この記事をまとめると
■国産車の2列目席の広さランキングトップ5を紹介



■数値はすべて筆者による実測値



■車種だけでなくグレードによっても広さに違いは出る



過去も含めての膝まわり空間ランキングを発表!

4代目アルファード、3代目ヴェルファイアで注目されているのが、後席(2列目席)のプライベートジェット感覚かつ快適・豪華で広大な居住空間だ。しかし、後席に座ったときの広々感に室内高よりも直結するのが、いわゆるニースペース(膝まわり空間)ではないか。飛行機のエコノミークラスとプレミアムエコノミー、ビジネスクラスを比べた場合、サービスの違いはもちろん、ニースペースの違い、ゆとりが快適度に大きく影響する。



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そこで、歴代国産車の後席(2列シート車なら2列目席)のニースペースの寸法を、筆者の過去うん十年に渡って実測してきたデータから見直し、ランキングしてみた。果たして新型アルファードは何位になるのか? なお、実測寸法は、身長172cmの筆者のドライビングポジションを基準に、筆者が後席(2列目席)に着座し、膝頭から前席シートバックまでの水平距離を筆者自作の特殊ツールで計測したものだ。



もちろん、ドライバー、2列目席に座った乗員の体形、ドライバーのドライビングポジションの好みで数値は変わってくるが、筆者基準のデータの比較値に注目していただきたい。たとえば、筆者計測による後席(2列目席)のニースペースの最大値(後席スライド位置による)が、A車が400mm、B車が600mmだとすれば、B車のニースペースのほうが、状況によって前後するものの、+200mmは圧倒的に広いことは間違いない。



では、ひとつの基準として、新型アルファード&ヴェルファイアのZグレード、エグゼクティブパワーシート仕様車の2列目キャプテンシートの筆者のドライビングポジション基準、筆者の着座でのニースペースは510mmである。じつは、計測してみて、筆者は「ニヤリ」とした。というのは、先代アルファードのエグゼクティブパワーシートの数値とまったく同じだったからだ。



ミニバンは後席が命! というわけで2列目席の広さ選手権を開催してみたら「やっぱり」な結果だった
トヨタ・アルファード(3代目)のエグゼクティブパワーシート



新型では新たに骨格の太いTNGA GA-Kプラットフォームを採用したことで、着座位置が全体的に後方移動。具体的には、ホイールベース3000mmは不変で、先代に対して1列目席が25mm、2列目席が30mm、3列目席が35mm後方に位置することになったのだが、開発陣からは、パッケージ的にニースペースは先代同等と聞いていて、「それ、本当か?」と疑っていたのである。しかし、実際にはとくに2列目席に関しては、そのとおりだったのである。



新型アルファード&ヴェルファイアのZグレードの2列目キャプテンシートに着座すれば、誰もがその豪華さ、居心地の良さ、シートのかけ心地の良さ、装備の充実度、そして静かさに大満足できるはずだ。設計基準かつ乗り心地重視の17インチタイヤを履くエグゼクティブラウンジ仕様なら乗り心地の良さも、である。

つまり、後席(2列目席)ニースペースが510mmあれば、前席が遥か遠くに感じられほどの空間、足もとの広さを実感できるというわけだ。



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トヨタ・アルファード(4代目)のエグゼクティブパワーシート



お待たせしました!! その数値を頭に置いた状態で、筆者がこれまで計測してきた後席(2列目席)ニースペースのランキングを発表したい。



1位はなんと、先代アルファード&ヴェルファイアの2列目キャプテンシートとして3番目のグレードとなるリラックスキャプテンシート仕様の最大870mm!!!である(シートスライド量は最大870mm!!!)。



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3代目アルファードのエクステリア



後述するエスティマのリラックスキャプテンシートと同様に、左右のシートを中寄せしてロングスライドさせるため、その状態では左右2席がくっついてしまう難点はあるものの、足もとの広さは圧巻。フルリクライニングして横になった際の足先にも余裕たっぷりのスペースが確保されていた。新型アルファード&ヴェルファイアにも、3番目のより買いやすい価格のグレード(G?)として、リラックスキャプテンシート仕様が加わるかも知れない……。



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トヨタ・アルファード(3代目)のリラックスキャプテンシート



