菊地真結(25歳/トーヨーメタル)と、宇都木乃愛(19歳/産業能率大)――。

 年齢は違えども、ともにバレーボールの強豪校である共栄学園高(東京都)卒で、高校時代は春高バレー(全日本バレーボール高校選手権)で全国を沸かせた選手だ。

ふたりは高校ビーチにおいても、マドンナカップ(全日本ビーチバレーボール高校選手権)と国民体育大会(現国民スポーツ大会)を制し、高校二冠のタイトルを獲得している。

【ビーチバレー】「のあまゆ」の菊地真結、「のあめい」の宇都木...の画像はこちら >>
 菊地は、共栄学園高を卒業後、大学に進学してビーチとインドアの「二刀流」を継続。卒業と同時に、戦う舞台にビーチを選んだ。高校時代からパートナーを組んできた衣笠乃愛(24歳)との「のあまゆ」として奮闘してきたが、衣笠のケガの影響などもあって昨年、ペアを解消した。

 そして今年、ビーチのニューヒロイン「のあまゆ」としてスポットライトを浴びる立場から、さらなる上を目指して顔つきも変わった。他の選手とペアを組み、海外ツアーも経験するなかで着実に実力をつけてきた。「のあまゆ」の「まゆ」ではなく、菊地真結として非常に重要なシーズンをこなしている。

 6月6日、7日に行なわれたビーチバレーの国内トップツアー『ジャパンビーチバレーボールツアー2026 第2戦グランドスラム グランフロント大阪大会』では、その成長を存分に見せつけた。

 今シーズン、菊地は2度の五輪出場を誇るプレーヤー、石井美樹(36歳)とチームを組んできた。ジャパンツアーは2戦目だが、すでにワールドツアーのFIVBビーチプロツアーでは3大会を戦っており、中国・三亜大会では初優勝を飾っている。石井は今年、愛知県名古屋市を中心に行なわれるアジア競技大会2026の出場を見据え、パートナーに菊地を選んだ。残念ながら、アジア大会の出場権は逃したものの、ふたりはチームの集大成としてグランフロント大阪大会に臨んだ。

 石井&菊地ペアは、初日の1回戦を確実に突破し2日目へと進んだ。2日目の天候は雨。小雨ながら時折強くなり、ビルの間を吹き抜ける風が常に息をしていた。ボールも水を含み重くなり、難しいコンディションだった。

 にもかかわらず、石井&菊地ペアは安定した戦いを見せた。準決勝では、ジャパンツアー第1戦の優勝チームで、昨年もジャパンツアーで3勝を挙げている伊藤桜(24歳)&沢目繭(32歳)ペアを相手にセットカウント2-0(24-22、21-17)で勝利。第1セットでは終盤にリードを許しながらも、菊地が冷静にサイドアウトをきり、強打を放って逆転し、その勢いのまま第2セットも奪取した。

 決勝戦も風雨を意に介することなく、準決勝のいい流れをキープ。中川知香(30歳)&秋重若菜(23歳)ペアを2-0(21-12、21-18)で下して、有言実行の優勝を収めた。

 菊地は、優勝を手にした自分の成長を「私にボールが集まることがわかっているなか、それでも(効果的に気持ちを)切り替えられて、メンタリティが落ちることなく、最後まで戦えるようになった」とコメント。さらに、もともと持っていたレシーブの能力に加え、「海外の試合を経験することで、強打の重要性がわかり、攻撃の幅が広がった」と語った。

 目標のアジア大会出場が叶わなかったため、これで石井&菊地ペアは解散することになるが、ここまでの経験は菊地にとって大きな成長の糧になるに違いない。

今回、パートナーを組んだ石井の言葉からもその期待が膨らむ。

「(菊地は)バレーの基礎的能力が高く、伸びしろが大きい選手。それ以上に性格が素直で、私とのバランスがよく、助けられた部分も多かった。何も言わなくても自分で準備ができますし、いろいろと言い合えるなど、尊敬できる面もたくさんあった」

【ビーチバレー】「のあまゆ」の菊地真結、「のあめい」の宇都木乃愛、それぞれの再出発
溝江明香とペアを組んで新たなスタートをきった宇都木乃愛
 一方、菊地の後輩である宇都木は、春高バレーで優勝し、優秀選手賞を獲りながらも、大学入学とともにビーチを選んだ。大学1年生の昨シーズンは森愛唯(20歳)との「のあめい」コンビで、FIVBビーチバレーボールU21世界選手権などに出場し、海外経験も積んだ。

 今シーズンからは心機一転、溝江明香(35歳)とチームを組むことになった。菊地同様、重要なシーズンとなる。

 ただ、宇都木のグランドスラム大阪大会は、菊地とは対照的な結果となった。初日の1回戦には難なく勝ったが、2日目の準決勝で苦杯をなめた。

 準決勝の相手は中川&秋重ペア。これまでの試合では現役復帰間もない溝江がほとんど狙われてきたが、中川&秋重ペアは開始からボールを宇都木に集中させた。浮き足だった宇都木はサイドアウトを切れず、失点を重ねて12-21で第1セットを落とした。

第2セットも序盤でリードを奪いながら、終盤に追いつかれて逆転。18-21でセットを失ってセットカウント0-2で敗れた。

 試合後、宇都木は「強い風に対応できず、チャンスをチャンスにしきれなかった。環境がよくないなかで、強打もイージーに打って(簡単に)上げられてしまった。ディフェンスの立ち位置もよくなかった」と反省を口にした。

 それでも、溝江&宇都木ペアはトップツアーでの試合が2戦目。今は経験を吸収している最中だ。溝江が「乃愛はいいところしかなく、言ったことがすぐできる」と評していることを思えば、この先の飛躍にしたい。

「(石井)美樹さんと組むことで学ぶことしかない。試合に勝つことが自分の成長につながることに気づかされた」と、オリンピアンとのペアで多くのことを吸収した「まゆ」。

「乃愛は光るものを持っている。スピード、ディフェンス力は日本人離れしている」と、パートナーがその素質を高く評価する「のあ」。

 新たなステージへと踏み出したふたりの動向から、今後も目が離せない。

編集部おすすめ