この記事をまとめると
■プロドライブからコンプリートカー「P25」が登場



■インプレッサリトナをベースにWRカーのルックスに仕立てられた



■限定25台、価格は日本円で8850万円



現代の技術で蘇るWRカー!

WRCをスバルとともに闘ったプロドライブが、インプレッサWRカー生誕25年を記念したコンプリートカー「P25」を発表した。



2.5リッターターボに6速セミATを組み合わせ、大容量ブレーキシステムを納める大口径ホイールを装着。現代の技術を惜しみなく投入しているが、あくまでもストリートカーである。

そう、かつてWRカーのフォルムを再現した「22B」の再来と言っても過言ではないだろう。



25台限定といわれている「プロドライブ“P25”」。どのようなクルマなのか解説しよう。



伝説の「22B」を超えた究極のインプレッサ! プロドライブが...の画像はこちら >>



WRCにWRカー規定が導入されたのは1997年。新規定にいち早く対応したプロドライブがインプレッサのWRカーを製作してから今年で25年目となり、その記念として生み出されたのがP25だ。SUBARUのWRC参戦黄金期のマシンを現代の技術で復活させるという夢のようなプロジェクトである。



イギリスのグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで披露された試作車から詳細を伝えよう。



外観は初代インプレッサの2ドアボディ、つまりリトナをベースにカーボンファイバー製のボディパネルに換装してWRカーのルックスに仕立てられた。



伝説の「22B」を超えた究極のインプレッサ! プロドライブが作り上げた8850万円の「P25」の卒倒しそうな中身
プロドライブ「P25」のフロントスタイリング



リトナの2ドアボディが再生産されたわけではないので、限定25台分のドナーカーの確保は非常に困難だったはずで、その詳細が気になるところ。



とある情報筋によると、日本からリトナが海を渡ったとも言われている。もし日本で登録された実績のあるボディで、車台番号が確認できれば、国内でも登録してナンバーをつけることが可能になるかも知れない(イギリスではナンバーが取得できるという)。



フェンダーのラインやホイールハウスのアーチはオリジナルのWRカーを忠実に再現し、本物のWRカーと並べると意外と大きな違いを感じてしまう22Bより深く、リアルさを追求している。



伝説の「22B」を超えた究極のインプレッサ! プロドライブが作り上げた8850万円の「P25」の卒倒しそうな中身
プロドライブ「P25」のリヤスタイリング



このあたりは最初のWRカーのデザインを手がけ、今回のP25でもデザインの監修をしたとされる巨匠ピーター・スティーブンス氏のこだわりだと推察する。



足まわりはビルシュタイン、APレーシングの大径ローター&キャリパーということで雰囲気はWRカーらしさが上手く再現されているが、それを収める19インチの鍛造ホイールは往年のゴールド塗装ではなかった。



伝説の「22B」を超えた究極のインプレッサ! プロドライブが作り上げた8850万円の「P25」の卒倒しそうな中身
プロドライブ「P25」のタイヤ&ホイール



ドアミラーは砲弾型デザインを復刻しながらもブラックではなくボディ同色であるなど、あえて往年のWRカーとは異なるテイストを盛り込んだということだろう。



電光石火の変速を実現する6速セミオートマATを搭載

日本円で8850万円(輸送費などは別途必要)という価格からしてこのクルマをラリー競技車として使う人はいないだろうが、外板パーツをカーボンファイバー製としたことで車重は1200kg強に抑えられており、WRカー並みの軽さを実現。



気になるエンジンは400馬力オーバーに強化された2.5リッターターボを搭載するので、パワーウエイトレシオは約3kg。リストリクターで出力を抑えられたWRカーをも凌駕する動力性能を発揮する。



エンジンのシリンダーブロックはオリジナルながら、ピストンなど摺動部品は新開発の専用品だ。このパーツだけでも手に入れたいと望むマニアは少なくないはず。



エキゾーストはWRカーと同じく等長を採用。EJ型のエンジンで400馬力級の高出力を得るには等長の採用が必須となる。



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プロドライブ「P25」の走り



ミッションはパドル付き6速セミAT。パワートレイン全体としては、市販車としての耐久性や扱いやすさと往年のWRカーらしさを巧みに両立したものと言えるだろう。



限定の25台は、発売と同時に完売となり、日本への上陸は危ぶまれたが、日本の販売窓口のアライモータースポーツは1台確保した模様だ。



ボディラインなど外観はWRカーを忠実に再現した一方、内装は前期型GC8に準じたもの。表皮はアルカンターラ素材、一部がカーボンパーツに変更されてはいるが、現地で実車を見た人の印象によると、8850万円という価格からすると寂しさが禁じ得ないという。



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プロドライブ「P25」の内装



ロールケージやフルバケットシートなどはオプションになるというが、ある程度のオーダーメイドが可能とのこと。カーボン製ドアにGC8前期型用のパワーウインドウスイッチが巧みに流用されるところは泣ける。



注目は6速セミATの操作系で、プロトタイプではステアリングのパドルに加え、センターコンソール部分にダイヤルスイッチを配置。希望すればフロアシフトタイプも選べるという。



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プロドライブ「P25」のステアリング



シーケンシャルギヤボックスのギヤチェンジに要する時間はわずか0.08秒と速く、やはりパワートレインのパフォーマンスは極めて高い。変速はオート的なモード選択も可能となっている。



メーター表示は今時のクルマらしく液晶で、計器類のほかさまざまな車両情報を表示。エンジンのレッドゾーンは8000rpmと高回転型だ。



伝説の「22B」を超えた究極のインプレッサ! プロドライブが作り上げた8850万円の「P25」の卒倒しそうな中身
プロドライブ「P25」のメーター



あまりに高額な価格など賛否の声はあるが、SUBARUのWRC参戦黄金期を象徴する初代のWRカーを復刻するプロジェクトを当事者たるプロドライブが実現したことは純粋に素晴らしいと言えるし、有意義なことであるのは間違いない。



※本記事は雑誌SUBARU MAGAZINEの記事を再構成して掲載しております



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