セレクトセール2026特集(1)

 日本最大の競走馬のセリ市『セレクトセール2026』(主催:日本競走馬協会)が7月13日、14日の2日間にわたって苫小牧のノーザンホースパークで行なわれた。

 1日目の1歳馬セッションでは262頭が上場され、250頭が落札された。

総売上は今年も昨年を上回って、またも歴代最高売上を更新。変わらぬ盛況ぶりを見せた。購買者のなかにはお馴染みの馬主らのほか、新たな馬主や海外バイヤーの名前も見られ、同セールへの期待の大きさ、支持の高さがあらためて感じられた。

 この日の最高落札額となったのは、ヤングスターの2025。父は現役時、GⅠ6連勝を飾って世界ランキング1位にも輝いたイクイノックスで、4億2000万円(税別、以下同)で取引された。

 母のヤングスターは、現役時代にオーストラリアのGⅠクイーンズランドオークス(芝2200m)を制覇。その産駒には、重賞2勝を挙げて昨年のGⅠ菊花賞(京都・芝3000m)で2着に入ったエリキング(牡4歳/父キズナ)がいる。

 同馬を筆頭に、実に45頭が"億超え"で取引された1歳馬セッション。そうした高額馬が落札されると会場内はざわざわとどよめき、同時に「以前なら、よくても7~8000万円で買えた馬が、今や億(の資金)がないと手を挙げることさえできない」という声があちらこちらから聞こえてきた。

 とはいえ、購買価格がそのままレースの結果、競走馬の戦績につながるわけではない。それこそ、競走馬の取引の難しさだ。

 その取引において重要な役割を果たすのが、セリ市などで複数の馬主をサポートするアドバイザーたちだ。

彼らはこの日も馬主たちのサポートに奔走していたが、その傍らで、事前の下見に加えて会場のパドックでほとんどの馬をチェック。各馬の善し悪しを入念に吟味していた。

 そんな彼らに今回、"億超え"の高額馬のなかでも、特に期待できる馬はどれか、話を聞いてみた。プロの目から見ても、「さすが、どの高額馬も平均点を超えている感がありますし、血統も加味すれば(落札価格にも)"なるほど"とうなずけます」というほどの期待馬ばかりだが、競走馬を知り尽くしたアドバイザーたちが本当にほれ込んだのは、はたしてどの馬だろうか。ここでは、とりわけ評価の高かった4頭を紹介する。

◆パンデリングの2025(牡/父エフフォーリア)=落札額2億円
 2021年の年度代表馬エフフォーリアの産駒は現2歳が初年度産駒となるが、セレクトセール前日までに、すでに6頭が中央競馬で勝ち上がり。輝かしい種牡馬デビューを飾っており、この日も5頭が"億超え"で取引された。なかでも、多くのアドバイザーたちから高く評価されていたのがこの馬だ。

【セレクトセール2026】1歳馬セッション 「億超え」の高額...の画像はこちら >>
「(競走馬を吟味するうえで)この時期に我々が重きを置いている点は、馬体もそうですが、馬の前進気勢と推進力です。それが、この馬はとにかくすばらしかった。実際、勝ち上がっているエフフォーリア産駒は、レースでその特長がよく出ていましたし、セールに登場した馬たちはセリでもシャキシャキと歩いていて、そのイメージが強く残っています。

 この馬はまた、現時点での筋肉量、それぞれのパーツもいいです。

大物感が漂っていました」(アドバイザーⅠ)

「上場番号7番と早い段階での登場でしたが、一日のセールを通して最後まで印象に残る馬でした。カタログ上では叔母にアーモンドアイがいることが目を引きますが、それを差し引いても、際立った好馬体で、素軽さと力強さも魅力。いきなり2億円の値がついたことにも納得です」(アドバイザーⅡ)

◆トロワゼトワルの2025(牡/父コントレイル)=落札額2億2000万円
 現3歳世代が初年度産駒となる2020年の三冠馬コントレイル。2歳戦の序盤は期待のわりにやや苦戦しているように見えたが、GⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)を前にして、前哨戦の重賞で同産駒が躍動。徐々に力を発揮し出して、同馬にも熱い視線が注がれていた。

「コントレイル産駒は1歳馬でも比較的ゆったりと歩いて、前進気勢が強くない馬が多い気がします。ですが、この馬はほかのコントレイル産駒と比べて前進気勢を感じます。母のトロワゼトワルがガンガン行くタイプで、2019年、2020年とGⅢ京成杯オータムハンデ(中山・芝1600m)では強気の競馬で連勝を飾っています。うち1回はレコード勝ち。そういった前向きな姿勢を受け継いでいるのかもしれません。

 コントレイル産駒のよさである馬体のバランスも損なっておらず、いい意味で同産駒の足りない部分が補われている雰囲気。競馬に行って、どんな走りを見せてくれるのか。

今からとても楽しみです」(アドバイザーⅠ)

◆レーヌドブリエの2025(牡/父ルーラーシップ)=落札額1億4000万円
 中・長距離戦線での活躍が目立つルーラーシップ産駒だが、GⅠマイルCS(京都・芝1600m)を制しているソウルラッシュなどマイル路線で結果を残している馬も多く、実は距離レンジの広い種牡馬と言える。根強い人気があり、同馬への期待も相当なものだ。

「血統だけ見ると、祖母がメジロドーベルで少し"重い"印象を受けますが、実際に馬を見てみると、まったくその逆。動きの素軽さ、前向きさは『今の日本競馬で結果を出しやすいタイプだな』と思いました。そのうえで、血統どおりの底支えがあるようなら、かなりの大物になるかもしれません。

 キタサンブラックとイクイノックスという父と子、エピファネイアとエフフォーリアという父と子、それぞれの産駒に人気が集まるなか、『この馬は盲点になるかな』と思いましたが、やはり見ている人は見ていますね。同じことを考えて、『狙っていたのに、(落札額が)あんなにいくとは......』という声も聞きました」(アドバイザーⅢ)

◆ラッドルチェンドの2025(牝/父シュネルマイスター)=落札額1億500万円
 1歳馬が初年度産駒となるシュネルマイスター。GⅠはNHKマイルC(東京・芝1600m)の1勝だけだが、引退するまでマイル戦線でトップ争いを展開し、産駒の活躍が見込まれている。同馬は、半姉に重賞3勝のテルツェット(父ディープインパクト)がおり、叔父にリアルスティール、叔母にラヴズオンリーユーがいる良血だ。

「シュネルマイスター産駒は、総じてレベルが高い印象です。その父キングマンの産駒らしさがあって、筋肉がよく、それでいて硬い感じはなく、均整が取れている馬が多いです。ほかの産駒も平均点が高い馬ばかりです。

 そのなかでも、この馬は好印象でした。血統はもちろん、日本向きっぽいバネがあるのがいいですね。牝馬ながら、億の値がついたことにも合点がいきます」(アドバイザーⅠ)

編集部おすすめ