この記事をまとめると
■現在の新車購入の支払い事情について解説■ローンやリースを利用して新車を乗るのがスタンダード
■いまの時代に現金一括払いなどは難しいようだ
残価設定ローンを利用する人が増えている
日本でも新車の買い方として現金一括払いだけでなく、残価設定ローンの利用がかなり増え、最近ではトヨタの「KINTO」やホンダの「楽まる」、スズキの「定額マイカー7」など個人向けカーリースプランも充実してきている。KINTOでは全般的に納期遅延傾向となっている人気車をディーラーで購入するより、KINTOを利用したほうが早く手にすることができることも多く、それを現状ではウリのひとつにしている。
とくに売れ筋の2リッターHEV(ハイブリッド車)で納車まで2年待ちと販売現場で案内している新型プリウスでは、トヨタ系正規ディーラーでも「KINTOならすぐ乗れますよ」とよく案内される。
「リース型ローン」として誕生した残価設定ローンだが、最近ではフルローン(頭金なし)で支払いプランを組むひとも珍しくないとのことなので、限りなくリースに近づいている。さらに何台も残価設定ローンを使って新車を乗り継いでいるような、残価設定ローンを使い慣れた人が個人向けカーリースに魅力を感じることも多いかもしれない。
KINTOはそれでも既存のカーリースに近いものとなっており、任意保険料もリース料金に含まれてしまうので、それまで契約していて割引も進んでいる自分の任意保険を使うことはできないが、ホンダでは任意保険は原則リース料金には含まれず、スズキでは割引率を継承できるとしている。ホンダではさらに契約途中での乗り換えもできると説明してきた。ローンでは下取り査定額にて残債を相殺できれば支払い途中でも乗り換えはできるが、楽まるでも下取り査定額で中途解約金の精算が可能だという説明を受けた。
いまどきのディーラーローン、とくに残価設定ローンでは支払途中で下取り査定額にて残債を相殺して乗り換えるのはほぼ当たり前となっている。それでも残債が処理できなかった場合は、処理できなかった残債を乗り換える新車のローン元金に加算して支払う「借り換え」のようなものも珍しくなくなってきている。さらには、他メーカー車でローン支払い途中でも下取りに応じることも珍しくなくなっている。そもそも顧客の囲い込みを目的とした残価設定ローンも、いまでは流動性が高く、当初の目的を十分果たしているとは言えない。その意味ではカーリースはそこまで流動性が現状では少なく、囲い込みを期待して積極導入しているようにも見える。
いまだクルマがぜいたく品扱いされているという問題点も
継続してリースで乗ってもらうということもあまり考えていないようで、リース契約満了後はメンテナンスを担当するディーラーで新車を買ってもらうというのが念頭にあるようだ。
また日本独自の社会背景もあるようだ。新車の価格は安全運転支援デバイスの充実などもあり、目に見えて高まってきている印象が強まっている。スーパーハイト系カスタムグレードの軽自動車でも、支払総額で250万円ぐらいになるのも珍しくない。失われた30年ともいわれているが、賃金が上がらないなか、販売現場では「新車を現金一括払いで購入するのはかなり無理がある時代になっている」という声も多く聞く。もちろん20年スパンぐらいの長期間で乗り続けるのならば選択肢として現金一括払いもまだまだあるだろうが、短期間で乗り換えるケースではローンでは、月々の支払額を生活費の一部と捉えて新車を保有し、「月々の支払いが変わらないなら」と、新車へ乗り換えるケースも目立っている。そのような傾向からもリースがだいぶ馴染みやすくなってきているのである。それだけ、さまざまな仕掛けをしないと新車需要がなかなか回らない世の中になってきているのである。
先日タイを訪れると、「タイは新車価格が日本に比べても高めだ」という話を聞いた。タイだけでなく、東南アジアではこの傾向は同じのようである。
日本国内ではクルマがないと生活がままならない地域があるが、政府はいまでもクルマをぜいたく品扱いしている。確かに高度成長期には「所得に余裕がでてきたのでマイカーを」という需要があったが、いまでは「クルマがないと生活できない」という切実な事情から所有する人も多いのに、30年間賃金が上がらないなか、いまだにぜいたく品扱いされている。つまり、いまどきのローンやリースが注目される新車販売の現状は、単にライフスタイルの変化というものではなく、現金で新車が買いにくいことも大きく影響しているように見える。単に給料が上がらないというだけでなく、生活防衛の意味からまとまった現金は手元に置いておきたいといった理由でローンを利用する人もいるようだ。とにかくいまの日本は社会不安要素が多すぎるのは間違いないようだ。
そもそも新車販売支援の目的でメーカー系信販会社の商品がメインで、新車を担保にすることで与信が通りやすいとされた、ディーラーローンだが、いまでは与信が通らないケースも目立ってきているとのこと。社会不安の増大などにより、新車需要の刺激策として残価設定ローンや個人向けカーリースが十分効果を発揮できない時代がやってこようとしているのかもしれない。日本の失われた30年というものは、新車販売現場にも重くのしかかっているように見える。

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