この記事をまとめると
■営業車や社有車を個人的な用事で使うのは違法行為なのかを考えた■基本的に社有車を個人使用したということが必罰となるような法律は存在しない
■ただし、私用で使う場合は就業規則や任意保険の補償範囲などの確認をしておきたい
社有車を個人使用しても法律で罰せられることはない
4月は生活が大きく変わる時期です。新社会人になって「営業に配属された!」という方もいるでしょうか。はたまた久しぶりに営業部に異動したというベテランもいれば、転職して営業職に就いたという人もいるかもしれません。
いずれにしても会社や業務によっては営業職には営業車が必須ということが多いようです。場合によっては、ほぼ専用に営業車が割り当てられることもあって、手洗い洗車をしてみたりと、マイカー気分で営業車を大事にしているという話も耳にすることがあります。
SNSなどでは営業車でドライブに行ったというエピソードを書いてしまう人もいて、そこに対して「営業車の私的使用は違法だ」というコメントがついたりすることもあります。はたして営業車や社有車を個人的な用事で使うのは違法行為なのでしょうか。
基本的に、社有車を個人使用したということが必罰となるような法律は見当たりません。コロナ禍によって広まったリモートワークの影響から、営業車による直行直帰(自宅から営業先企業へ直接向かい、自社に寄らずに帰宅すること)を認める会社も増えてきているといいます。
こうした場合、社有車で通勤することを認めていることになりますし、営業中にコンビニによってドリンクを買って車内で休憩を取ったり、ファミレスに立ち寄って食事を摂ったりすることも社会通念上は認めているといえるでしょう。

営業車で仕事以外の場所に出かけたからといって、その事実だけでドライバーの違法行為とは断言できません。当然、休日にプライベートな用途で営業車を使っていたとしても、警察が取り締まるなんてことはあり得ません。
罰則はなくてもリスクがあることは肝に銘じよう
日本ではあまり馴染みのない概念ですが、ドイツ企業では「カンパニーカー」という制度が用意されていることは珍しくありません。主にマネージメント職に対して、福利厚生の一環として乗用車を貸与するというもので、通勤に使うのはもちろんですが、カンパニーカー制度において与えられたクルマについては私的に使うのも問題ありません。

日本では、ドイツのカンパニーカー制度ほど私的な利用を全面的に認めていることは少ないようですが、ゼロというわけではありません。
ただし、会社が黙認しているときに気をつけたいのは任意保険などの状況です。通勤であれば多少の寄り道であっても業務中と認められ、事故を起こした際に保険で対応できることもあるでしょうが、休日に営業車を私的に使用しているときには保険の適用でもめる可能性があるからです。

もし休日に営業車に乗るようなことがあるならば、保険などの条件がどうなっているのか、確認しておくことが必要でしょう。こうした問題を表立って話題にすることで、黙認されていた私的利用が禁止されるかもしれませんが、実質的に任意保険に入っていない状態のクルマを運転しているリスクに比べれば、ずっと小さい問題です。
なお、会社によっては就業規則で営業車などの私的利用を禁じているケースもあります。とくに営業車の側面などに企業名やブランド名を掲げている場合には、私的な使用は企業イメージを下げてしまうこともあるので、当然といえるでしょう。

そうした規則があることを理解したうえで、それでも営業車を私的に使っていることは、ある種の犯罪状態にあるといえます。仮に燃料代を負担したとしても、走行することによるクルマの傷みは進みます。社有車のメンテナンスコストを会社が負担していることを考えると、会社が訴えれば業務上横領となり得るからです。
まとめると、社有車や営業車の私的利用が絶対的に禁止とはいえません。
会社が社員の私的利用を認めているのであれば、休日のドライブに使うことは問題ありません。