この記事をまとめると
■安全・運転支援技術の向上などもあって、近年の交通事故死者数は減少傾向にある



■現在、安全運転支援機能にはどのようなものがあるかを紹介する



■自動運転もすでにレベル3は一部車種で実用化されていて、2023年4月1日からはレベル4が認められる



ぶつからないクルマは当たり前になりつつある

交通事故による死者数は6年連続で減少傾向にありますが、いまだに年間2600人以上の命が失われている状況です(事故発生から24時間以内)。とくに近年は、車両の衝突安全性能があがったこともあり、クルマに乗車中の交通事故で亡くなる方よりも、歩行中や自転車運転中に亡くなる方のほうが多い傾向が見られます。



歩行者を避ける! 標識を読む! 手放し運転も当たり前! 「イ...の画像はこちら >>



双方の交通ルール厳守の徹底が大前提ですが、ドライバーのミスをなくし、歩行者や自転車に危害を加えないクルマにしていくために、さまざまな安全・運転支援技術が充実してきたのが最新のクルマたち。

今回は、どんな種類があってどこまで進んでいるのか、ご紹介したいと思います。



まず、基本的なところですが、安全装備は大きくふたつの領域に分けて考えられており、ひとつ目は適正な運転ができるような運転環境を整え、事故を未然に防ぐためにドライバーをサポートする「予防安全」。ふたつ目が、それでも万が一、事故が起こってしまったときに、被害を最小限にとどめるための「衝突安全」です。ここでは予防安全の領域の装備を見ていきます。



一般的に「自動ブレーキ」と呼ばれることが多く、2021年11月より国産の新型車に搭載が義務付けられいるのが、衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)。フロントガラスなどに搭載されたカメラやセンサーなどを使って、進行方向のクルマや歩行者、自転車、障害物を検知して、速度などから衝突の危険性があると判断すると、ドライバーにブレーキ操作を促したり、最後には自動的にブレーキをかけて衝突を回避、または被害を軽減するという安全装備です。



歩行者を避ける! 標識を読む! 手放し運転も当たり前! 「イマドキ車」の装備を改めて確認したらスゴイことになっていた
衝突被害軽減ブレーキのイメージ



現時点では軽自動車でも、昼間だけでなく夜間の歩行者を検知することができ、登録車になると、夜間の自転車や二輪車などまで検知する高性能なものが搭載されるようになっています。おおむね、速度が20~40km/h以下程度で作動するものが多いです。



また、衝突の可能性を検知した場合に、自車線内に回避するための十分なスペースがあれば、システムが弱いブレーキをかけながらハンドル操作を行い、車線内での衝突回避を支援してくれる、緊急時操舵支援という装備も登場しています。



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緊急時操舵支援のイメージ



そして、一般道の運転で多いのは、よそ見などで操作が遅れたり、判断を誤ったり、誤操作をしてしまうことなどによるうっかりミス。たとえば、前走車が突然急ブレーキを踏んだり急な割り込みをされたときにブレーキが間に合わない、というようなとき。また、カーブが思ったよりもキツく、速度を落としきれていない、なんてときにも、アクセルオフに応じて減速を支援してくれるプロアクティブドライビングアシストという機能があれば安心。



運転席やステアリングがないクルマの登場も目前

最新版ではステアリング操作支援も加わりました。これは、自動車専用道路で有効なACC(アダプティブクルーズコントロール)という運転支援装備と混同するかもしれませんが、ACCは車線の中央を走行するようにステアリング支援を行う設定となるものが多く、一般道では路肩駐車などの障害物を避ける際のハンドル操作なども想定して、あくまでドライバーの操舵をさりげなくアシストする機能となっています。



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ステアリング操作支援のイメージ



事故発生場所としてもっとも多くなっている交差点では、左右の安全確認がしにくいときなどに、左右から接近する車両を検知して、注意を促したり、カメラを活用して死角になるところを車内のディスプレイに写したりすることで、出会い頭の事故防止をサポートする機能もあります。



また、制限速度や一時停止はもちろん、一方通行や進入禁止などの標識を見逃すことによる事故を防ぐため、標識認識機能も多くのクルマに装備されています。



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標識認識機能のイメージ



駐車場などで多い事故として、ペダルの踏み間違いによる急加速や衝突が多く発生していますが、これを防ぐのに有効なのが、誤発進抑制機能です。前方に壁などがあるのにアクセルペダルを踏んだときに、加速しないように抑制してくれる機能で、前進だけでなく後退時に作動するものも増えています。障害物がなくても、ブレーキと間違ってアクセルを踏んだと判断すると、急加速を抑制してくれる急アクセル抑制機能も登場しています。



そして2020年4月から、新型車にはオートライトの搭載が義務付けられましたが、それをさらに進化させ、対向車や歩行者など周辺の状況を認識してハイビームとロービームを自動で切り替えたり、夜間の視認性をアップして事故防止につなげるアダプティブハイビームシステムも登場。歩行者や自転車、重要な標識を見落とすことも少なくなるので安心です。



歩行者を避ける! 標識を読む! 手放し運転も当たり前! 「イマドキ車」の装備を改めて確認したらスゴイことになっていた
アダプティブハイビームシステムのイメージ



さて、高速道路など自動車専用道路における予防安全装備については、さらに高度な技術が続々と登場しています。すでに多くのクルマに搭載されているのが、レーンキープアシストといった車線維持支援機能や、車線変更の際に後方や死角にクルマがいることを警告するブラインドスポットインフォメーション、安全でスムースな車線変更を支援するレーンチェンジアシストといった機能です。



一部車種では、一定の条件を満たした場合に限り、ハンドルから手も足も離したまま走行したり、車線変更が行えるハンズオフ機能が使えるところまで進化しています。



また、限定100台の販売ではありましたが、一定の条件下において手足だけでなく視線も自由になる「アイズオフ」が実用化。これは自動運転レベル3に相当する機能で、いつでも運転に戻れる状態であること、という条件付きではあるものの、ドライバーが車内で動画などを楽しみながら走行することさえ可能となっています。



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渋滞時のハンズオフ走行シーン



2023年4月1日からは、一定の条件下における自動運転のレベル4が認められる新制度がスタートする予定。ついに、運転席やステアリングがないクルマや、無人のクルマが走行する時代がやってきます。



事故のないクルマ社会の実現に向けて、どうしてもうっかりミスを犯す人間を技術でサポートするのか、完璧な技術に運転を任せるのか。安全運転の考え方もいま、大きな変革期に突入しているといえそうです。

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