この記事をまとめると
■愛車を守るためには駐車場にクルマを停める際にも油断してはいけない■イレギュラーな歩行者や逆走車に遭遇したときにはとにかく徐行を徹底
■ドアパンチャーによる被害に遭わないためにも駐車場所にも気を配りたい
駐車場には危険がいっぱい
一般公道とは、ぶっ飛んだドライバーや運転にまるで向いてないのになぜかクルマの運転をしたがる迷惑な人など、魑魅魍魎がうごめいている世界である。そんな魑魅魍魎世界を走っている最中は、ほとんどのドライバーが細心の注意を払いながら運転していることと思う。
だが、魑魅魍魎たちのアタックをかわしながらある程度の距離を走ったのち、「ふう……」とひと息つきながら店舗や施設の駐車場、あるいはコインパーキングなどにクルマを停車させようとする際も、我々ドライバーは決して油断してはならない。
なぜならば駐車場もまた、魑魅魍魎たちがうごめく世界であるからだ。
駐車場内にいる魑魅魍魎その1は「イレギュラーウォーカーズ(不規則に歩く者ども)」である。これは特にコンビニの駐車場にしばしば出没する。
たとえばコンビニの駐車場に自車をバックで入れようとする際、ミラーなどで「歩行者A」が自車の後方を通ろうとしているのを確認したとする。その場合は、当然ながら歩行者Aが完全に通り過ぎるの待ってから自車の後進を開始するわけだが、あいにく歩行者Aがイレギュラーウォーカーであった場合には、完全に通り過ぎたと思ったAが「やべっ、アイコス買うの忘れてた!」とかなんとかつぶやきながら、いきなり180°のクイックターンをカマしてくる。そして運が悪いと、ミラーの範囲外からクイックに侵入してきた歩行者Aと自車が接触してしまうのだ。

こういったイレギュラーウォーカーズを退治するためには、十分以上に十分な安全確認を行うのは当然として、そのうえで「コンビニとかの駐車場は、そもそも不規則歩きをする者の巣窟である」というマインドセットを、あらかじめ自身のなかに固く構築しておくのが一番であろう。
駐車場内に生息する魑魅魍魎その2は「逆走ピープル」だ。施設の駐車場や大規模なコインパーキングはクルマの通路が一方通行になっている場合が多い。で、我々善良なるドライバーは、当然ながらその指示に従って場内を走行するわけだが、なかには進行方向の指示を平気で、あるいは耄碌ゆえにか、無視して逆走してくる者がいる。

一通の直線路部分で逆走ピープルに遭遇した場合は「ちっ」と舌打ちをする程度で済み、とくに大きな危険はない。だが駐車場内の曲がり角付近で逆走ピープルと鉢合わせてしまうと、ガチャンとぶつかってしまう可能性もあるだろう。
これを防ぐには、「駐車場内ではとにかく徐行に徹する」ということを大前提としつつ、「……どうせこの曲がり角の先には逆走してくる馬鹿がいるに違いない。あぁ嫌だ嫌だ、この世は闇だ」みたいな、なるべく悲観的なメンタリティで運転に励むことである。

駐車場内に限らず、クルマの運転というのは「ネガティブな性格」になって行うほうが、安全に行えるものだ。ただしクルマから降りた後もうっかりネガティブな仮面を被ったままでいると、友人から嫌われたり恋人を失ったりするので、そこだけはご注意願いたい。
ドアパンチャーを見極める眼力を養え
駐車場内に生息する魑魅魍魎その3は「ドアパンチャー」。文字どおりドアパンチをカマしてくる不届き者だが、これがなかなかの強敵だ。

ドアパンチャーからのアタックを防ぐ常套手段は「端っこの枠に停める」とか「両サイドが空いている枠に停める」というものである。これはもちろんきわめて有効な対策なわけだが、クルマというのは必ずしも常に「一番端っこの枠」や「両側が空いてる枠」に都合よく停められるものでもない。混んでいればどうしたって「両サイドが埋まっている枠」に停めざるを得ないのだ。「端っこが空いている駐車場、またはガラガラな駐車場が見つかるまで、俺は止まらないぜ!」という荒業もあるだろうが、あまり現実的ではないはずだ。

こうなったときに重要なのは「どこを選んでもイマイチななかで、どの枠が比較的マシか?」を見きわめることだ。いま空いている枠のなかで、ドアパンチ被害を受ける可能性が相対的に低い枠はどこか? ということを瞬時に判断するのである。
では「ドアパンチ被害を受ける可能性が低い枠」とはどんなものか? それは、おおむね下記のとおりだといえるだろう。
【被害を受ける可能性が低い枠(順不同)】
・両隣のクルマがピカピカの、比較的高額なクルマである。
・両隣のクルマが、いかにも「クルマが好きな人」が乗っていそうな車種である。
・両隣のクルマが、真っ直ぐ停まっている(運転が下手な人ではない)
・両隣のクルマは決して高額な車種ではないが、目立ったキズやボコボコのへこみなどは見当たらない(いわゆる無敵の人ではない)。
・両隣のクルマが、比較的全幅の狭い車種である。
・地面に大きな傾斜がない枠である(地面が傾いていると、隣のクルマの乗員がドアを開ける際、思いのほか急にガバっと開いてしまうことがある)。
・両隣のクルマに「高齢運転者標識」が付いていない。
上記条件のほとんどに当てはまる枠が運良く見つかればベストだが、なかなかそううまくもいかないだろう。したがって、「ベストではないが“ベターな枠”はどこか?」という観点で枠を選ぶのが、現実的な対策となる。

だが、これをやっても理論上、ドアパンチ被害の可能性をゼロにすることはできない。もしも不運にも被害にあってしまった場合は警察に連絡を入れ、証拠を保全する(当て逃げされた箇所や現場周辺をスマホのカメラなど撮影し、どのようにクルマを駐車していたら、どのような傷がついたかなども撮影する)。腹立たしいが、仕方のない作業である。
以上が駐車場内に生息する主な魑魅魍魎を撃退する方法だが、駐車場内では――とくに疲れているときは――自分自身が魑魅魍魎になってしまう可能性もある。そうはならないため、自戒を込めつつ、以下の点にはくれぐれもご注意願いたい。
・駐車場内で子ども連れや高齢者を見かけたらとにかく徐行する。
・天井が低い駐車場では、自車のオートリヤゲートが天井にぶち当たらないよう気をつける。
・枠番を間違えて、隣のクルマの駐車料金を精算してあげないよう気をつける。
ほかにもあるかもしれないが、さしあたっては以上である。どうかご安全に。