2位はこれまたトヨタの3代目(2006-2020年)エスティマの7人乗り仕様のリラックスキャプテンシートである。



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3代目エスティマのエクステリア



左右シートを中寄せしてロングスライドさせたときの筆者基準のスペースは約800mm!!(シートスライド量も最大800mm) いまでも国産乗用車として破られていない数値である。現在は中古車でしか手に入らないが、2016年6月のビッグマイナーチェンジ以降のエスティマなら、走りを含めエスティマ史上最上であり、広大な2列目席ニースペースのゆとりを味わう価値はある。



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トヨタ・エスティマ(3代目)のリラックスキャプテンシート



まもなく日本再導入のオデッセイがトヨタ以外で唯一ランクイン

3位は、日本の多人数乗用車のパイオニア的存在の1台と言っていいホンダ・オデッセイで、ついに両側スライドドアを備えた、5代目の7人乗りキャプテンシート仕様のプレミアムクレードルシートの780mm(最大スライド量は740mm)である。



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5代目オデッセイのエクステリア



シート背もたれの中折れ機構によってシートバックを倒しても頭が前を向くクレードル仕様で、シート表皮裏側に30mmのウレタンクッションが張り付けられたシート座り心地、寝心地はもう絶品だった。2022年9月にいったんオデッセイ28年の歴史に終止符を打ったものの、2023年秋には中国から輸入されるカタチで再登場。

その進化にも期待したいところである。



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ホンダ・オデッセイ(5代目)のプレミアムクレードルシート



4位は現行型、4代目トヨタ・ノア&ヴォクシーがランクイン。2列目キャプテンシートでニースペースは最大600mm(シートスライド量最大745mm)である。



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4代目ヴォクシーのエクステリア



先代のキャプテンシートは810mmものロングスライドが可能で、同じく最大600mmの広大な2列目席膝まわり空間を実現していたのだが、シート外側のリクライナーがロングスライド時にリヤホイールハウスと干渉するため、2座のキャプテンシートを中寄せスライドさせてロングスライドするしかなかった。そのため、ロングスライド時にはせっかくの折り畳みテーブルが使えず、2-3列目席スルー空間も犠牲になっていたのだ。



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トヨタ・ヴォクシー(3代目)のキャプテンシート



ところが、新型ノア&ヴォクシーは、2列目キャプテンシートのリクライナーを内側に寄せ、ややシート幅を狭めることで、中寄せスライドさせることなく、745mmの”ストレート超ロングスライド”を可能にしているのだ。ゆえにカップホルダーやUSBソケットも用意される折り畳みテーブル(グレードによる)が、ロングスライド時でも使えるようになっている。2列目キャプテンシートのニースペースは先代と同じ最大600mmながら、ロングスライド時の使い勝手は向上。ただし、中寄せスライドを廃止したため、セレナやステップワゴンのような、キャプテン、ベンチのアレンジ自在……とはいかなくなっている。



ミニバンは後席が命! というわけで2列目席の広さ選手権を開催してみたら「やっぱり」な結果だった
トヨタ・ヴォクシー(4代目)のキャプテンシート



そして5位に、新型アルファード&ヴェルファイアのエグゼクティブパワーシート仕様の最大510mmがランクインということになる(先代エグゼクティブパワーシート仕様も5位タイ)。



ミニバンは後席が命! というわけで2列目席の広さ選手権を開催してみたら「やっぱり」な結果だった
新型アルファードのエクステリア



ちなみに後席ニースペースに驚かされるのはアルファードやノア&ヴォクシーのようなボックス型ミニバンだけではない。トヨタ・ルーミーの最大385mm、同種のスズキ・ソリオの最大360mmもかなり広い。



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トヨタ・ルーミーのフロントスタイリング



また、スーパーハイト系軽自動車にしても、現行型N-BOX最大420mm、ルークス最大400mm、タント最大355mm、スペーシア最大340mmと、300mmを超えると「足もとがかなり広い」と感じ、500mmを超えると前席が遥か遠い感覚になるわけで、新型アルファード&ヴェルファイアは5位ながら、誰もが満足できる広大な後席(2列目席)ニースペースを持つクルマだと断言できる。それに新型アルファード&ヴェルファイアのエグゼクティブラウンジ仕様の車内の”驚異的な静かさ”が加われば、2列目席と前席に距離があっても、双方の会話は無理なく行えることになる。

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