この記事をまとめると
■アメリカでは「パーキングブレーキ」は普段使わない



■アメリカと日本ではクルマに装備される機能や使い方が異なる場合が多い



■日本とアメリカの文化の違いを体験とともに解説する



海外ではサイドブレーキを使わない!?

南カリフォルニアにて現地在住の知人を乗せ、レンタカーを運転して海岸へピクニックに出かける機会があった。途中、買い物があってスーパーへクルマを停めたとき、知人は不思議そうな顔をした。何が不思議なのか聞くと、スーパーの駐車場に停めると当たり前のようにパーキングブレーキレバーを引いていた筆者の仕草が不思議だというのである。



「アメリカというか、私の知っている限りでは、日本でパーキングブレーキと言われているものは、こちらでは“エマージェンシーブレーキ”と呼ばれており、日常的にクルマを停めるときに作動させることはありませんよ」と知人が教えてくれた。



知人いわく、勾配のキツイ坂道に駐車するなど特殊な場合にはエマージェンシーブレーキを活用するとのことであった。それでもブレーキの利きが甘いなどして車両が動いてしまった場合に備え、歩道側に車両が動き縁石でストップするようにステアリングを切って停めるそうだ。



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この知人のアドバイスにより、筆者はアメリカで運転するときにはエマージェンシーブレーキを使わないで駐車するようになったのだが、今度は帰国してからしばらくパーキングブレーキを作動させないで停めてしまうので、「パーキングブレーキ忘れているよ」などと同乗者から注意されることもしばしばとなってしまう。



同じ装備でも、その使い方に対する概念が異なるのはドアロックも同じである。日本でも最近は治安が悪くなってきたので、アメリカと認識が近づいているようにも見えるが、日本でドアロックに対する認識は安全装備、つまり走行中に誤ってドアを開けないようにといったものと捉えられてきた。



日本の常識がアメリカじゃ謎行為だった! 使い方がまったく違う「クルマの装備」たち
クルマのドアロックのイメージ写真



しかし、アメリカでは信号待ちなどで暴漢などが不用意にドアを開けて襲撃してこないようにというセキュリティ装備として考えられている。



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クルマのドアを開けようとしている写真



一定速度になると自動的にロックする、車速感応式ドアロックもセキュリティ装備としてのアメリカ的概念の発想によるものと考えられ、アメリカで販売される車両の多くには当たり前のように装備されている。



アメリカ仕様のクルマには専用装備が数多くある

また、いまはリモコンが主流だが、ドアロックを解除するときも、アメリカ仕様の車両は1回押すと運転席のみで、2回押すとすべてのドアのロックが解除されるようになっている。暴漢には乗降時に狙われやすいので、助手席側にもパワードアロックのスイッチが用意されているというわけだ。



いまは日本車でも、ライトが周囲の暗さを感知してつくように「AUTOモード」があるが、AUTOモードが一部の高級車ぐらいにしかなかったころ、南カリフォルニアをドライブしていると、知人が「日没の30分前にライトを点けなければならないよ」と教えてくれたのを覚えている(しかも薄暗い夕方であってもスモールではなくヘッドライト点灯とのこと)。



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オートヘッドライトのレバー



ただ、「毎日の正確な日没時間なんかわからない」と言うと、「まあ、そこは適当に」とも言われた記憶がある。

テレビニュースの天気予報で、日の出と日没時間を細かく伝えていたのはなんとなく覚えている。



現実的かはともかく、“日没から30分以内”という客観的理由で、仮に違反切符を切られれば、まさに問答無用というのはじつに欧米的な合理主義に基づいたものといえるだろう。



日本でも自動変速機が普及してきたときに、「Pレンジで車輪ロックするからパーキングブレーキ作動の必要はない」といった話もあった。ただ、令和のいまでは、筆者の愛車であるトヨタ・カローラでも電子制御式パーキングブレーキとなり、停車してPレンジにすると自動的にパーキングブレーキがかかり、Dレンジにすると解除されるようになった。



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トヨタ・カローラのシフトレバーまわり



車種によっては電子制御でも作動や解除が手動のようなものもあるようだが、大半は自動制御となっている。



筆者はアメリカでまだ電子制御式エマージェンシーブレーキの車両を運転したことがないので、アメリカでどのように作動するのか確認していない。今度アメリカに行ったらぜひ確認してみたいと考えている(おそらく任意操作式になっていると考えている)。

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