この記事をまとめると
■いま軽自動車の販売が好調だ



■なかでもスーパーハイトワゴンが売れ筋



■乗ると「軽でいいや」ではなく「これが欲しい」となる



いまの軽自動車は我慢を強いられない

2023年1~5月に国内で新車として販売された4輪車のうち、37%を軽自動車が占めた。月別の販売台数を見ると、最近は軽自動車比率が40%に達することもある。



ここまで軽自動車の販売が好調な背景には、3つの理由がある。

まずは軽自動車の商品力が以前に比べて向上したことだ。内装は上質で車内は広く、乗り心地も快適になった。いまの軽自動車では、我慢を強いられず、売れ行きも順調に増えた。



2つ目の理由は、安全装備や運転支援機能の充実、消費増税などにより、クルマの価格が全般的に高まったことだ。いまの新車価格は、15年ほど前の1.2~1.5倍に達する。以前は200万円少々で、トヨタ・ノアやホンダ・ステップワゴンといったファミリー向けのミドルサイズミニバンを買えたが、いまの売れ筋グレードは300万円以上だ。その一方で平均給与所得は1990年代の後半をピークに増えていないから、200万円の予算でファミリーカーを買おうと考えるユーザーも多い。そうなるといまは、160~190万円で販売される背の高い軽自動車が主な購入対象になる。



いま「スーパーハイト軽自動車」がバカ売れする理由! 売れども...の画像はこちら >>



3つ目の理由は、日本車メーカーの商品開発が海外中心になったことだ。国内向けの新しい小型乗用車を投入する頻度が下がり、日本のユーザーが選びやすい新型車は、おもに軽自動車になった。



以上の理由によって軽自動車の販売比率が高まり、とくに全高が1700mmを超えるスライドドアを装着したスーパーハイトワゴンに人気が集中している。メーカーの開発者は「軽乗用車のうち、約50%をスーパーハイトワゴンが占める」という。



スーパーハイト軽がミニバンの代わりに

軽自動車のスーパーハイトワゴンは、後席が広く、格納すれば自転車も積める大容量の荷室になる。乗車定員は4名でも、実用的にはミニバンの代用品になり得る。売れ筋の価格帯も前述の通り200万円以下だから、以前のノアやステップワゴンが、いまはホンダN-BOXやダイハツ・タントに切り替わった。



そして3つ目の理由で示したとおり、メーカーには「国内市場は軽自動車に任せておけばいい」という考え方もあるから、ますます軽自動車の販売比率が高まる。その代表がN-BOXだ。2022年1~5月に、国内で新車として売られたホンダ車のうち、N-BOXが40%を占めた。これでは何らかの理由でN-BOXの生産が滞ると、国内で売られるホンダ車が半減する。経営的には危うい状態だが、ホンダは抜け出せない。2011年にN-BOXを投入して大ヒットして以来、そこに安住してきたからだ。



いま「スーパーハイト軽自動車」がバカ売れする理由! 売れども「メーカー」も「ディーラー」も苦しくなる裏事情も
ホンダN-BOXのフロントスタイリング



ホンダの国内新車市場における軽自動車比率は、2022年1~5月は57%に達する。ほかのメーカーも、日産の軽自動車比率は40%に達して、三菱も49%だ。日産ではルークス、三菱はeKクロススペース(現在のデリカミニ)が売れ筋で、各社ともにスーパーハイトワゴンの人気が高い。



スーパーハイトワゴンに次ぐ売れ筋タイプが、全高を1600~1700mmに設定したハイトワゴンだ。スズキ・ワゴンR、ダイハツ・ムーヴ、ホンダN-WGNなどが該当して、軽乗用車全体の20%以上を占める。そこにスーパーハイトワゴンも加えると、軽自動車の70%以上が、背の高い車種で占められるわけだ。



いま「スーパーハイト軽自動車」がバカ売れする理由! 売れども「メーカー」も「ディーラー」も苦しくなる裏事情も
スズキ・ワゴンRのフロントスタイリング



これらの軽自動車を運転すると、販売が好調な理由が理解できる。運転のしやすい小さなボディに優れた上質感と実用性を凝縮させ、「これで良い」ではなく「これが欲しい」と感じさせる。



ただし軽自動車は1台当たりの儲けが少なく、軽自動車比率が高まるほど、メーカーや販売会社の立場は辛くなっていく。ホンダや日産は、自分達のためにも、日本のユーザーに喜ばれる小型/普通車をもっと積極的に開発すべきだ。軽自動車は日本の使用環境に合ったカテゴリーだが、それだけですべてのニーズを満たせるわけではない。

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