この記事をまとめると
■かつて台湾のタクシーはトヨタ・ウィッシュが多かった■その後、トヨタ・シエンタが増えた印象がある
■いまではさまざまなメーカーのクルマが走っている
台湾の最新タクシー事情
コロナ禍となってから初めて、台湾の台北市を訪れた。コロナ禍前にかなり久しぶりに台北を訪れた時には、タクシー車両がほぼトヨタ・ウィッシュだったことに驚かされた。台湾ではかつてウィッシュがKD(ノックダウン)生産されていたこともあり、一般乗用車としてもウィッシュの人気が高く、「世界で一番ウィッシュが愛されてたくさん走る地域」と筆者は台湾のことを呼んでいる。
その台湾でもウィッシュのKD生産が2016年に終了しており、「ポスト・ウィッシュタクシー」はどうなるのかと思っていたら、コロナ禍直前2019年に台北を訪れた時には急速にトヨタ・シエンタ(先代)のタクシーが走り出していた。「このままシエンタになるのかな」と思っている内に新型コロナウイルスの感染拡大となり、今回3年ぶりの台北訪問となった。
台北近郊の桃園市にある桃園国際空港に降り立ちタクシー乗り場へ行くと、シエンタではなくトヨタRAV4タクシーばかりが並んでいた。ニューヨーク市を走るイエローキャブもトヨタ・カムリもしくはRAV4のHEV(ハイブリッド車)タクシーが目立つ。割と北米市場の様子が反映されているように見える台湾なので、その流れなのかなと思った。RAV4タクシーばかりなのに、筆者はカムリタクシーで台北市に向かい深夜にホテルに到着した。
翌日、さっそく台北市内でのクルマ定点観測ポイントとなっている、台北駅近くの歩道橋から、歩道橋下の大通りを走るクルマをチェックすると、なんと台北市内で目立っていたタクシー車両はカローラ・アルティス(カローラ・セダン)もしくは、カローラ・クロスとなっており、シエンタはほとんど走っていなかった。

日本では改良実施後まで新規受注停止が続くのではないかといわれる状況となっているのがカローラ・クロス。台北市ではマイカーとしてもカローラ・クロスは大ヒットしている様子なのに、タクシー車両にまでまわすほど生産に余裕があるように見える。この台湾と日本の違いはなんなのか、謎が深まるばかりであった。

今後主流となるのはカローラ・アルティスか
ただし、カローラ・アルティスやカローラ・クロスはあくまで多いというだけで、相変わらずウィッシュタクシーも現役でバリバリ走っているし、日系だけでなく欧米や韓国のメーカーなど、さまざまな車両が走っている。このほか見かけたタクシーの一例をざっとあげると、レクサスES、レクサスCT、トヨタ・カローラスポーツ、日産セントラ、ホンダ・オデッセイ、三菱アウトランダー(先代)、三菱グランド・ランサー、三菱コルト・プラス、ホンダ・オデッセイ、ヒョンデ・スターリア(大型ミニバン)、テスラ・モデル3、VW(フォルクスワーゲン)ゴルフ8、フォード・モンデオなどがあった。

なかでもグランド・ランサーやコルト・プラスは、我々が日本で見ていたランサーやコルト・プラスとは異なり、結構オリジナリティが加味された「台湾仕様」ともいえるものとなっていた。

帰国の際ホテルに空港までのタクシーを頼むと、正規タクシーではなくプライベートタクシー(メーターを持たないチャータータクシーのようなもの)を頼んでくれ、それがかつてタクシーだったシエンタであった。

早朝だったので高速道路を爆走して空港へ向かってくれたのだが、先代シエンタなのでTNGAプラットフォームではないこともあるのか、床から伝わる振動も大きく、エンジンノイズもかなり気になった。おそらくそれよりネックとなったのはスライドドアだったような気がする。
タクシー車両でも電動スライドドアを採用しているのだが、ほかのヒンジドアタイプの車両は日本ではないので自動ドアではなくお客自らが開けることになる。日本では東京都内ではトヨタJPNタクシーが当たり前のように走っているが、筆者も乗り降りの際の開閉にヒンジドアタイプの自動ドアより時間がかかるのは気になってしまう。

今後主流となるのは、カローラ・アルティスあたりが妥当なようにも思えるが、3列目シートをなくし広大なラゲッジルームを持つウィッシュタクシーに慣れていることを考えるとそうともいえないようにも感じる。遅くとも1年後にはまた台北を訪れたいと思っているので、その時タクシー車両がどうなっているのか、いまから楽しみである。