この記事をまとめると
■現行型N-BOXは国内のベストセラーだ■現行N-BOXの販売は低調ではないものの車両価格の上昇により割高感がある
■そこでN-BOXのライバル車のなかでお買い得なクルマを考えた
新型N-BOXも販売トップに君臨するが、売れ行きが意外と多くない
いまの国内市場では、ホンダ N-BOXがベストセラーだ。2023年も23万台以上を販売して国内販売の1位になった。しかし、じつは売れ行きが絶好調とはいい難い。
ちなみに先代型が2017年に発売された直後は、対前年比が120~150%で推移していた。現行型に比べれば好調だが、車種によっては200%、つまり前年の2倍も売れることがある。そこも考えると、先代型に比べて大幅に低調ともいえない。

この判断は難しい。なぜならN-BOXのような実用指向の車種は、フルモデルチェンジを行っても、ユーザーが急いで新型に乗り替えることはないからだ。その代わり車検期間が満了すれば、確実に新型を購入する。したがって発売当初の伸びは穏やかでも、1年を通じて見ると、結果的にベストセラーになることが多い。このようにN-BOXの販売は低調ではないという見方が成り立つ一方、新型は元気がないという意見がメーカーからも聞かれる。
その根拠は価格だ。現行N-BOXで、価格がもっとも安いグレードは、標準ボディで164万8900円になる。先代型は標準ボディに装備のシンプルなGが用意され、この価格はモデル末期で146万8500円、売れ筋のLも159万9400円であった。

現行型の標準ボディはサイド&カーテンエアバッグを標準装着するが、先代型はLでもオプションで、Gは非設定だ。装備の違いまで考えると、現行型が大幅に値上げされたとはいえないが、もっとも安価なグレードが140万円台と160万円台では第一印象が異なる。このような事情もあり、現行型に割高感が生じたことは否定できない。

価格や車格を考えるとほかにも候補は出てくる
そこで、N-BOXのライバル車で買い得な車種を探すと、2024年2月下旬時点では出荷停止になっているものの、ダイハツ・タントが挙げられる。標準ボディのXは、実用装備を充実させて150万7000円だ。しかも左側のピラー(柱)はドアに内蔵され、前後ともに開くと開口幅が1490mmに広がる。乗降性を重視するユーザーには買い得だ。

また、N-BOXやタントのように、全高が1700mmを超えるボディとスライドドアが欲しいが、軽自動車ではなくコンパクトカーから選びたいユーザーも少なくない。
このニーズでは、ダイハツが生産するトヨタ・ルーミーが人気だが、商品力はライバル車のスズキ・ソリオが優れている。

標準ボディのソリオハイブリッドMXは、排気量が軽自動車の2倍近くになる1.2リッターエンジンとマイルドハイブリッドシステムを搭載して、衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、サイド&カーテンエアバッグ、左側スライドドアの電動機能、エアロパーツ、アルミホイールなども備わる。それで価格は192万1700円だから、価格自体は高めだが、充実装備を考えると買い得なコンパクトカーになっている。