この記事をまとめると
■全国11カ所のSAで⼤型⾞向けの「短時間限定駐車マス」を用意



■「短時間限定駐車マス」に駐車できる時間は60分まで



■目的はトラックドライバーの休憩機会の確保



「黄色いペットボトル問題」も解決となるか?

ほぼ常態化している高速道路サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)のトラック専用駐車場の混雑。とくに日没から深夜にかけては、高速道路の深夜割引の時間に料金所を通過するために時間調整をするトラックが集結し、駐車場からあふれた車両が入り口および出口の誘導路に列をなして路上駐車する姿も多く見られる。



また、これは高速SA・PAに限った話ではないが、こうして駐車したトラックのドライバーがエリア内や路肩の茂みに「黄金ペットボトル(ドライバーが車内で用を足した黄色いペットボトル)」をポイ捨てしてしまう、といった社会問題も発生している。



トラックドライバーには4時間走行したあとは30分休憩しなければいけない、という「430休憩」というルールがあり、これに違反すると車両使用停止や事業停止などの行政処分を受けてしまう可能性があり、今年4月からの働き方改革関連法の流通業界での本格適用(いわゆる2024年問題)が始まると、それはより厳格になるともいわれている。高速SA・PAでのトラックドライバーの休憩場所の確実な確保は、今後より深刻な問題になるわけだ。



大型トラックの確実な休憩で「黄色いペットボトル」問題も解決!...の画像はこちら >>



このような問題を解決するため、NEXCO東日本/NEXCO中日本/NEXCO西日本では全国11カ所のサービスエリアにて、大型車駐車マスの一部を60分以内の駐車とする「短時間限定駐車マス」として整備し、運用する実証実験を昨年秋から順次行なっている。



短時間駐車を守ってもらうための監視対策も進められている

この実験は、長時間駐車する車両の存在により、駐車ができずにSA・PAを出ていく大型トラックが多い施設に「短時間限定駐車マス」を整備することで、休憩機会の変化や、周辺休憩施設を含めた混雑状況、効果的な整備位置などを検証するもの。60分以内限定の大型車駐車マスを設けることで、大型トラックドライバーのより確実な休憩機会を確保することを目的としているわけだ。



● 短時間限定駐車マスの実証実験予定箇所

NEXCO東日本管内
E4 東北道:蓮田SA(上り)、上河内SA(上り)、安達太良SA(下り)、国見SA(下り)



NEXCO中日本管内
E1 東名:足柄SA(上り)



NEXCO西日本管内
E2 山陽道:福山SA(下り)、吉備SA(上り)、龍野西SA(上下)

E3 九州道:古賀SA(下り)、E2A 中国道 美東SA(下り)



※ 今後、大型車駐車エリアの混雑状況を踏まえ、試行箇所数・マス数を拡大する場合があります



大型トラックの確実な休憩で「黄色いペットボトル」問題も解決! 全国11カ所のSAで実施中の「短時間限定駐車マス」とは?
短時間限定駐車マスの実証実験予定箇所



短時間駐車マスはひと目でそのエリアだとわかるよう、路面に表示が施されるとともに看板も設置される。また、60分駐車のルールを厳格に守ってもらうため、監視体制の強化や駐車時間を判定するための画像処理技術の導入などのさらなる対策が進められている。



大型トラックの確実な休憩で「黄色いペットボトル」問題も解決! 全国11カ所のSAで実施中の「短時間限定駐車マス」とは?
全国のSAで大型トラック向け「短時間限定駐車マス」が運用開始



この短時間限定駐車マスは、その駐車状況も監視・管理されているエリア。それにより、大型トラックの円滑な駐車および休憩機会が確保でき、ドライバーの430休憩も確実に行なうことができるほか、土日祭日によく発生している大型車駐車マスでの普通乗用車の駐車といったマナー違反も一部とはいえ解消される(これだけ堂々と「大型車」「短時間」といった路面や看板の掲示がされていれば、乗用車はそもそも駐車しないだろうが……)ことになるだろう。