この記事をまとめると
■シビック タイプRの事故が注目を集めた



■市場で価値があっても保険には加味されないことが多い



■しかし残価設定ローンを利用して購入すると事情が異なる



450万円で買ったクルマにおりた保険金は180万円!

2022年9月に中古車として販売し、納車予定だったホンダ・シビック タイプR(FD2型/タイプRで3代目)が某所で交通事故に遭った際、車両販売価格450万円に対し、相手方の保険会社が提示した、全損扱いでの保険金提示額が180万円であったことが話題となった。



タイプRのように、新車時以上に中古車での人気が高まり、ある意味プレミアムプライスのような中古車価格となるモデルがある。しかし、中古車は古物、つまりお宝鑑定のようなテレビ番組で鑑定される、著名人が作成した掛け軸や絵画、壺とある意味同じで、そのものに高い価値観を抱く人がいて初めて高値となっていくのである。

一般的な中古車も古物扱いとなり、古物商の資格がないと扱えない。



中古でプレミア価格確実の「シビックタイプR」のような新車を「...の画像はこちら >>



ただ、タイプRのようなクルマ以外には、新車時以上に高い価値を感じる人はおらず、単に減価償却と内外装の状況、走行距離などで現状価格として値踏みするのが大原則。そしてボディカラーなどで同年式同モデルでも販売価格で多少差がつくことになる。



報道でもあったが、前述したタイプRのケースでは、市場人気はほぼ加味されず、あくまで時価として判断されたので、販売価格と大きな開きが出てしまったようである。



タイプRのような、将来価値が上がりそうなポテンシャルを持つクルマを買うときに、現金払いでは購入希望者が殺到し契約前段階でいろいろなことがあったとしても、契約実務としては一般的な新車とは変わらない。トヨタ・ランドクルーザー300では納車直後の転売を行わない旨の念書のようなものを交わしているとされていたが、それも法的拘束力を持つものではない。



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ただし、残価設定ローンを利用して購入すると少々事情は変わってくる。当然ながら残価率は高いものとなるのである。ウエブサイト上での、セルフ見積りで最新型のシビックタイプRを試算すると3年後で約60%、5年後で約45%とホンダ車のなかではトップクラスの残価率となっていた。



手放すタイミングの判断が重要となる

残価率が高いということは、月々支払う額は少なく抑えることができるが、支払いを続けても、3年払いでは約300万円の残債は支払最終月まで残る。現行シビックタイプRのようなモデルを購入すれば、峠を攻めたいだろうし、サーキットで走る機会もあるかもしれない。つまり、ほかのモデルより事故で損傷してしまうリスクも高い。

車両保険にしっかり入っていないと、フルローンで全損事故などを起こしてしまえば、目も当てられない状況になってしまう。残価設定ローンを利用する時には、余裕のあるプランを組んでもらいたい。



ただ傾向としては、最近はこの手のモデルは年配の人が購入するケースが多く、それこそ“箱にしまって”といった表現が似合うほど、乗って楽しむより見て楽しむという人が多いとも聞いている。



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設定される残価についてはある程度中古車相場を予想し意識したものとなるが、実際に手放す時にはリアルな相場動向というものが反映され、設定残価額以上の価値判断になることもある。タイプRのようなモデルを手放す時には、完済を待たずに頃合い(査定額や買い取り額で残債を相殺できるタイミングなど)を見て、買取専業店やタイプRのようなモデルを専門的に扱っている中古車店へまず持ち込んで値踏みしてもらうことをおすすめする。



ホンダ系ディーラーならば下取り査定でも現行シビックタイプRということを十分意識した値付けとなるだろう。

またトヨタ系ディーラーでは、トヨタ系のオークション規模が大きいこともあり、ホンダ並みかそれ以上の価値判断が期待できるので、トヨタ車への乗り換え時にはディーラーでの下取りも十分期待できる。そのほかのメーカー系ディーラーではあまり期待できないのが実状となる。



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タイプRほど特殊なモデルでは、残価設定ローンを組んだ場合は完済を待たず、さらにディーラーに下取りしてもらうよりは、残債との相殺などを意識して時期を判断すれば個人で売却するほうがおすすめといえるだろう(残価設定ローンでは、設定残価率はやや抑えめとなっているので、完済を待たずに下取り査定で残債を相殺するという方法を販売現場で勧められることが、タイプRのようなモデル以外でも多い)。