この記事をまとめると
■緊急車両が近づいてきた際にどう対応すれば良いのかを解説■周囲のクルマの動きに合わせて道路の左右のどちらかに寄って進路を譲る
■高速道路では走行車線をキープすれば進路を譲っていることになる
緊急車両に進路を譲る際にはどうすべきか?
救急車やパトカーなど、緊急自動車が近づいてきたときは進路を譲らなければなりません。しかし、場合によっては、左右に移動できなかったり、信号待ちの先頭で前に進めなかったりすることがあります。にっちもさっちも行かないときはどのように進路を譲るのが正解なのでしょうか。
緊急自動車の優先に関する法律
まず、救急車やパトカーなどの緊急自動車が近づいてきたときにどのようにすればよいのか、道路交通法を確認してみましょう。
道路交通法第40条には、「緊急自動車の優先」について定められています。
道路交通法第40条第1項には、交差点や交差点付近で緊急自動車の接近に気がついたときは、交差点を避け、道路の左側によって一時停止しなければならないと定められています。

この道路交通法第40条第1項の内容は、一般的に広く知られていることであるため、緊急自動車が近づいてきたときには、「左に寄って一時停止」と記憶している方も多いでしょう。
しかし、道路交通法第40条には第2項があります。
道路交通法第40条第2項には、「前項(道路交通法第40条第1項)以外の場所において、緊急自動車が接近してきたときは、道路の左側に寄って進路を譲らなければならない」と定められています。

この道路交通法第40条の第1項と第2項の違いは、場所と一時停止の有無です。
道路交通法第40条を簡単にまとめると次のようになります。
・交差点や交差点付近では交差点を避け、道路の左側に寄って一時停止しなければならない。
・交差点や交差点付近以外の場所では、左に寄って進路を譲る。
・一方通行の道路では、道路の左側に寄って進路を譲る。ただし、左側に寄ることで緊急自動車の通行の妨げになる可能性がある場合には道路の右側に寄って進路を譲る。
実際の道路では法律のようにできないこともある
法律では、道路の左側(一方通行の道路の場合は右側も可)に寄って一時停止したり進路を譲ったりしなければならないとなっていますが、実際の道路では法律のようにできないこともあります。
たとえば、信号待ちの先頭で前に進めなかったり、渋滞に巻き込まれている最中で左側に寄ったりできないなど、身動きが取れない場面で緊急自動車が迫って来ることもあります。

信号待ちの先頭かつ停止線の直前で停止しているときは、前進しながら道路の左側に寄り、一時停止して進路を譲るケースが多いです。この場合は、交差点に進入しないよう注意してください。
片側2車線以上ある道路では、緊急自動車が車線を跨いで通行する場合があります。そのため、緊急自動車がどのような進路で進もうとしているのか、ミラーなどで確認し、左右のどちらかに寄って進路を譲ることになるでしょう。

渋滞に巻き込まれているときは、周囲のクルマの動きに合わせてクルマを左右のどちらかに寄せて、緊急自動車に進路を譲ります。
高速では走行車線を走り続けておけばOK
高速道路を走行しているときの緊急自動車の譲り方
高速道路を走行しているときに緊急自動車が後方から迫ってくることもあります。
高速道路の交通状況が良く順調に流れているときに、後方から緊急自動車が来たときは、走行車線を走行し続けてください。速度を落としたり一時停止したりする必要はありません。緊急自動車は、追い越し車線や路側帯・路肩などを通って現場へ向うため、走行車線を走り続けることが進路を譲ることになります。

高速道路の渋滞に巻き込まれているときに、緊急自動車が後方から来たときは、そのまま渋滞に巻き込まれ続けてください。追い越し車線から走行車線に無理やり進路を変える必要もありません。
緊急自動車が渋滞している高速道路を通行するときは、路側帯・路肩を通る場合がほとんどです。そのため、緊急自動車に線路を譲るために路側帯・路肩に進入することがないよう注意してください。

つまり、高速道路を走行するときの基本的なルールに従っていれば緊急自動車に進路を譲ることになるということです。
高速道路の基本的なルールには、駐停車禁止や路側帯・路肩の通行をしないなどがあります。これら基本的なルールに則って走行していれば、緊急自動車の進路を妨げることはありません。

どうしていいのかわからなくなったときの対処法
緊急自動車が後方から迫りくると、どのようにしたらいいのか瞬時に判断ができないことがあります。判断が難しいときは、周囲の動きに合わせたり、緊急自動車の指示に従ったりしてください。
緊急自動車はサイレンを鳴らしているだけでなく、「止まってください」や「左に避けてください」などの指示を出すことがあります。

緊急自動車の進路を妨げたり指示を聞き逃したりしないためにも、サイレンが聞こえたときは、ミラーや目視などで周囲を見渡して緊急自動車がどの方向から来るのか確かめたり、窓を開けて緊急自動車からの指示を聞いたりしましょう。