この記事をまとめると
■交通違反の際に納付する「反則金」と刑罰の「罰金」の違いを解説■反則金の納付はあくまで任意
■納付しない場合は事件となり「行政手続」から「刑事手続」へと移行する
比較的軽微な道交法違反には反則金制度が適用される
交通違反のときに納付する「反則金」は、刑罰の「罰金」と何が違うのでしょうか。今回は、反則金制度(交通反則通告制度)の概要、反則金と罰金の違い、反則金を納付しなかった場合どうなるのかなどを解説します。
反則金制度(交通反則通告制度)とは?
交通違反の反則金制度(交通反則通告制度)は、運転者が反則行為(比較的軽微な道路交通法違反行為)をした場合に、一定期間内に反則金を納めると、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けないで事件が処理される制度です。
そのため、反則金を納めれば、出頭する必要がなくなります。
ただし、告知の際に渡された「納付書」により反則金を納付した場合、刑事事件として刑罰が科されなくなります。また、未成年者の場合は、家庭裁判所の審判に付されなくなります。このようなことから、反則金を納付して事件を終わらせようとする人が多いといえるでしょう。
反則金と罰金の違いとは?
「反則金」と「罰金」は、何が違うのでしょうか。違いを簡単に説明すると次のようになります。
反則金:警察本部長の通告に基づいて反則者が任意に納付する行政上の制裁金
罰金:法律上の定められた刑罰のひとつ。
交通違反であっても罰金が科されることがある
このような違いがあることから、反則金と罰金では意味が大きく異なります。
反則金を納付しないとどうなる?
交通違反の反則金の納付は、あくまでも任意であるため、反則金を納付するかどうかは反則者の判断です。
反則金を納付すれば、道路交通法違反事件として取り扱われることなく、事件が処理されます。
一方、反則金を納付しなかった場合は、道路交通法違反事件として行政手続から刑事手続へ移行され、成人の場合は検察庁に送致(いわゆる書類送検)されることになり、少年の場合は家庭裁判所へ送致されることになります。
取り締まり自体に「納得できない」場合はどうする?
交通違反で取り締まられたとき、「え?何で!?」や「こんなの理不尽すぎる!」など、納得できない場合もあるでしょう。
反則金の納付に納得できない場合は、納めなくてもとくに問題はありません。なぜなら、反則金の納付は任意だからです。しかし、反則金を納付しなかった場合は、道路交通法違反事件として取り扱われ、行政手続から刑事手続へ移行します。
また、行政処分(免許の取り消しや点数制度など)に納得できない場合は、審査請求することができます。審査請求ができる期間は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内です。
【刑事処分と行政処分の違い】
刑事処分は、過去の行為に対する制裁として行われる処分です。一方、行政処分は将来における道路交通上の危険を防止するという行政目的を達成するために行われる処分です。そのため、目的や手続きが異なり、相互に独立して行われます。
ルールを守っていれば反則金を納める必要はない
ここまで交通違反による反則金制度や罰金との違い、納付しなかった場合の手続きなどについて解説していましたが、そもそも交通違反で取り締まられることがなければ、反則金を納付する必要はありません。よく「運が悪かった」という方もいますが、ルールに則った運転をしていれば、取り締まられることはないため、日頃から法令を遵守した運転をするようにしましょう。