この記事をまとめると
■街路樹は剪定するなどしっかり管理されている■定期的な剪定を実施する理由には法的根拠がある
■道路法第30条及び道路構造令第12条の内容を解説
道路上にはみ出した草木の剪定は土地所有者の役目
桜並木の道路をドライブして春を感じたという人の多い季節だろうが、思えば街路樹というのは定期的に剪定するなどしっかり管理されている。自治体などの道路管理者が街路樹を管理するというのは生活環境を守ることでもあるが、定期的な剪定を実施する理由には法的根拠がある。
道路脇の街路樹を管理すべき根拠となっているのは、道路法第30条及び道路構造令第12条となるだろう。
電柱や信号機は法律に基づいて設計・設置すればいいが、街路樹については枝が伸びてしまうため、法律で定められた「何も置いてはいけない空間」を維持するために定期的な剪定が必要となるわけだ。せっかくの見事な枝ぶりを無残に切ってしまったと嘆く声もあるが、よく見れば法令で定められた条件に合うようカットしているのがわかるだろう。
そして街路樹を自治体などが剪定しているのは、上記の法令において草木の管理については土地所有者が剪定しなくてはいけないとされているからだ。多くの街路樹は歩道に植わっているため、歩道の所有者≒自治体となり、草木の管理をしなくてはいけないということになる。
令和5年4月の民法改正により状況は変わるか
草木の管理は所有者が行うという原則は、私有地においても同様だ。個人宅の草木が道路に張り出し、上記の「何も置いてはいけない空間」に枝が伸びているとすれば、土地所有者が剪定するなどの対応をしなくてはならないというのが基本だ。
なぜなら、他人の土地から伸びてきた枝が邪魔であったとしても、被害を受けているほうは勝手に切ることができないという風に民法233条にて定められているからだ。仮に道路に枝などが伸びて、円滑な交通を妨げているとしても、土地所有者にお願いして剪定してもらわなければいけないというのが基本だった。緊急的な措置として道路管理者(自治体)が対応することも不可能ではないが、それは限定された状況といえる。
ただし令和5年4月に民法233条は改正される。簡単にいえば、枝などが越境して伸びているときに、越境された側が枝を切除することが可能となった。
こうした民法改正には、いわゆる空き家問題が関係しているだろう。相続したものの誰も住んでいない家、放置されている空き家が増えている。それにより、庭の樹木が道路に張り出してしまい交通を阻害するケースも多くなっていくことは明らかだ。そうしたケースで道路管理者が枝を落とすなどの対応をしやすくすることが改正の狙いといえるだろう。
そうはいっても、基本的に草木の管理を行うのは土地所有者の役目であり、仮に張り出した草木によって事故が起きた場合は、土地所有者が責任を問われることもある。法改正により、自治体が勝手に剪定できるようになるので、管理を放棄してもいいというわけではないので、思い違いをしないよう注意したい。

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