、そこの負担も考えたのか、肘を下げた投げ方に変わっていました。それでも出力が出ているのでいいのですが、彼の場合はストライクが入るかどうか。2024年は9勝していますし、有原航平が抜けたこともあるので、二桁勝利に期待したいところです。
――やはり、有原投手が抜けた穴は大きいでしょうか。
攝津 有原は昨シーズンに175イニング投げているので、誰かひとりで埋めるのはきついです。スチュワートがそれだけ投げられるかといえば、ムラがあるピッチャーなので厳しいと思います。そこでカギを握るのが、大津と松本晴です。ふたりがそれぞれ4、5勝ずつ上乗せしたうえでスチュワートも二桁勝てれば、数字上では優勝が見えてくるんじゃないかなと。モイネロ、上沢、大関がある程度勝ってくれることが前提になりますけどね。
――野手の新戦力として、ドラフト5位ルーキーの髙橋隆慶選手(JR東日本)はいかがですか?
攝津 飛ばす力はありますね。ポジションはサードかファーストだと思いますが、サードの栗原陵矢も安泰ではないと思いますし、ファーストも山川穂高を脅かすという意味では面白いかもしれません。山川も数字次第で外される可能性はありますから。レギュラーとして決まっているのは、牧原大成くらいじゃないですか。
あと、ソフトバンクは複数のポジションを守れる野手が多く、けっこう内野をいじれます。オープン戦の結果次第では、髙橋もある程度の出場機会はあるかもしれません。
(後編:攝津正がパ・リーグの順位を予想 ソフトバンクと日本ハム、その優勝争いに続きそうなのは?>>)
【プロフィール】
攝津正(せっつ・ただし)
1982年6月1日、秋田県秋田市出身。










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