18日放送のTBS系「音楽の日」(後2時)で16年連続16回目の司会を務める同局の安住紳一郎アナウンサー(52)は、今年で入社30年目を迎えた。「本当にあっという間で感覚的には4、5年」と振り返るが、現場では「教頭先生的な立場で、範を垂れる」存在に。

2023年に同局現役アナウンサーで初の役員待遇となり、放送界を背負う覚悟のある、熱い思いを語った。(中西 珠友)

 バラエティー番組「さんまのSUPERからくりTV」「ぴったんこカン・カン」などで人気を博し、現在は「THE TIME,」(月~金曜・前5時20分)で総合司会を務めるなど、TBSの看板を背負う安住アナ。現場で最年長になることも増え、自身だけでなく、会社、後輩の未来も考える立場になった。

 「スタッフの環境を整えたり、教頭先生的な立場で、指導まではいかないけど、範を垂れる。細かく言うとゴミの捨て方とか、あいさつの仕方とか、『机は整理しなさい』とか、『環境が人間を決めるから、細部までこだわってきちんとやりなさい』とか。今、半分以上はその仕事だと思う」

 明大在学中は教員を目指し、中高の国語科の教員免許を取得したが「団塊ジュニア(世代)兼(就職)氷河期で就職先がなかった。学校の先生の募集も(一般的に)都立は350人出ていたけど、僕の時は2人だった。超狭き門で、現実的に学校の先生になれる人がいなかった」。地元・北海道で教員を続ける姉も正規採用までに15年かかった。安住アナは民間企業への就職に切り替え、マスコミ業界を志望。晴れて1997年、TBSに入社した。教員への未練はなく「学校の先生になっていたら、何か問題を起こして、もうクビになっていたかもしれない」とジョークを飛ばす。

 始まりはスポーツ実況だった。当時を「スポーツアナウンサーのキャリアを積むつもりでやっていたと思います」と懐かしむが、入社2年目で情報番組「ジャスト」のメインパーソナリティーに抜てき。アナウンサーとしての実力を磨くことになる。

 総合司会は元TBSの三雲孝江アナウンサー(72)。「自分の血肉になっていると感じたし、(同番組で)アナウンサーらしくなってきたなと、今でも感謝してます。(三雲アナの)弟子まではいかないけど、三雲門下生として認知されているはずです」と自信を持って口にする。

 現場では三雲アナの姿を間近で見て、学んだ。中でも大きかったのは「放送では結論までは言わないけど、お互いどういうふうに捉えているのかを擦り合わせて、一つのニュースの素材と向き合うことはすごい勉強になった。自分の中で答えを持って(情報を)伝えたり(原稿を)読んだりしないと、あやふやなものが出ると言われていた」。後輩を導く立場になった今も実践している。

 芸能界の共演者からも多くのヒントを得てきた。「『はなまるマーケット』でお世話になった薬丸(裕英)さんには『とにかく朝の番組は明るく顔を出すことが仕事だから』ってことをよく言われました。

『ザ・ベストテン』に6年くらい続けて呼んでもらって、黒柳(徹子)さんの仕事の進め方のマネをしました」と感謝する。

 以前、会社にアナウンサーの全寮制を提案したこともある。「礼儀作法とか取材のノウハウとかが身に付くから。アナウンサーは、半分伝統芸能みたいなところがある。アナウンサーらしさ、アナウンサー的な読み方を視聴者の人が求めるから」。全寮制は実現しなかったが、三雲アナと安住アナのような師弟関係は必要だと思っている。

 入社当初に比べると、アナウンサー間で競争する風潮は減ってきたという。最近は他業種への転職やフリー転身を選ぶ人も多い。安住アナ自身も「もちろんフリーになりたい、違う仕事をしたいって思ったこともある」と言うが、現在は「入ったら長く活躍できるようにフォローすることが中心になっているかもしれないですね。(後輩に)長く快適に活躍してほしいです」と願う。後輩の悩み相談に応じることもあるという。

 今年で入社30年目。

同期のアナウンサーは3人いたが、今も局アナを続けているのは安住アナただ一人だ。「新卒で入って、そのまま同じ仕事ができることはすごく嬉しいし、誇り、ラッキーだなと思う。芸能界とかスポーツ界とか最前線の皆さんへの取材は、すごく刺激のある仕事」と振り返った。「極端ではなく30年、本当にあっという間で、感覚的には4、5年という感じですね」と笑う。

 来月で53歳になる。「50(歳)になった時に『あと10年、どうやるか』ということで朝の番組を選択したんですけど、そんなことを言っていたら家庭ができちゃったりしたもんだから」。もともとは60歳を一区切りに考えていたが、24年元日に結婚し、25年末には第1子が誕生。社内の定年制度も65歳に延び「もう一度、頭から考え直さなきゃいけなくなっちゃって。55(歳)くらいになってしっかり考えようかな」と明かす。

 今後の目標を聞くと、真剣なまなざしで「テレビ、ラジオが斜陽の時期に入ってきている中で、現場を預かっている責任の大きさと、若い人に未来の面白さを提示できるかが今の仕事の大きなテーマ。後輩とか若い人たちに伝えられることは全部伝えて辞めようと思っているんです。若い子たちにきちんと自分がもらったものを渡せるかどうかが課題ですね」。

“TBSの教頭先生”はこれからも後輩のために邁進(まいしん)していく。

 〇…司会を務める「音楽の日」について安住アナは「毎年テーマを設けて工夫を凝らして、今回はダンス対決、コーラス対決、中継企画などがある。身内だけど、TBSの音声録音、中継技術が非常に高いので、ぜひ注目してほしい」とPR。今年のテーマは「こえる。きこえる。」。東日本大震災の復興を目的として始まった番組で、15年ぶりにEXILEが宮城・南三陸町で歌唱する。

 ◆安住 紳一郎(あずみ・しんいちろう)1973年8月3日、北海道・帯広市出身。52歳。道立帯広柏葉高、明大文学部卒。97年にTBSに入社。同期は伊藤隆太元アナ(現・編成考査局)、小倉弘子(現・フリー)。現在は「THE TIME,」、「情報7daysニュースキャスター」などを担当。

ラジオ「安住紳一郎の日曜天国」で19年に橋田賞を受賞。日本しょうゆ大使。

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