この記事をまとめると
■カーオーディオの「よい音」を決める要素はオーディオ機器の性能と再生空間の特性だ■音を変える要素でもっとも大きな効果を握るのがスピーカーといわれている
■ドアパネルの共振を抑えたり配線を加工することでワンランク上の音質を追求できる
愛車の音質をよくするために必要なこと
最近のクルマは、オーディオと一体制御となったカーナビゲーションの純正装着化が普及したこと、また電装品が一体制御となってユニットの換装、追加が難しくなったことなどから、アフターマーケットでのカーオーディオという考え方がほとんどなくなってしまった。
かつては、車室内を完全なプライベート空間と捉え、こぞってオーディオのリスニングルームとして積極活用する姿勢も多く見られたが、最初に触れたような理由から、カーオーディオに対するオーナーの意識が薄れているのが現状のようだ。
とは言っても、どうせなら「音」は悪いよりいいほうがいいに決まっている。
オーディオ機器とは、音源再生ユニット(DVD、CDプレーヤー)、スピーカーのドライブユニット(パワーアンプ、現在ではDVD/CDプレーヤーユニットと一体装備される例がほとんど)、そして音の最終出口となるスピーカーだ。
一方、再生空間の特性とは、車室内を構成する素材や形状(音の反射、吸収など)、さらにはキャビンスペース(空間容量)が音を左右する要素となる。
さて、カーオーディオの音を変える要素だが、もっとも大きな効果を握るのがスピーカーだ。
純正品からオーディオメーカーが市販するスピーカーに換装すると、その違いや音の良化がすぐにわかる。振動板の材質、強力な磁気回路、再生周波数帯域のワイド化などがその理由である。また、スピーカーの装着方法(フロントスピーカーはほとんどの場合ドアスピーカー、16cm前後の口径が多い)によっても再生音の質は変わってくる。
純正品は簡単なスペーサー(プラスチック製など)を介してドアパネルに取り付けられる場合が多いが、これを取り付けのための専用ベース(バッフルボード)を介して取り付けると、低域から中域(楽音の主成分、基本帯域)が非常にしっかりとした鮮明な響きとなり、音の質を上げた(上がった)という満足感が得られるようになる。
少し細工することでワンランク上の音質に
また、鋼板プレスによるドアパネルの内側に、ブチルゴムや鉛シートを貼り付けると、パネルの共振を抑える働きにより、やはり音の響きが鮮明になり、よい音に変わったと感じることができるはずだ。
さらに細かくいえば、スピーカーケーブルを無酸素銅(OFC)製に替えるといった手法もあるが、こうした細かな領域での対策は、ユニットの選択に始まりシステム全体の構成を考えた上で、バランスを見ながら行わないとその効果を感じ取ることは難しいかもしれないれない。
極端な例をひとつ紹介すると、過去にオーディオ向きのバッテリーが用意されたことがあった。バッテリーは直流電源だが、そのアイテムは電流に含まれるノイズが少ない、小さいという触れ込みだった。
こうした極端な例を、大げさと考えるか否かは聴く人の価値観に左右される問題だが、バッテリーにオルタネーターノイズが飛び込み、その音がスピーカーから再生される場合もあるので、オーディオに関して注意すべきことは、こだわり始めると際限がなく広がる傾向にあると言っても過言ではない。
原点的なことをいえば、コンパクトクラスの車両より高級車と呼ばれるクラスの車両のほうが、音がよく聴こえる傾向にある。上級車になるほど遮音対策(騒音吸収材、パネル構造、振動対策など)が入念となり、オーディオの再生音をよりよいコンディションで聴かせることができるようになるからだ。
しかし、こうした事実がある一方で、たとえばスピーカーの選択や装着方法、ドアまわりの共振対策を施せば、オリジナルから見違えるほどの音を響かせることも可能だ。音に関心のある方は、予算も含めた上で、まずスピーカーとその周辺から見直すことをオススメしたい。